
2026.02.27
業務フロー図は、業務の手順や流れを視覚的に整理した図です。
DX推進や業務改善が求められる現代において、複雑な業務を誰もが理解できる形で共有するために欠かせないツールとなっています。
本記事では、業務フロー図の基本から具体的な書き方、活用する際のポイントまでをわかりやすく解説します。
社内の業務改善を検討している場合は、業務フロー図を活用することで業務の見える化や効率化につながるので、ぜひ最後までご覧ください。

業務フロー図とは、業務の処理手順や担当者、意思決定の流れなどを図として視覚的に表現したものです。
誰がどの業務を担当し、情報やモノがどのように流れていくかを、ひと目で理解できるようにする図であり、業務の全体像を共有するのに役立ちます。
業務フロー図は単なる図解ではなく、業務改善や標準化の出発点となる「業務の設計図」とも言える存在です。
これを作成することで現状の業務構造を可視化し、部門間で共通理解を持つことができます。
また、現状把握を通じて業務改善の議論を進める土台にもなります。
業務整理や業務改善の場面では、業務フロー図とフローチャートが混同されることが多いです。
どちらも「流れ」を可視化する図ですが、目的や表現方法には明確な違いがあります。
用途に応じて使い分けるためにも、それぞれの特徴を整理して理解することが重要です。
フローチャートは処理手順や分岐を詳細に表現する
業務フロー図は人や部門を含めて全体像を示す
目的に応じて使い分けることが重要
比較項目 | フローチャート | 業務フロー図 |
主な目的 | 処理手順や条件分岐を、論理的かつ詳細に正確に表現すること。 | 業務全体の構造や役割分担を、関係者間で共有し俯瞰すること。 |
適した場面 | プログラムの制御フローや、定型業務の詳細な手順整理など。 | 業務の全体把握、引き継ぎ、業務改善の検討など。 |
焦点(重視する点) | 「何がどの順で行われるか」(工程や処理の流れ) | 「誰がどの工程を担い、どこで次の担当へ引き継がれるか」 |
表現・記号の特徴 | 開始・終了、処理、判断といった一般的な定型記号を使用。 | 業務特化の図記号やアクティビティ図法(担当者・部門ごとのレーン分けなど)を使用。 |
人・部門の扱い | 原則として表現しない。 | 明確に表現し、全体像に含める。 |
フローチャートは、工程や処理の流れを論理的かつ詳細に表現するための図です。
プログラムの制御フローや定型業務の手順整理などに使われ、開始・終了、処理、判断といった定型記号を用いて分岐条件や処理内容を明確にします。
担当者や部門は原則として表現せず、「何がどの順で行われるか」に焦点を当てる点が特徴です。
業務フロー図は、業務全体の流れを担当者や部門単位で整理し、関係者間で共有することを目的としています。
誰がどの工程を担い、どこで次の担当へ引き継がれるのかを俯瞰できるため、業務理解や引き継ぎ、改善検討に適しています。
業務特化の図記号やアクティビティ図法が用いられることもあります。
処理手順や条件分岐を正確に整理したい場合はフローチャートが向いています。
一方、業務全体の構造や役割分担を共有したい場合は業務フロー図が適しています。
両者は対立する概念ではなく、目的やフェーズに応じて使い分けることで、業務の可視化と改善をより効果的に進められるでしょう。
業務改善やシステム導入の場面では、「業務フロー図」と「ワークフロー」が混同されやすいですが、指している対象や活用目的には違いがあります。
それぞれの役割を理解することで、業務整理やツール選定をより適切に行えるようになります。
業務フロー図は業務全体を俯瞰して整理するための図
ワークフローはタスクの連携と結果達成に焦点を当てる
ワークフローは業務フローを補完・統合する存在
比較項目 | 業務フロー図 | ワークフロー |
主な目的 | 業務全体を俯瞰し、タスクや手順を時系列で整理・可視化すること。 | タスクの順序や連携関係を明確にし、特定の手続きを効率化・自動化すること。 |
適した場面・用途 | 業務全体の構造把握、無駄・属人化の発見、現場主導の改善、マニュアル作成など。 | 申請・承認・処理など一連の手続きの実行管理、ITシステムでのプロセス自動化など。 |
焦点(重視する点) | 「誰がどの工程を担当し、どこで引き継ぎが発生するか」という全体像と役割。 | 「どのタスクが、どの条件で次に進むか」というタスクの連携と結果達成。 |
特徴 | チームや部署単位のプロセスを対象とし、全体の流れを把握しやすい。 | 個々の業務の流れというより、条件分岐を伴う「手続きの進行」に重点が置かれる。 |
両者の関係性 | 業務プロセスの全体像を示すベースとなるもの。 | 業務フローの一部として組み込まれる、または複数の業務フローを横断して機能するもの。 |
業務フロー図は、特定の業務を完了させるまでのタスクや手順を時系列で整理し、全体像を可視化するためのものです。
主にチームや部署単位の業務プロセスを対象とし、どの工程を誰が担当し、どこで引き継ぎが発生するのかを明確にします。
業務の無駄や重複、属人化を発見しやすく、現場主導の改善やマニュアル作成に活用される点が特徴です。
ワークフローは、特定の成果を達成するために必要なタスクの順序や連携関係を示す概念です。
申請・承認・処理といった一連の手続きを中心に考えられることが多く、ITシステム上で自動化されたプロセスを指す場合もあります。
個々の業務の流れというより、「どのタスクがどの条件で次に進むか」に重点が置かれます。
両者の関係性を整理すると、ワークフローは業務フローの一部として組み込まれるか、複数の業務フローを横断して成り立つものと捉えられます。
業務全体の構造把握には業務フロー図、特定手続きの効率化や自動化にはワークフローというように、目的に応じて使い分けることが重要です。

