
2026.06.23
業務フローとは、会社や組織で行われる業務の流れを図に表したものです。
「誰が」「いつ」「何をするのか」を一目で共有できるため、作業の標準化や効率化には欠かせない仕組みと言えるでしょう。
近年ではDXの推進や業務効率化の流れもあり、業務フローの活用がさらに重要視されています。
本記事では、業務フローの定義やワークフローとの違い、目的や作成手順、改善に活かすポイントまでをわかりやすく解説します。

業務フローとは、特定の業務を完了させるまでの一連の手順や作業を図式化したものを指します。
フローチャート形式で「誰が」「いつ」「何をするのか」を時系列に示し、業務全体の流れを可視化します。
たとえば、ホテルの予約受付業務では、お客様からの電話応対から予約情報のシステム登録までの手順を時系列で追い、関係する「お客様」「受付係」「システム」の動きの見える化が可能です。
業務フローを明確にしておくことで、トラブル発生時に問題箇所を把握しやすくなるといった利点があります。
業務改善やシステム導入の場面で混同されがちな「業務フロー」と「ワークフロー」ですが、両者は対象とする範囲や目的、そしてお互いの関係性が異なります。
それぞれの役割を正しく理解することで、業務整理やツール選定を的確に進めることができます。
業務フローは、特定業務の開始から終了までの全体的な流れを可視化する考え方です。
作業手順だけでなく、関与する部署や担当者、情報の動きなどを含めて整理します。
業務全体を俯瞰できるため、無駄や属人化、ボトルネックの洗い出しに有効であり、業務改善やマニュアル作成の基礎として包括的な視点で活用されます。
一方ワークフローは、経費精算や稟議の申請・承認といった、特定業務の社内手続きに焦点を当てたプロセスです。
決まった手順をいかに効率よく回すかが目的であり、専用システムでの電子化・自動化によって処理スピードの向上やミス防止を図るなど、運用効率に直結するのが特徴です。
両者の関係性を整理すると、ワークフローは業務フローの中に含まれる「一要素」として位置づけられます。
つまり、業務の全体最適を考える場合は業務フローを描き、その中にある特定の手続き部分を効率化する場合にはワークフローを見直すといったように、目的に応じて両者を使い分けることが重要です。
比較項目 | 業務フロー | ワークフロー |
対象範囲 | 業務の開始から終了までの全体的な流れ | 特定業務の社内手続きなど局所的なプロセス |
定義・特徴 | 手順、関与する部署・担当者、情報の動きなどを包括的に可視化する考え方 | 経費精算や稟議の申請・承認など、決まった手順を回す手続き |
主な目的 | 業務の全体最適 | 運用効率の向上 |
両者の関係性 | ワークフローを包み込む「大きな枠組み」 | 業務フローの中に含まれる「一要素」 |
業務フローを作ることは単なる図式化ではなく、業務の抜け漏れや属人化を防止し、全体を可視化して改善につなげることが目的です。
また、ITツールやシステム導入時の要件整理や、業務の引き継ぎや新人教育を円滑にする目的もあります。
以下では、これらを目的ごとに詳しく解説します。
業務の抜け漏れや属人化を防ぐ
業務全体を可視化し改善につなげる
ITツール・システム導入の要件整理
引き継ぎ・教育を円滑にする
業務フローを作成することで、業務プロセスのブラックボックス化を防ぎ、手順の抜けや漏れを未然に防止することが可能です。
流れを図で全体把握することで、どの工程が抜けても良いかを事前に洗い出せるため、重要な作業の漏れを防ぐ効果があります。
同時に、業務知識が特定の担当者だけに偏る「属人化」の解消にもつながります。
フローチャートにより業務手順が共有されれば、特定の人だけが知るノウハウを組織全体で共有でき、担当者の異動や退職があってもスムーズに業務を引き継ぐことができるでしょう。
業務フロー図により業務全体を俯瞰することで、非効率な工程やムダが一目でわかります。
複数の担当者や部署にまたがる複雑な業務でも、フロー図に落とし込めば工程の重複や無駄な手順が可視化され、ボトルネックの発見につながります。
たとえば、「同じような処理が二重に行われていないか」や「この工程は省略できないか」といった視点でフローを見直すことで、改善のヒントを得ることにもつながるでしょう。
