
2026.08.21
経理BPOとは、記帳や請求書処理、月次決算といった経理業務のプロセスを、外部の専門会社へまとめて委託する仕組みのことです。
経理人材の採用が難しくなり、担当者が他部門と兼務するケースも増えたことで、業務そのものを外に出す判断をする企業が広がっています。
ただし、何をどこまで委託するのかを決めないまま話を進めてしまうと、社内の確認作業が増えてかえって負担が重くなりかねません。
本記事では、経理BPOで委託できる業務範囲とメリット、費用相場、社内に残す業務の切り分け方、失敗しない選び方の6つのポイントまで分かりやすく解説します。

経理BPOとは、経理業務の一部または全体を、業務プロセスの設計から日々の運用までまとめて外部の専門会社に任せる仕組みです。
BPOはビジネス・プロセス・アウトソーシングの略で、作業を人手として切り出すのではなく、業務の流れごと引き受けてもらう点に特徴があります。
経理は仕訳のルールや締めのスケジュールが会社ごとに固まっており、手順が決まっている業務が多いため、外部へ移しやすい領域だといえます。
単発の作業代行とは異なり、月次や年次で繰り返す業務を継続して任せる前提の契約が一般的です。
国内のBPO市場も拡大が続いており、2024年度の市場規模は前年度比4.0%増の5兆786億円と推計されました。
この調査では非IT系BPOに経理代行が含まれており、間接部門の業務を外部に委ねる動きが定着しつつあることが読み取れます。
委託先が業務の設計から関わるため、単に人手を借りるのとは効果の出方が変わる点が特徴です。
参考:矢野経済研究所「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査(2025年)」
経理の外部委託には複数の呼び方があり、任せられる範囲と責任の持ち方がそれぞれ異なります。
違いを分ける最大の起点は、指揮命令権が自社に残るのか委託先へ移るのかという点です。
委託範囲 | 指揮命令権 | 改善提案 | 想定期間 | |
|---|---|---|---|---|
経理BPO | 業務プロセス全体 | 委託先 | 含む | 中長期 |
記帳代行 | 記帳・仕訳などの単一作業 | 委託先 | 含まない | 単発〜年単位 |
経理アウトソーシング | 作業単位で切り出した業務 | 委託先 | 含む場合がある | 短期も可 |
人材派遣 | 自社が指示する作業 | 自社 | 含まない | 契約期間内 |
経理BPOは業務の設計や改善提案まで含めて任せられるため、担当者が固定されなくても業務が回る状態をつくれます。
記帳代行は範囲が明確で導入しやすい反面、業務フローの見直しまでは踏み込みません。
人材派遣は自社で指示を出す前提の契約となるため、手順が固まっていない経理業務ではかえって管理工数が増えます。
経理アウトソーシングという言葉は、作業単位の切り出しから業務プロセス全体の委託まで、幅広い意味で使われている表現です。
呼び方だけで判断せず、契約書に書かれた業務範囲と責任の所在を確認することが大切です。
経理BPOで任せられる業務は、発生する頻度で整理すると社内でも検討しやすくなります。
日次で回る処理から年に一度の決算まで、締めのタイミングごとに難易度と必要な専門性が変わるためです。
ここでは、委託できる業務範囲を5つに分けて解説します。
日次業務:記帳・仕訳、経費精算、支払処理
月次業務:請求書発行、売掛・買掛管理、月次決算
年次業務:年次決算、年末調整の補助
専門・非定型業務:業務フロー改善、顧問税理士との連携
給与計算・社会保険手続きなどの周辺業務
日々発生する取引の記帳や仕訳入力は、経理BPOでもっとも多く委託される領域です。
経費精算の内容チェックや、振込データの作成といった支払処理も任せられます。
これらは処理のルールが決まっているため、判断基準を渡しておけば委託先でも同じ品質を再現できます。
一方で領収書や請求書の受け渡し方法を先に決めておかないと、確認のやり取りが増えて効果が薄れかねません。
月次の請求書発行や入金確認、売掛金と買掛金の残高管理も委託の対象になります。
月次決算については、試算表の作成や勘定科目ごとの残高照合までを任せる形が一般的です。