業務フロー図を作成すると、多くのメリットが得られます。
たとえば複雑な手順も一目で俯瞰でき、業務の属人化防止や課題の発見、さらに引き継ぎや教育の円滑化にもつながります。
DX推進や標準化の観点からも、業務フロー図の活用は欠かせません。
ここでは、業務フロー図を作成する主なメリットについて、具体的に解説します。
業務の流れを一目で把握できる
業務の属人化を防止できる
業務改善や課題発見につながる
引き継ぎ・教育・共有がしやすくなる
業務フロー図を用いれば、業務の開始から終了までの全体像をひと目で把握できます。
文字だけの説明では掴みにくい流れも、図解によって視覚的に理解しやすくなるでしょう。
実際、複数の工程が絡む複雑な業務でも、フロー図を見ればどの段階で何が行われるかが直感的に分かるため、関係者全員が共通認識を持ちやすくなります。
特に部署横断のプロセスでは、各部署の作業がどのように繋がっているかを明示できるので、素早く全体の流れが把握しやすいです。
文章の手順書を読むよりも理解が早く、作業の抜け漏れ防止にもつながります。
属人化とは、特定のベテラン社員だけが業務手順を知っている状態を指します。
業務フロー図で標準手順を明確にすることで、このような業務の属人化を防止できます。
フロー図を関係者間で共有すれば、誰もが同じプロセスに従って業務を進められるため、ある人しか分からない「ブラックボックス化」を解消することが可能です。
実際、従業員が少なく異動があまりない企業では、業務が属人化しているケースがよく見受けられます。
業務フロー図があれば、担当者が変わっても同じ手順で作業できるため、引き継ぎもスムーズになり、組織として安定した業務運営ができるようになります。
業務フロー図を作成すると、業務の中に潜む問題点が可視化されます。
図として流れを整理することで、ムダな作業や重複、不要な承認フローなどが浮き彫りになり、改善すべきポイントを明確にすることが可能です。
たとえば「この承認プロセスは本当に必要か?」「他の業務と重複していないか?」といった議論を、フロー図を見ながら具体的に行うことができます。
また、全体プロセスを俯瞰することでボトルネック(処理が滞る箇所)の発見にも役立ち、業務改革の糸口をつかみやすくなります。
作成した業務フロー図は新人研修や業務引き継ぎの資料としても有用です。
フロー図を見れば手順と背景が一目瞭然となるため、新任の担当者でも業務を理解しやすく、OJT(現場教育)の効率が向上します。
実際、文字だけのマニュアルよりも図があった方が直感的に伝わりやすく、教育コストの削減や引き継ぎミスの防止につながります。
さらに、業務フロー図はマニュアル作成の土台にもなり、詳細手順書を体系的に整備する際の指針としても活用することが可能です。
業務フロー図は、日常業務の整理からプロジェクトの進行管理まで、様々な場面で活用されています。
以下では、代表的な活用シーンとして、日々の作業フロー整理、営業や顧客対応フロー、障害対応フロー、システム導入プロジェクトを例に、その効果を見てみましょう。
各場面で業務フロー図がどのように役立つのかを解説します。
日常業務・作業フローの整理
営業・問い合わせ・顧客対応フロー
障害対応・緊急連絡フロー
システム導入・業務改善プロジェクト
日々繰り返される定型業務の手順を業務フロー図で整理することで、無駄な作業を削減し、業務効率を向上が見込めます。
各担当者が個々のやり方で進めていた業務も、フロー図で標準化すればチーム全体で統一した進め方ができます。
たとえば、毎日行われる受注処理や日報作成のフローを図示して共有すれば、手順の抜け漏れを防ぐとともに、属人的なノウハウもチーム全員で共有することが可能です。
日常業務を可視化することで現状を俯瞰でき、問題点の早期発見や継続的な改善サイクルの推進にも役立ちます。
外部顧客への対応フローを図解化することで、対応漏れの防止やサービス品質の均一化に効果があります。
営業担当者は複数の案件を同時に管理するため、重要なフォローや手続きが抜け落ちてしまうリスクがありますが、営業フローを明確に定義することで各ステップのタスクを洗い出し、漏れを防止することが可能です。
問い合わせ対応フローを標準化して共有しておけば、誰が対応しても一定の品質を保てるため、対応ミスの削減につながります。
業務フロー図の活用により、顧客対応の属人化が解消され、新人でもスムーズに対応できるようになるでしょう。
サーバ障害や災害発生など緊急時の対応フローを事前に図で定めておくことも重要です。
緊急時に「誰が・どこに・どのツールから・どのような順番で連絡するのか」をあらかじめ業務フロー図で定めておくことで、いざというとき情報伝達や初動対応が滞るのを防げます。
たとえば、システム障害時の連絡フローを策定して共有しておけば、担当者不在で報告が遅れる、対応手順が部署間で食い違うといった混乱の回避もできるでしょう。
緊急連絡網や初動対応マニュアルとして業務フロー図を整備しておくことで、被害の拡大防止と業務の早期復旧につながります。
新しい業務システムの導入やRPA等の自動化プロジェクトでも、業務フロー図が活用されます。
現状の業務をフロー図で洗い出すことで、システム化の対象範囲や課題を明確にできるためです。
たとえば、システム要件定義の際に、業務フロー図を前提資料として現状プロセスを関係者間で共有すれば、認識のズレを防ぎつつ、改善後のあるべき業務プロセスを検討する指針になります。
業務改善プロジェクトでも、まず現状のフロー図を作成してから理想のフロー(To-Be)を設計するのが一般的であり、プロジェクト全体の計画立案にも役立ちます。