業務フローを活用したこのような分析は、業務改善(カイゼン)やBPR(業務改革)の第一歩とも言えます。
新たにITツールや業務システムを導入する際にも、業務フローの作成が重要な役割を果たします。
現状の業務手順をフロー図に起こすことで、システム化すべきポイントや課題が明確になり、必要な要件を整理することが可能です。
実際、システム開発の要件定義では既存業務の業務フローを洗い出し、フロー図を作成することが一般的です。
業務フローが明確になれば、発注側の意図が正確に共有され、ベンダー側も最適な提案を行いやすくなります。
こうした要件整理により、「どの業務をシステム化するか」「どこに自動化ツールを適用するか」といった判断がしやすくなり、IT導入の成功率が高まります。
業務フロー図は、引き継ぎ資料や新人教育のツールとしても活用できます。
予備知識のない新人でも、きちんと整理された業務フローがあれば業務の大まかな流れを直感的に理解しやすくなります。
また、担当者が異動・退職する際の引き継ぎでも、フロー図があれば抜け漏れなく手順を伝えることが可能です。
通常の業務ではいちいちフロー図を作らないことも多いですが、作成しておけば引き継ぎや新人教育時に非常に役立つとされています。
業務フローのおかげで共通認識が醸成され、教育や引き継ぎが円滑に進むでしょう。
業務フロー図は、特定の課題や場面で活用されることが多くあります。
現場の作業手順を標準化したり、複数部署にまたがる業務を整理したりする際に役立つほか、外部の協力会社との認識合わせやERPなど基幹システム導入時にも業務フローが活躍します。
以下では、業務フローが特によく活用される代表的なシーンについて見てみましょう。
現場業務の標準化・教育
部署間・部門横断業務の整理
外部ベンダー・委託先との認識合わせ
ERP・基幹システム導入時
業務フロー図は、現場レベルの業務を標準化するために有効です。
属人化しがちな作業手順をフロー図で明確に定義することで、誰が作業しても一定の品質で業務を遂行できるようになります。
たとえば、金融機関では、窓口業務のフローを作成しておくことで事務処理が標準化され、スタッフの異動時でもスムーズに引き継ぎが行えます。
製造業の生産管理の現場でも、業務フロー図によって作業手順を見える化することで、問題点の洗い出しや業務効率化に役立つでしょう。
このように、現場業務に業務フローを取り入れることで、教育や日常業務のばらつきを抑え、安定したオペレーションが可能になります。
一つの業務が複数の部署にまたがる場合でも、業務フロー図を用いることで全体像を整理できます。
部門横断的なプロセスは関係者間で認識がズレやすいですが、フロー図を共有しておけば各部署の責任範囲が明確になり、手戻りを防止することが可能です。
たとえば、営業部から経理部へ引き継ぐ処理も、フロー上で誰がどの時点で何を行うかを示しておけばスムーズな連携にもつながります。
関係者全員で合意した業務フローを整備すれば、業務ごとの責任の所在がはっきりし、全体の流れの中で不要なプロセスや改善余地のある箇所も見えるでしょう。
このように、部署間の業務整理に業務フローを活用すれば、部門をまたぐタスクも円滑に遂行できます。
自社の業務の一部を外部ベンダーや委託先に任せる場合にも、業務フロー図は認識合わせの強力なツールです。
整理されたフロー図があれば、委託先に対して業務手順をスムーズに説明でき、教育にかかる工数を大幅に削減でき、その結果外部委託の立ち上げも迅速化します。
業務フローを共有することで、社外のパートナーとも「誰が・何を・いつ・どのように行うか」の共通理解が得られ、ミスや行き違いを防ぎやすくなります。
ERPなど基幹システムの導入時には、現行業務の業務フローを把握・整理することが欠かせません。
既存の業務フローを洗い出すことで、どの業務をデジタル化(システム化)できるかを明確にし、全体を理解することが大切です。
また、ERP導入によって各業務で何が変わるのかをフロー図上で示すことで変更点を関係者が共有しやすくなります。
さらに、社外に委託している業務や契約にも影響が出る場合は、その変化もフロー上で可視化が可能です。