締め日から何営業日で数字を出すのかを最初に決めておけば、経営会議のスケジュールも崩れません。
数字の最終確認と経営への報告に加え、未入金の督促をどちらが担うのかも契約時に整理しておきます。
年次決算では、決算整理仕訳の作成や勘定科目内訳明細書の準備といった補助業務を委託できます。
年末調整についても、書類の回収や記載内容のチェックを任せる企業が少なくありません。
年に一度しか発生しない業務は社内に手順が残りにくく、外部の知見を借りる効果が大きく出ます。
ただし申告自体は委託範囲に含まれないため、顧問税理士との役割分担の整理が必要です。
経理BPOでは、業務フローの見直しやマニュアル整備といった改善提案まで含めて依頼できる場合があります。
会計ソフトの設定変更や、証憑の電子化に合わせた手順の作り直しを支援するサービスもあります。
顧問税理士や監査法人とのやり取りを、窓口としてまとめて引き受ける形も選択可能です。
こうした非定型業務は委託先の力量が出やすいため、提案の具体性を見極めることが重要です。
経理と隣接する領域として、給与計算や社会保険に関する手続きを一緒に委託する企業もあります。
給与データは支払処理や仕訳と連動するため、まとめて任せると受け渡しの手間が減る点も利点です。
ただし社会保険や労働保険の手続き代行は、社会保険労務士の独占業務にあたる範囲があります。
どこまでを委託できるのかは、社会保険労務士などの専門家にご確認ください。

委託の成否は、業務範囲をどこで線引きするかでほぼ決まります。
手順が決まった処理と、責任をもって判断すべき業務を混ぜたまま渡すと、確認の往復が発生し、手放したはずの工数が戻ってきかねません。
ここでは、切り分けの考え方を3つの区分に分けて解説します。
出せる業務:手順と判断基準が決まった定型処理
残る業務:承認・意思決定と最終責任
委託できない業務:税務申告など税理士の独占業務
委託に向いているのは、誰が担当しても同じ結果になる業務です。
仕訳の入力ルールが決まっている記帳や、金額と証憑を突き合わせるだけの支払処理が代表例として挙げられます。
判断が必要な場面でも、この条件ならこの科目という基準を文書化できていれば委託できます。
逆に判断基準が担当者の頭の中にしかない業務は、そのまま渡しても品質が安定せず、先に言語化が必要です。
支払の承認や予算との差異分析、経営への報告は自社に残す業務です。
会計方針の判断や決算数値の最終確定、税務上の取り扱いを決める場面も社内で担う必要があります。
経理BPOを使っても、財務諸表の作成責任と開示責任が自社にある点は変わりません。
委託後は処理する人ではなく内容を確認して判断する人が必要になるため、担当者の役割そのものを作り直しておきます。
税務代理や税務書類の作成、税務相談は税理士法で税理士の独占業務と定められており、BPO会社には委託できません。
法人税の申告書作成や税務調査への対応は、顧問税理士に依頼する前提で体制を組みます。
経理BPO会社が税理士法人と提携していれば、窓口を一本化できる場合もあります。
自社の委託内容が問題ないかどうかは、契約前に税理士などの専門家にご確認ください。
固定費を変動費に置き換えられることや、社内の人員を利益に直結する業務へ振り向けられることは、経理に限らずBPO全般に共通する効果です。
一方で経理に固有のメリットは、締め日という動かせない期限を抱えた業務ならではの部分に表れます。
ここでは、経理特有の5つのメリットを解説します。
決算スケジュールの遅延リスクを抑えられる
繁忙期と閑散期の負荷差を平準化できる
担当者の退職・休職による業務停止リスクを減らせる
法改正や制度変更への対応を任せられる
第三者の目が入り内部牽制が働く
経理が抱えているのは、月次決算や年次決算といった動かせない期限です。
担当者が一人で処理を抱えている状態では、体調不良や退職が起きた時点で締めが止まってしまいます。
委託先には複数の担当者が付く体制が組まれるため、誰かが対応できなくても業務が続きます。
締め日から数値確定までの日数を契約で決めておけば、経営会議や取締役会の日程も安定して組める点が利点です。
経理には月初の請求処理や決算期のように、業務量が跳ね上がる時期があります。
自社の人員だけで対応しようとすると、繁忙期に合わせた人数を閑散期も抱え続けることになりかねません。