ここでは、業務フロー図を構成する基本的な要素を説明します。
開始・終了から処理、判断、入出力、担当者(スイムレーン)まで、フロー図の中で使われる主な構成要素を押さえましょう。
各要素が何を意味するか把握しておくことで、実際にフロー図を作成する際にも迷わず表現できます。それでは順に見ていきましょう。
開始・終了
処理(作業・業務)
判断・条件分岐
入出力・書類・データ
担当者・部署(スイムレーン)
業務フロー図では、プロセスの開始地点と終了地点を明確に示すことが基本です。
フロー図上に「開始」や「終了」のマークを配置し、どの時点で業務が始まり、どの時点で完了するかを定義してください。
通常、開始・終了は楕円形や角丸の長方形の図形で表し、中に「開始」「終了」などの文字を記載して示します。
開始・終了が曖昧なままだとフローの範囲が不明瞭になり、担当者間で責任や引き継ぎの境界が分からなくなる恐れがあります。
そのため、業務フロー図を描く際は必ず始点と終点を設定し、フロー全体のスコープ(範囲)をはっきりさせましょう。
これにより、読み手はフローの出発点と終着点を容易に把握できます。
業務フロー図の中心となるのが、個々の「処理」要素です。
処理とは具体的な作業や業務ステップを指し、一般的に長方形の枠で表現され、その中に簡潔な動作内容を記載してください。
たとえば「見積書を作成」「承認を得る」といった個別の業務が処理に該当します。
これらの処理を時系列に沿って並べ、矢印で繋ぐことで一連の業務フローが構築されます。
処理同士の前後関係や担当をフロー図で示すことで、誰が何を行うかが明確になり、業務全体を俯瞰できるようになるでしょう。
なお、処理の粒度(細かさ)は全体で揃えると、フロー図がより理解しやすくなります。
業務の中で条件によって手順が分かれる場面は「判断」要素として表します。
判断要素は通常ひし形の記号で描かれ、中にYes/Noや条件式などの判断基準を記載するものです。
判断の結果に応じて後続の処理フローが枝分かれし、それぞれ異なる経路(パス)へと進みます。
たとえば「承認されましたか?Yesの場合→次の処理/Noの場合→差し戻し」といったように、判断要素から二方向以上の矢印を伸ばして分岐を示しましょう。
ひし形記号で判断基準を明示しておくことで、誰でも適切な分岐先を選択できるようになります。
ひし形を使うことで、フローの中での分かれ道を視覚的に表現でき、条件による異なる処理パスも網羅できます。
業務フローの中には、外部からのデータ入力や書類の受け渡し、処理結果の出力なども登場します。
こうした「入力/出力」要素もフロー図で表現可能です。
一般に入出力は平行四辺形の図形で示され、外部からの情報受取やシステムへのデータ投入、処理結果の出力を意味します。
たとえば「申請書を受け取る」「レポートを出力する」といったステップで平行四辺形を用いることで、フロー図上でデータの入出力ポイントが明確になります。
業務フロー図では「誰がこの作業を担当するか」を明示することも重要です。
そのために用いられるのがスイムレーン(swimlane)形式です。
スイムレーンとは、水泳プールのコースのように、登場人物(役割)ごとにフロー図を区切る手法を指します。
縦方向または横方向にレーンを設け、各担当者・部署の業務をそれぞれのレーン内に描き込むことで、誰がどの工程を担当しているかが一目で分かる構成にすることが可能です。
これによって、部門間の引き継ぎポイントや責任範囲が明確になり、連携ミスの防止にもつながります。
次に、業務フロー図を描く際によく使用される代表的な図形(記号)について説明します。
開始・終了を示す楕円、プロセスを示す長方形、判断を示すひし形、データを示す円柱、流れを繋ぐ矢印など、各図形が持つ意味を押さえておきましょう。
図形の意味を統一して使用することで、誰にとっても分かりやすいフロー図が作れます。
楕円(開始/終了)
長方形(プロセス)
ひし形(判断)
平行四辺形(入力/出力)
円柱(データ・データベース)
矢印・コネクタ