このように、As-Is(現状)と To-Be(将来)の業務フローを書き出すことで、ERP導入に伴うギャップを洗い出し、導入プロジェクトの成功に繋げることができます。

ここからは、業務フロー図を構成する基本要素について説明します。
業務フロー図を描く際には、いくつかの共通した図形や記号を用いてプロセスを表現する仕組みです。
代表的な要素として、開始・終了を示す端子マーク、作業・処理を示すプロセス記号、分岐・条件判断を示す判断記号、そして担当者・部署ごとに区分けするスイムレーン(レーン)があります。
それぞれの役割について以下で解説します。
開始・終了
作業・処理
分岐・条件判断
担当者・部署(スイムレーン)

業務フロー図には必ず「開始」と「終了」のポイントが存在します。
開始・終了を表す図形は、フローチャート用語で「端子(ターミナル)」とも呼ばれ、丸みを帯びた長方形などの形で描かれます。
開始図形の中には業務を始めるきっかけ(トリガー)となる状態や操作を記入し、終了図形には業務が完了した際の状態(アウトプット)を記載しましょう。
開始地点と終了地点を明確に示すことで、フロー全体の範囲とゴールが誰にとっても分かりやすくなります。
スタートが不明確なフロー図では意味のある業務フローにならないため、必ず明示することが重要です。

業務フロー図中の各作業(処理)は、一般的に長方形の「プロセス」図形で表されます。
各プロセス箱の中には、行う作業内容を簡潔に記述してください。
このプロセス図形はフロー図で最も頻繁に使用される基本要素で、1つの枠には原則として1つの作業だけを書き、複数の処理を詰め込まないようにするのがポイントです。
作業内容を細かく分けて記入することで、フロー図を見た人が各ステップで何をするのかを直感的に理解しやすくなります。

業務フローにおける条件分岐は、ひし形の「判断」図形で表します。
一つの処理から複数のパターンに分かれる場合に使用するもので、判断枠の中に条件や問いかけ(例:「在庫はあるか?」など)を書き入れましょう。
ひし形から条件ごとに次の処理への矢印を伸ばし、通常は2つ(YesとNo)の分岐となります。
条件分岐では、その条件をなるべく具体的に記述することが重要です。
分岐条件が曖昧だと、どちらの経路に進むべきか判断できず、フローが分かりにくくなってしまいます。
分岐の数も必要最低限に留め、条件もシンプルにすることで、全体の流れを理解しやすくできます。

業務フロー図では「誰がその作業を行うか」を明確にするために、スイムレーン(レーン)という区分を用います。
スイムレーンとはフロー図全体を担当者や部署ごとに区切った帯状の枠で、部署・役割ごとに分割された欄のことです。
たとえば、図を縦方向に「営業部」「経理部」「お客様」「システム」などのレーンに分割し、各作業をそれぞれの担当レーン上に配置します。
どのレーンにプロセスが配置されているかによって、「誰が」そのステップを実行するかが一目で分かります。
スイムレーンを取り入れることで、部署間の引き継ぎポイントや責任の所在が明確になり、業務フローの理解がより容易になるでしょう。
業務フロー図には、目的や状況に応じていくつかの種類があります。
基本的なシンプルなフロー図から、担当区分を明確にしたスイムレーン付きのフロー図、さらには現状(As-Is)と理想像(To-Be)を比較するフロー図まで、代表的な形式を押さえておきましょう。
適切な形式を選ぶことで、業務をより効果的に可視化できます。
以下でそれぞれの特徴を説明します。
シンプルな業務フロー図
スイムレーン付き業務フロー図
As-Is/To-Beフロー
シンプルな業務フロー図は、特定の業務について一連の手順を時系列に示した基本的なフローチャートです。
開始から終了までの流れを、プロセス(作業)と判断の図形を組み合わせて一直線上に表現します。
担当者や部署による区分(スイムレーン)は設けず、全体の処理手順をシンプルに把握したい場合に適しています。
たとえば、単一部署内で完結する短い手続きを説明する際には、このシンプルなフロー図で十分情報を伝えることが可能です。
ただし、関与する担当が多い場合や複雑なプロセスでは、後述のスイムレーン付きフロー図の方が適切です。
スイムレーン付き業務フロー図は、前述のスイムレーンを用いて担当別に区分したフローチャートです。