経理BPOなら、繁忙期だけ委託量を増やす契約や、決算業務をスポットで任せる形も選べます。
必要な時期に必要な量だけ処理能力を足せるため、残業の偏りを抑えながら体制を保てます。
経理は担当できる人が限られており、退職や休職が業務の停止に直結しやすい部門です。
経理担当者441名への調査では、経理業務のみを担当している人は38.9%にとどまりました。
6割以上が他部門と兼務しており、引き継ぎの時間も確保しづらい状況が続いています。
経理処理を外部に移しておけば、社内の異動や欠員が起きても業務そのものを継続できる点が強みです。
経理業務は、税制改正や会計基準の変更といった制度面の影響を受けます。
改正のたびに要件を調べ直し、社内の手順を書き換える作業が必要です。
経理BPOなら、こうした制度対応の実務を専門の事業者側で吸収してもらえます。
自社は方針の判断に集中でき、調査や手順修正の工数を抱え込まずに済む点が利点です。
担当者が一人しかいない体制では、この負担の差が大きく表れます。
担当者が一人で処理から確認まで担う状態は、不正やミスが見逃されやすい体制です。
外部の事業者が処理に関わることで、社内の承認と処理の担い手が自然に分かれます。
金額や証憑の不一致が第三者の視点で指摘されるため、牽制が働きます。
監査や税務調査の場面でも、処理の根拠を示しやすくなる点も効果の一つです。
内部統制の観点からも、委託は選択肢の一つになります。
参考:
・株式会社インボイス「経理担当者441名への調査 経理人材不足アンケート」
・帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」

経理BPOを検索すると、やめとけという声も目に入ります。
その多くは委託そのものの問題ではなく、範囲の設計や社内の受け入れ体制に原因があるケースです。
ここでは、経理でとくに起こりやすい5つの失敗パターンを解説します。
委託範囲が曖昧だと社内の確認工数がかえって増える
会計ソフトと連携できず二重入力が発生する
証憑のやり取りで情報漏えいリスクが生じる
経理の判断基準が社内に残らなくなる
社内の担当者が新しい運用に慣れるまで負荷が増える
どこまでを任せるのかが曖昧なまま始めると、判断に迷った案件がすべて社内へ差し戻されます。
一件ごとに問い合わせへ回答する状態になり、処理を手放したはずなのに拘束時間が減りません。
イレギュラーな取引をどう扱うのかを、契約時に例示つきで決めておくことが有効です。
想定外のケースが出たときの判断ルートも、あらかじめ定めておけば差し戻しを抑えられます。
委託先が自社の会計ソフトへ直接アクセスできない場合、データの受け渡しが手作業になります。
委託先が作った一覧を社内で入力し直すことになれば、作業量はほとんど変わりません。
同じ数字を二度入力する工程が残ると、転記ミスの発生源が増えるうえに、担当者の負担感も消えません。
契約前に、どのソフトへどの形式でデータが入るのかを具体的に確認しておく必要があります。
経理業務で扱うのは、請求書や通帳、給与データといったきわめて機微な情報です。
授受の方法がメール添付のままだと、送付先の誤りやファイルの放置による漏えいが起こりえます。
委託先のセキュリティ体制だけでなく、自社側の受け渡し手順も同時に見直さなければなりません。
アクセス権限を持つ担当者の範囲と、証憑の保管期間についてもルールを文書で残しておきます。
処理を長く外部に任せていると、なぜその科目で処理するのかを説明できる人がいなくなります。
委託先を切り替える場面や内製に戻す場面で、引き継ぎができず立ち往生しかねません。
判断基準を委託先任せにせず、自社側でも最新のマニュアルとして保持しておくことが必要です。
定例の報告会で処理内容のレビューを続けておけば、知見を社内に残しながら運用できます。
委託を始めた直後は、社内の作業手順そのものが入れ替わることになります。
証憑の渡し方や質問の仕方に慣れるまでは、これまでより時間が必要です。
効果が見え始めるのは、並行運用を終えて新しい手順が定着したあとです。
導入直後の数字だけで判断せず、数か月単位で評価する前提を社内で共有しておきます。