楕円形の図形は、業務フロー図においてプロセスの「開始」と「終了」を示す記号として用いられます。
フローの始まりと終わりを表す非常に重要な基本シンボルであり、一連の流れの端点(端子)として配置するものです。
開始/終了ともに楕円で表すのが一般的ですが、場合によっては角の丸い長方形で代用されることもあります。
フロー図ではこの楕円に「開始」「終了」といったラベルを記入し、プロセスの範囲を明示します。
これにより、読み手はフローの出発点と終着点を容易に把握することが可能です。

長方形の図形は、業務フロー図で一般的な処理(作業)を表すシンボルです。
プロセス記号とも呼ばれ、フロー内の各ステップの作業内容を記述するための基本記号で、長方形の内部に簡潔なアクション名や処理内容を記載するものです。
例として「データを入力」「申請内容を確認」といった作業を長方形で表します。
手順を順番に示すフローチャートでは、この長方形が多数並ぶことで全体のプロセスが構成されます。
業務フロー図では長方形のサイズや形状を統一しておくと、全体が見やすくなります。

ひし形の図形は、フロー中の判断・分岐ポイントを示す記号です。
一般に「判断記号」とも呼ばれ、Yes/Noのような二者択一の判断や、複数選択肢への分岐を表現する際に用いられます。
ひし形の内部に判断内容(例:「承認?」など)を記載し、そこから条件ごとに矢印を分岐させてそれぞれの進路を示してください。
ひし形記号で判断基準を明示しておくことで、誰でも適切な分岐先を選択できるようになります。
ひし形を使うことで、フローの中での分かれ道を視覚的に表現でき、条件による異なる処理パスも網羅できます。

平行四辺形の図形は、業務フロー図でデータや情報の「入力」および「出力」を示す記号です。
入出力記号とも呼ばれ、外部からのデータ受け渡しや処理結果の出力など、プロセス内での入出力操作を表現する際に使用します。
平行四辺形の内部に対象となるデータや書類名などを記載し、どの情報が入ってきて、何が出力されるかを示します。
たとえば「申請書を受け取る」「レポートを出力する」といったステップで平行四辺形を用いることで、フロー図上でデータの入出力ポイントを明確にすることが可能です。

円柱(シリンダー)型の図形は、フローチャートにおいてデータの蓄積先(データベースやファイル)を表す記号です。
業務フロー図でも、データが保存・参照される場所を示す際にこの円柱記号を用いることがあります。
データ記号の一種であり、フロー図中で情報が「どこに蓄えられているか」を示す役割を持ちます。
たとえば「顧客データベース」「在庫マスタ」など、処理でアクセスするデータの保管場所を円柱で描いてプロセスに組み込むことで、情報の保存・参照箇所を明確に可視化することが可能です。