フロー図を縦または横方向に複数のレーンに区切り、各レーンに部署や担当者を割り当てた上で、プロセスを配置してください。
レーンを区切ることで、工程ごとに「誰が」実施するかが明確化され、部署間のやり取りや引き継ぎポイントも視覚的に把握しやすくなります。
複数の部門が関与する業務や、役割分担が明確でないと混乱を招くプロセスでは、スイムレーン付きの図を用いることで効果的に業務フローを伝えられます。
見た目はシンプルなフロー図より情報量が多くなりますが、その分、責任範囲や流れの全貌を正確に共有することが可能です。
As-Is/To-Beフローとは、現状の業務プロセス(As-Is)と、改善・変更後の理想的な業務プロセス(To-Be)を表した2種類の業務フロー図です。
現行業務の手順や問題点をAs-Isフローで洗い出し、その上でTo-Beフローとしてあるべき姿の手順を設計します。
現状と将来のフロー図を比較することで、どの工程を改善・削減すべきか、またどのような新しい手順やシステムが必要かといったギャップが明確になります。
たとえば、紙で行っている承認手続きをシステム化する場合、As-Isフローには紙と押印での現行手順を、To-Beフローには電子承認システムを使った新手順を描くことで違いを可視化することが可能です。
こうしたAs-Is/To-Beフローは、業務改善やシステム導入の検討において欠かせない基本フレームワークです。
続いて、業務フロー図を実際に作成する基本的なステップを紹介します。
闇雲に図を描き始めるのではなく、まず目的や範囲を明確に定めることが重要です。
以下では、一連の手順を順を追って解説します。
目的とスコープを明確にする
現行業務(As-Is)を洗い出す
業務の流れを時系列で整理する
図形・記号を使ってフロー化する
関係者で確認・修正する
業務フロー作成の第1ステップは、作成の目的と対象範囲を明確にすることです。
何のために業務フローを作るのかゴールが曖昧なままでは、単なる作業マニュアルのようになってしまい、期待する効果を得られません。
たとえば「業務をシンプルにしたい」「ムダを省きたい」「属人化を解消したい」「新システム導入のため現状を整理したい」など、フロー作成の狙いを具体的に定めます。
また、業務フローに含める範囲(どの部門・プロセスまで描くか)も事前に決めておきましょう。
目的とスコープが明確になれば、以降の作成作業の指針が定まり、効果的な業務フローを作りやすくなります。
次に、現行の業務手順(As-Is)を詳細に洗い出します。
関係者へのヒアリングや現場観察を通じて、業務がどのような手順で進んでいるかを一つひとつ書き出します。
この際、抜け漏れがないように日々の作業を棚卸しし、例外的な処理やイレギュラーな対応も含めて把握しておくことが重要です。
現在の業務フローを正確に把握することで、後のフロー図作成時に必要な全てのプロセスを盛り込むことができます。
ヒアリング結果をもとに箇条書きやメモで作業リストを作成し、現状のプロセス全体像を掴みましょう。
洗い出した作業を、どの工程から始まり何が順に行われてどう完了に至るか、時系列に沿って並べ直します。
時系列が錯綜した状態だとフロー図にしても分かりにくいため、まずはシンプルな直線的な順序として整理することが重要です。
並行して進む作業がある場合も、主となる軸の流れに沿ってどのタイミングで分岐・合流するかを決めておきます。
フロー図は可能な限り1枚にまとめ、収まらない場合は適宜サブフローに分割してコネクタ(ページ連結記号)で繋いでください。
このように時系列順に整理することで、業務フロー図の骨組みが出来上がります。
整理した手順をもとに、フローチャート形式で図を描いていきます。
使用する図形・記号の種類と意味をあらかじめ統一しておくと良いでしょう。
一般的には、開始・終了を表す端子(丸みのある四角)、作業を表す処理(長方形)、条件判断を表す判断(ひし形)など、定番の図形を用います。
これらのルールに従い、ExcelやPowerPointなどのツールでフローチャートを作成していきましょう。
前ステップで洗い出した全ての工程を矢印で順につなぎ、対応する図形に当てはめることで、業務フロー図の骨格が完成します。
最後に、作成した業務フロー図を関係者全員で確認し、必要に応じて修正します。