立ち上がり期の負荷を織り込んでおくことが、途中で止めない条件です。
経理BPOの費用は、料金体系と委託する業務量の組み合わせで決まります。
同じ月額でも、含まれる件数の上限や決算対応の有無で実質的な単価が変わるため、比較には前提を揃える作業が必要です。
ここでは、料金の目安と費用が動く要因、比較の観点を解説します。
サービスのタイプ別の料金の目安
料金体系は月額固定型と従量課金型に分かれる
費用が上下する4つの要因
見積もりを比較するときは前提を揃える
経理BPOの料金は、サービスのタイプごとに価格帯が大きく違う点が特徴です。
記帳の入力だけを請け負うタイプは仕訳数に連動し、月数千円からの料金表も公開されています。
一方で月次締めや税理士連携まで含む包括型は、稼働時間をもとにした月20万円台からの水準です。
仕訳数と稼働時間のどちらで課金されるかでも総額は変わります。
以下は、各社が公開している料金の例です。
主な委託範囲 | 公開されている料金の例 | |
|---|---|---|
記帳代行系 | 記帳・仕訳の入力 | 月間30仕訳で4,950円、100仕訳で16,500円、300仕訳で49,500円 |
会計事務所系 | 記帳代行と税務顧問の組み合わせ | 月間100仕訳以内で10,000円、200仕訳以内で15,000円(税務顧問報酬は別) |
包括委託系 | 記帳から月次締め・税理士連携まで | 稼働30時間で月22.5万円、従業員50〜100名規模で月22.5〜68万円(いずれも税抜) |
経理BPOの料金体系は、大きく月額固定型と従量課金型の2つに分かれます。
月額固定型は処理件数の上限を決めて定額で契約する形式で、年間の予算を組みやすい点が利点です。
従量課金型は仕訳1件あたりや請求書1枚あたりで単価が決まり、業務量の変動に合わせて費用が動きます。
繁閑差が大きい会社は従量課金型、件数が安定している会社は月額固定型が合っています。
費用を左右する要因の一つ目は、委託する業務の範囲です。
記帳だけを任せる場合と、請求から月次決算まで含める場合では、必要な工数が大きく変わります。
二つ目は処理件数で、仕訳や請求書の枚数が増えるほど費用は上がります。
三つ目は証憑の受け渡し方法、四つ目は決算対応を含めるかどうかで、いずれも金額を左右する要素です。
自社の業務を整理してから見積もりを依頼します。
複数社を比較する際は、同じ業務範囲と同じ処理件数を前提にして見積もりを依頼します。
前提が揃っていない見積もりを並べても、金額差が範囲の差なのか単価の差なのか判別できないためです。
確認したい費用項目は次のとおりです。
費用項目 | 内容 | 確認しておきたい点 |
|---|---|---|
初期費用 | 業務の引き継ぎや初期設定にかかる一時費用 | 無償か有償か、どこまでが範囲か |
月額基本料 | 定額で対応してもらう業務の料金 | 含まれる処理件数の上限 |
従量料金 | 処理件数に応じて加算される料金 | 単価と加算が始まる件数 |
スポット料金 | 決算や年末調整など単発業務の料金 | 依頼のリードタイムと対応上限 |
解約時費用 | 契約終了時に発生する費用 | 通知期間と引き継ぎの範囲 |
月額に含まれる件数の上限と、上限を超えたときの単価は必ず確認しておきます。
解約時の費用まで含めると、契約期間全体の総額が見通せる状態です。
参考:

経理BPOは、すべての会社に等しく効果が出る手段ではありません。
業務量と手順の固まり具合、そして社内に残せる人員の有無によって、向き不向きが分かれます。
自社がどちらに近いのかを見極めることが、判断の出発点です。
まず、目安を整理します。
業務量 | 手順の状態 | 社内の人員 | 取引の判断 | |
|---|---|---|---|---|
向いている企業 | 月ごとに安定している | 標準化されている | 採用が難しく一人体制 | ルール化できる |
向いていない企業 | 変動が激しい | 担当者ごとに異なる | 確認役を置けない | 案件ごとに変わる |
向いているのは業務量が安定し手順が固まっている会社
向いていないのは手順が固まっていない会社
委託の効果が出やすいのは、月ごとの業務量が読めて、手順が標準化されている会社です。
委託する範囲を明確に切り出せるため、見積もりの精度も上がります。
経理の採用が難しく、担当者が一人という体制でも効果は大きく出ます。
業務が止まるリスクをそのまま抱えている状態と比べれば、委託の価値は明確です。
拠点が複数あり、処理のルールを揃えたい会社にも向いています。
反対に、担当者ごとに処理の手順が違う会社は、そのまま委託しても効果が出にくい状態です。
判断基準を渡せないため、イレギュラーごとに社内へ差し戻されます。
取引の内容が毎回変わり、その都度判断が必要な業務も委託には向きません。
この場合は、まず社内で手順を標準化してから委託を検討する順序が現実的です。
標準化の過程で、委託せずに回せると判断できる場合もあります。
経理BPOの見積もりを取る前に、自社の業務を見える状態にしておくことが欠かせません。
委託範囲を言葉で説明できなければ、見積もりの精度も上がらず、委託後の差し戻しも増えてしまいます。
ここでは、委託前に踏んでおきたい3つのステップを解説します。
年間の経理業務を洗い出して一覧化する
業務ごとに手順と判断基準を書き出す
委託範囲と社内の受け入れ体制を決める
最初に取り組むのは、日次・月次・年次のサイクル別に発生している業務をすべて書き出す作業です。
書き出す際には、担当者と締め日に加えて、想定している所要時間も一緒に記録しておきます。
年末調整や償却資産の申告のように年一回しか動かない業務は、抜けやすいため意識して拾います。
一覧ができた時点で、委託候補と社内に残す候補の輪郭が見えてくるはずです。
次に、一覧化した業務ごとに、実際の作業手順を最初から最後まで順番どおりに書き出します。
このとき重要なのは、どの条件でどう処理するのかという判断基準まで言語化しておく点です。
判断基準が書けない業務は属人化しているサインであり、委託しても品質が安定しません。
書き出した手順はそのまま委託先への引き継ぎ資料に使えるため、移行の工程も短縮できます。
最後に、どの業務を委託し、どの業務を社内に残すのかを決めます。
同時に、委託先から上がってきた処理を誰が確認し、誰が承認するのかという受け入れ側の役割も決めておくことが大切です。
イレギュラーが起きたときの連絡経路と判断者を先に定めておけば、運用開始後の混乱を避けられます。
業務に担当者と期限を割り当てて進捗を追える状態にしておけば、委託後の確認も滞りません。
経理BPOの選定では、実績や料金といった一般的な条件だけでは判断しきれません。
締め日と会計ソフト、そして顧問税理士という経理固有の前提に合うかどうかが分かれ目になります。
ここでは、確認しておきたい6つのポイントを解説します。
自社の会計ソフトと連携できるか
自社の決算スケジュールに合わせられるか
顧問税理士との連携実績があるか
証憑の授受方法とセキュリティ体制が明文化されているか
繁忙期の増量とスポット対応が可能か
担当体制の継続性と引き継ぎの仕組みがあるか
まず確認したいのは、自社が使っている会計ソフトへ委託先が直接入力できるかという点です。
クラウド会計であればアカウントを付与して権限を絞る運用ができ、二重入力を避けられます。
インストール型の場合は、データの受け渡し方法と反映のタイミングを詰めておきます。
将来ソフトを乗り換える可能性があるなら、対応できる製品の幅も併せて聞いておくと安心です。
月次決算を締め後何営業日で終えたいのかを具体的に伝え、その日程で回せるかどうかを確認します。
委託先の標準スケジュールが自社の目標より遅い場合、経営会議の日程を後ろにずらさざるをえません。
年次決算や監査対応の繁忙期に、どの程度まで対応可能なのかも事前に聞いておきます。
納期を契約書に明記できるかどうかは、体制の裏付けがあるかどうかを見極める材料です。
税務申告は税理士の業務となるため、委託先と顧問税理士の連携は避けて通れません。
決算データの受け渡し方法や、質問のやり取りをどちらが担うのかを決めておく必要があります。
税理士法人と提携している委託先なら、経理処理から申告までを一つの窓口にまとめられます。
自社の顧問税理士に同じ形の連携経験があるかどうかも、あわせて確認しておくと進めやすい部分です。
請求書や通帳データをどの経路で渡すのかが、書面で定められているかを確認します。