完成したフローを上から順に追いながら、手順の抜け漏れがないか、矛盾した流れになっていないかをチェックしましょう。
特に、新しく追加した工程や簡略化した箇所がある場合は、そこで抜け落ちた作業がないか注意深く確認します。
現場の担当者からフィードバックをもらい、実態と図の内容にズレがあれば適宜フローを修正してください。
こうしたレビューを経ることで、現実に即した有用な業務フロー図が完成します。

ここでは、作成した業務フロー図をより分かりやすくするためのポイントを紹介します。
フロー図を作っても、記号の使い方がバラバラだったり、情報が詰め込みすぎて見づらいと意味がありません。
以下で主なポイントを順に解説します。
事前に表記ルールを統一する
使用する図形・記号を絞る
開始点・終了点を明確にする
分岐条件を具体的に記載する
適切な粒度で業務を分解する
複雑な場合はフローを分割する
手順書やマニュアルと併用する
業務フロー図を作成する前に、使用する図形や表記ルールをチーム内で統一しておきましょう。
誰が作成しても同じルールで描けば、フロー図を読む側も迷わずに理解できます。
たとえば、処理は長方形、判断はひし形というように図形の使い分けを決め、テキストの書き方(動詞で始めるか否か、用語の統一など)も揃えてください。
表記ゆれやルールの不統一があると、せっかくの業務フロー図が読みづらくなってしまうため、事前の取り決めが重要です。
業務フロー図に使用する図形や記号の種類は、必要最小限に絞りましょう。
細かな違いまで表現しようと多種類の記号を使うと、かえって全体像がつかみにくくなります。
基本的な図形(端子、処理、判断など)だけで表現できる部分はそれらに統一し、特殊な処理もなるべく一般図形で代用する方がシンプルです。
記号を使いすぎず、どうしても特殊な記号を使う場合は凡例を付記するなどして、誰が見ても理解できるように配慮します。
図形・記号の種類を絞り込むことで、フロー図がすっきりとして読みやすくなります。
フロー図には必ず「開始」と「終了」をはっきりと示しましょう。
どこから業務が始まり、最終的に何が完了すれば終わりなのかを明記することで、フロー全体の範囲が誰にでも理解できます。
開始点が曖昧なままだと、フロー図自体の意味がぼやけてしまい、見た人が困惑します。
終了点が示されていない場合も、いつ業務が完結するのか判断できません。
したがって、業務フロー図を作成する際は、スタートとゴールを明確に記載することが重要です。
フロー図中で条件分岐を設定する際は、その条件文を具体的かつ簡潔に記載しましょう。
判断枠の中には「Yes/No」で答えられるはっきりした条件(例:「在庫あり?」や「上長承認済み?」など)を書き入れます。
分岐条件が曖昧だったり省略されていると、見る人がどちらの経路に進めば良いか判断できず、フロー図の実用性が損なわれます。
矢印の横に「はい」「いいえ」などの注記を付けるなど、各分岐の意味がひと目で分かる工夫をするとより親切です。
業務フロー図に表す工程の粒度(細かさ)にも注意が必要です。
一つひとつの作業をあまりに細かく分割しすぎると、フロー図が膨大になってかえって読みにくくなります。
しかし、逆に、大まかにしか工程を書かないと重要な処理が見えなくなってしまう恐れがあります。
基本的には、担当者やシステムが変わるタイミング、判断が発生するタイミングで区切って工程を設定すると適切な粒度にできる可能性が高いです。
また、1つの処理枠の中には複数の作業をまとめず、単一のタスクだけを記載するようにしましょう。
適切な粒度で業務を分解することで、フロー図の情報量と視認性のバランスが取れ、理解しやすい図になります。
扱う業務が非常に複雑な場合は、無理に1枚のフロー図に詰め込まず、プロセスごとにフローを分割することも検討しましょう。
たとえば、大きな業務を複数のサブプロセスに分け、それぞれを独立したフロー図として描く方法があります。
分割したフロー同士は、フローチャート用の接続子(コネクタ)や参照注記を使って関連付けてください。
一つひとつのフロー図を簡潔に保つことで、それぞれの部分の流れを理解しやすくなり、全体としても把握しやすくなります。