プライバシーマークやISMSといった認証の有無に加え、担当者ごとのアクセス権限の設計まで見ておきたい部分です。
再委託が発生するのかどうか、発生する場合の管理責任の所在も契約書で確かめます。
情報漏えいが起きた際の報告手順と連絡先が決まっているかも、判断材料の一つです。
経理は月初や決算期に業務量が集中するため、量の変動に対応できるかが実務上の分かれ目になります。
繁忙期だけ処理量を増やせるのか、その場合の料金がどう変わるのかを確認しておきます。
決算だけを単発で任せるスポット契約に対応しているかどうかも、選択肢として確かめておきたい点です。
契約解除や委託先変更を申し出る際の通知期間と、引き継ぎ範囲も先に押さえておきます。
委託先の担当者が頻繁に変わると、そのたびに自社の業務内容を説明し直すことになります。
専任の担当者が付くのか、チーム制で対応するのかは事前に確認したい点です。
委託先の内部で引き継ぎ資料を残す仕組みがあるかどうかも、確認しておきたい点です。
担当交代の連絡ルールが決まっていれば、品質のばらつきも抑えられます。
体制の継続性は、長く任せるほど品質に表れる部分です。

委託先が決まったあとの立ち上げは、決まった順序で進めると失敗を避けられます。
引き継ぎを急ぐと処理の抜け漏れが起き、逆に慎重すぎると効果が出るまで長期化しがちです。
ここでは、契約から定着までの4つのステップを解説します。
契約内容と委託範囲を合意する
マニュアルとデータを引き継ぐ
並行運用でズレを検証する
運用ルールを固めて定着させる
最初に、委託する業務と社内に残す業務を、契約書と業務範囲表の両方に落とし込みます。
納期や報告の頻度、イレギュラーが起きたときの判断ルートも、ここで文書化する対象です。
口頭の合意だけで進めると、運用開始後に認識のずれが表面化しやすくなります。
秘密保持契約の締結や再委託の可否も、この段階で確認しておきます。
範囲表は運用開始後の判断基準にもなる資料です。
次に、可視化の段階で作成した手順書と判断基準を委託先へ渡します。
会計ソフトのアカウント発行や、証憑を受け渡す経路の設定も、このタイミングで行います。
過去の仕訳データや取引先マスタの共有も、初月の処理精度を左右する要素です。
質問と回答をまとめる場所を一つ決めておけば、やり取りが散らばりません。
引き継ぎの抜けは初月の遅延に直結するため、一覧で確認します。
引き継ぎが終わったあとは、いきなり全面移行せず、1〜2か月の並行運用期間を置きます。
自社の処理と委託先の処理を突き合わせ、科目の選び方や金額の差異を点検する期間です。
この期間に出た差異の多くは、判断基準の書き方が曖昧だったサインです。
基準を修正しながら進めることで、本稼働後の差し戻しを大きく減らせます。
並行運用の結果は、委託範囲の判断材料にもなります。
本稼働に入ったあとに必要なのは、月次の報告会で処理内容と課題を確認する運用です。
差異や遅延が出た場合は、原因を手順書に反映して次月へ持ち込みません。
委託範囲を広げるのか絞るのかも、この定例の場で判断していきます。
運用が安定したあとに測っておきたいのは、社内に残した確認業務の工数です。
削減できた工数と品質の両面から評価すると、次の改善点も見えてきます。

ここまで、経理BPOで委託できる業務範囲と、社内に残すべき判断業務の切り分けについて解説してきました。
この整理を進めると、手順を可視化して標準化できれば委託せずに社内で回せる業務も見えてきます。
その内製化を支える手段の一つが、業務改善プラットフォームの「mfloow」です。
mfloowは、業務フローの整理からマニュアル化、進捗管理・タスク管理、分析までを一気通貫で行えます。
本記事で挙げた年間の経理業務を洗い出す工程と、手順や判断基準を書き出す工程は、mfloow上で業務フローとして可視化し、担当者と期限を割り当てる形で進める運用が可能です。
月次決算や請求書発行のように毎月繰り返す業務については、時期が来ると自動で立ち上がり、担当者と期日が設定されるため、抜け漏れを防げます。
会計ソフトなどの外部SaaSやAIと連携して処理を自動化できるので、委託の場面でも起こりがちな二重入力を減らせる点も特長です。
さらにダッシュボードで担当者ごとの負荷を可視化できるため、繁忙期のボトルネックを特定して業務改善につなげられます。