特に、ページ内に収まりきらない場合や、関係者が異なる部分はフローを分けた方が現実的です。
業務フロー図は全体の流れを直感的に把握するのに優れていますが、個々の手順の詳細まですべて記載すると煩雑になってしまいます。
そのため、フロー図と詳細な手順書(マニュアル)を併用することが有効です。
フロー図で業務の流れと関係性を示しつつ、各工程での具体的な作業手順や注意点は別途マニュアルに記載しておけば、双方を参照することで理解が深まります。
たとえば、フロー図には「申請内容チェック」とだけ書き、具体的なチェック項目はマニュアルに列挙するといった使い分けです。
フロー図と手順書を組み合わせることで、全体像と詳細の両面から業務を把握でき、現場での実践に役立つ資料となります。
最後に、業務フロー作成において陥りがちな失敗例を確認しておきます。
良かれと思って作った業務フロー図が、実際には役に立たなくなってしまう原因はいくつかあります。
たとえば、目的が曖昧なまま作成してしまったり、現場の実態とかけ離れた内容になっていたり、作りっぱなしで更新されず形骸化してしまうケースです。
以下で典型的な失敗パターンとその問題点について解説します。
目的が曖昧なまま作成してしまう
現場の実態と乖離している
更新されず形骸化する
まず多いのが、何のために作るのか目的が曖昧なまま業務フロー図を作成してしまうという失敗です。
目標や活用シーンを定めずに闇雲に作図すると、単なる作業手順の羅列になってしまい、結局業務改善や引き継ぎなどに活かされない「作って終わり」の資料になってしまいます。
業務フロー図は作成自体が目的ではなく、課題解決や共有の手段です。
目的が不明確なままでは、関係者の協力も得にくく、時間をかけて作ったフロー図が無駄になってしまう可能性があります。
次によくあるのは、描かれた業務フローが現場の実際の手順とかけ離れてしまっているケースです。
本来の業務の進め方を十分ヒアリングせず、机上の理想的な流れだけを描いてしまうと、現場では「こんなフロー通りには動いていない」となりかねません。
たとえば、現実には省略されているステップがフロー図に盛り込まれていたり、逆に現場で行われている例外対応が図に反映されていなかったりすると、フロー図の信頼性が損なわれます。
業務フロー図は現場の実態を正確に写し取ってこそ意味があります。
作成時には実務担当者から入念にヒアリングを行い、現実のプロセスを忠実に反映させることが大切です。
さらに、作成した業務フロー図が放置されて更新されず形骸化してしまう失敗もしばしば見られます。
業務プロセスは時とともに変更・改善されるものですが、フロー図を作った満足感からその後のメンテナンスを怠ると、現状と乖離した古い情報のまま放置されることになりかねません。
その結果、せっかくの業務フロー図が参照されなくなり、存在意義を失ってしまいます。
形骸化を防ぐには、業務変更時には都度フロー図も更新する運用ルールを定め、定期的に内容を見直すことが重要です。
一度作って終わりではなく、常に最新の状態を保つことで、業務フロー図は初めて生きた資料として機能します。

業務フローの作成にはフローチャートを効率的に作成できる専用の図作成ソフトから、手軽に利用できるExcelやPowerPointなどの一般的なツールまで、様々な選択肢があります。
ここでは、オンライン/オフラインの代表的な図作成ツールと、Excelやスライドソフトを用いる場合のポイントについて簡単に紹介します。
図作成ツール(オンライン・オフライン)
Excel・スライドツールの活用
専用ツールを使えば、業務フロー図を効率的かつ見栄えよく作成できます。
オフラインのデスクトップアプリからオンライン上で使えるクラウドサービスまで様々な種類があります。
たとえば、Microsoft Visio(ビジオ)は業務フロー作成でよく使われる代表的なソフトです。
また、ブラウザ上で動作する無料ツールのdiagrams.net(旧称draw.io)や、有料のLucidchartなどのクラウドサービスも人気があります。
専用ツールはドラッグ&ドロップで図形配置や矢印接続が簡単に行え、レイアウト調整も自動で整うため、体裁の整ったフロー図を手早く作成可能です。
チームで図を共有・共同編集できる機能を持つツールも多いので、予算や用途に応じて最適なものを選びましょう。
業務フロー図はExcelやPowerPointなどの汎用ソフトでも作成可能です。
Excelの図形描画機能やPowerPointのスライド上にフローチャート用の図形を配置することで、フロー図を描けます。
専用ソフトを新たに導入しなくても済み、社員の多くが使い慣れたツールで編集できるというのがメリットです。
ただし、大規模で複雑なフロー図を作るには手間がかかり、図形同士の接続線や整列をすべて手動で調整する必要があるなど限界もあります。
小規模な業務や概念整理程度であればExcelやスライドツールでも問題ありませんが、複雑なプロセスや多人数での共同編集が必要な場合は、専用ツールの使用を検討した方が効率的でしょう。

mfloowは、AIの力で複雑な業務プロセスを見える化し、改善、組織への定着まで一貫してサポートする業務改善プラットフォームです。
業務フローは「描いて終わり」ではなく、「可視化→改善→運用→分析」のサイクルを回し続けることが重要です。
mfloowは、直感的な操作と豊富なテンプレートで誰でも簡単にフローを作成・共有できるだけでなく、作成した業務フローをそのままマニュアルやタスクとして日々の運用に落とし込める点に特徴があります。
フローに沿って担当者や期限を自動で割り当てるため、進捗や遅延をリアルタイムに把握可能。
さらに、AIや外部SaaSと連携してフロー内の定型業務を自動化すれば、二重入力や抜け漏れを防ぎ、繰り返し発生する業務も時期が来れば自動で立ち上がります。
業務フローの設計を起点に、「標準化」「運用」「分析」までを一気通貫で支援し、属人化の解消、ムダの発見、引継ぎの円滑化を促進することで、全社の生産性向上を実現します。
最後に、業務フローについて読者から寄せられることが多い質問とその回答を紹介します。
A. フローチャートは「手順や処理の流れ」を図示する記法そのものを指すのに対し、業務フローは部署や担当者の動き、情報の受け渡しまで含めて業務全体を可視化する考え方です。
フローチャートは業務フローを描く際の表現手段の一つとも言えます。
本記事で取り上げたワークフローとの違いとあわせて整理しておくと、目的に合った可視化手法を選びやすくなります。
A. 業務フローの作成は、現場の業務に精通した担当者と、業務改善や情報システムの推進担当者が協力して進めるのが理想的です。
現場担当者だけだと既存のやり方を踏襲しがちで、推進担当者だけだと実態と乖離するリスクがあります。
両者がヒアリングと作図を分担し、関係者全員でレビューする体制を組むことで、現実に即した精度の高いフロー図が完成します。
A. フローチャートで使われる記号は、日本工業規格のJIS X 0121「情報処理用流れ図記号」として標準化されています。
また、より複雑なビジネスプロセスを記述する場合は、国際標準のBPMN(Business Process Model and Notation)が用いられることもあります。
社内外の関係者と共有する場合は、いずれかの標準に準拠して描いておくと認識違いが起こりにくくなります。
A. 一律のルールはありませんが、最低でも年に1回、加えて業務プロセスやシステム、組織体制に変更があったタイミングで見直すのが目安です。
日々の運用で「フローと実態がずれている」と気づいた時点で随時アップデートする仕組みを設けておくと、形骸化を防ぎながら最新の状態を保てます。

業務フロー図は業務の流れを可視化し、業務改善や標準化に大きく寄与する有用なツールです。
作成にあたっては、目的やスコープを明確に定め、現状の業務を丁寧に洗い出してからフローチャート化することが重要です。
完成したフロー図は関係者で確認し、定期的に見直し・更新することで、常に現場に即した価値ある資料として活用できます。
また、業務フロー図をもとにボトルネックの解消やBPRを推進することで、継続的な業務改善にもつながります。
専用ツールや身近なソフトを状況に応じて使い分けつつ、分かりやすく実用的な業務フロー図を作成し、ぜひ日々の業務管理・改善に役立ててください。
この記事を書いたライター

mfloowブログ編集部
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