委託と内製のどちらを選ぶ場合でも、まず業務を見える状態にすることが出発点です。
A.費用は委託する業務範囲と処理件数によって大きく変わります。
記帳のみを任せる場合と、請求から月次決算まで含める場合では、料金の体系そのものが異なります。
見積もりを比較する際は、月額に含まれる件数の上限と、超過したときの追加料金を必ず確認してください。
A.小規模な会社でも利用できます。
むしろ担当者が一人の体制は、退職や休職で業務が止まるリスクが大きいため、委託の効果が出やすい状況だといえます。
まずは記帳や支払処理といった定型業務から部分的に委託し、様子を見ながら範囲を広げる進め方が現実的です。
A.証憑の保存やインボイス要件の確認といった実務は、委託の対象に含められます。
ただし制度への対応方針を決めるのは自社の役割となるため、要件をどう満たすかは社内で判断する必要があります。
制度解釈に踏み込む論点については、顧問税理士などの専門家にご確認ください。
A.何も手を打たなければ、処理の判断基準は社内から失われていきます。
委託前に手順と判断基準を文書化し、運用開始後も定例の報告会で処理内容を確認する運用にしておけば、知見は社内に残せます。
マニュアルを自社側で保持しておくことは、委託先の切り替えや内製化への備えとしても有効です。
A.業務範囲の擦り合わせと引き継ぎに、一般的には1〜3か月程度を見込みます。
自社の業務手順が文書化されていれば期間は短縮できますが、洗い出しから始める場合は余裕を持った計画が必要です。
決算期をまたぐ時期は負荷が重なるため、繁忙期を避けて移行時期を設定することをおすすめします。
A.多くの場合、チャットツールや専用のポータルで質問と回答をやり取りします。
証憑はクラウドストレージや専用の受け渡し画面を使う形が一般的です。
窓口となる担当者を自社側でも一人決めておくと、やり取りが分散しません。
月次の報告会をあわせて設定しておけば、認識のずれも早く見つかります。
A.処理と承認を分ける設計にしておけば、内部統制は保てます。
むしろ第三者が処理に関わることで、牽制が働きやすくなる面もある点は見逃せません。
承認権限を社内に残す前提を崩さないことが条件です。
委託先の作業記録が残る仕組みかどうかは、契約前に確認しておいてください。

経理BPOとは、記帳や請求書処理、月次決算といった経理業務のプロセスを、設計から運用までまとめて外部の専門会社へ委託する仕組みです。
記帳代行が単一作業の代行にとどまるのに対して、経理BPOは業務の流れごと任せられる点に違いがあります。
委託できる業務は日次の記帳や支払処理から、月次の請求管理、年次決算の補助、業務フローの改善提案までと幅広いです。
一方で、支払の承認や決算数値の最終確定は自社に残り、税務申告は税理士の独占業務にあたるため委託できません。
得られるメリットは、決算遅延リスクの抑制、繁忙期の負荷平準化、退職や休職による停止リスクの低減、法改正対応の吸収、第三者による内部牽制という5点です。
やめとけと言われる背景には、委託範囲の曖昧さや会計ソフトの非連携、判断基準の空洞化といった設計上の問題があります。
費用は料金体系と業務量で決まるため、同じ業務範囲と処理件数を前提に見積もりを取って比較してください。
向いているのは業務量が安定して手順が標準化されている会社で、担当者ごとに手順が違う状態のままでは効果が出にくくなります。
委託先の選定では、会計ソフトとの連携、決算スケジュールへの対応、顧問税理士との連携実績、証憑授受とセキュリティ、繁忙期の増量対応、担当体制の継続性という6点を確認します。
いずれの判断をするとしても、出発点は年間の経理業務を洗い出し、手順と判断基準を書き出して見える状態にすることです。
委託と内製のどちらを選ぶかを見極める材料として、業務の可視化から着手できるmfloowの資料もご覧ください。
この記事を書いたライター

mfloowブログ編集部
mfloowブログ編集部メンバーが不定期で更新します。業務効率化やバックオフィス業務をテーマに、読者の皆さまのお役に立てる情報を解説しています!
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