矢印(フローライン)は、業務フロー図で処理の順序や流れの方向を示す記号です。
各図形から矢印を伸ばし、次に実行されるステップを指し示すことで、プロセスの進行を視覚化してください。
通常、フローは上から下または左から右へと矢印でつなぐルールで描かれ、矢印の向きで処理の順番が一目で分かります。
また、複雑なフローを整理するために、小さな丸やラベル付きのコネクタ記号を用いて、別ページへの接続やフローの省略を示すこともあります。
矢印やコネクタを正しく使うことで、フローチャート全体の流れを明確に伝えることが可能です。

ここからは、業務フロー図を実際に作成する手順を基本ステップに沿って紹介します。
業務フロー図の作成は、ポイントを押さえれば初めてでも難しくありません。
目的と対象範囲を明確にすることから始め、最後に関係者と共有して調整するまで、5つのステップに分けて解説します。
この基本手順を踏めば、誰でもわかりやすい業務フロー図が作れるでしょう。
目的と対象範囲を明確にする
業務内容を分解して洗い出す
業務の順序を時系列で整理する
図形と矢印を使ってフロー化する
関係者と共有し修正・調整する
最初に、業務フロー図を作成する目的と対象とする業務の範囲を明確に定めましょう。
なぜそのフロー図を作るのかによって、フロー図に含める内容や表現方法が変わってきます。
目的が曖昧なままでは、情報が不足したり不必要な情報が紛れたりして、効果的なフロー図になりません。
したがって、着手前に「何のために」「どの業務を対象に」業務フロー図を描くのかをしっかり決めておくことが重要です。
次に、対象となる業務の内容を細かく分解してすべて洗い出します。
関係者へのヒアリングや関連資料の確認を通じて、「誰が」「何を」「どの順番で」「どのようなルールで」業務を行っているかを漏れなく書き出していきます。
複数部署にまたがる業務であれば、それぞれの担当者に実際の手順や例外ケース、非公式なやり方まで聞き取り、現状のプロセスを詳細に把握することがポイントです。
この段階ではまだ綺麗な図にする必要はなく、付箋やメモ、表形式などで自由に書き出して構いません。
重要なのは、現行業務のステップを抜け漏れなく洗い出し、全体像を把握することです。
業務内容を一通り洗い出したら、次にそれらを時間の流れ(時系列)や処理の順序に沿って整理します。
どの業務が起点となるのか、次に何の処理が発生するのか、条件分岐があるか、他の担当者や部署に引き継がれるポイントはどこか、といった観点で見直しながら、業務フローの筋道を立てていきます。
このステップで曖昧な点や不明確な流れがあれば、関係者に再確認して事実を詰めることが重要です。
現場では、手順が個人に依存していたり、公式ルールと実際の運用がずれている場合も多いため、疑問点は遠慮なく確認しながら時系列を組み立てましょう。
業務の流れが整理できたら、いよいよ図としてフローを描いていきます。
業務フロー図の基本構成要素は、「処理(作業内容)」「流れ(矢印で順序を結ぶ)」「担当者の区分(スイムレーンで区別)」の3つです。
これらの要素に沿って、業務の開始から終了までを一連の図として表現します。
作成にあたっては、関係者が見て理解できることを最優先に考えましょう。
図形の細かな精密さよりも、誰が見ても業務の流れが追える分かりやすさを重視し、必要に応じて洗い出した内容を取捨選択しながらシンプルな図にまとめます。
描き上げた業務フロー図は、実際の現場の関係者に確認してもらいましょう。
関係者と共有し、誤りや抜けがないか、現実の手順と合致しているかをチェックします。
一人で作成したフロー図には見落としがあるかもしれないので、現場担当者からフィードバックをもらい必要に応じて修正・調整してください。
こうしたレビューを経て完成した業務フロー図は、共通の認識ツールとして現場で活用しやすくなります。
また、業務フロー図は「作って終わり」ではなく、運用しながら改善・更新していくものです。
定期的にフロー図を見直し、業務の変化に合わせてアップデートすることも心がけましょう。
ここでは、スイムレーン形式で業務フロー図を描く際の考え方を説明します。
担当者・部署ごとにレーンを分けることで得られるメリットや、その際の注意点について見ていきましょう。
担当者・部署の責任範囲を明確にする
関係者の洗い出し漏れに注意する
スイムレーン形式を使う最大のメリットは、工程ごとの担当者や部署の責任範囲が明確になることです。
誰がどの段階の作業を担当するのかがフロー図上で一目で分かるため、責任の所在がはっきりし、連携ミスを防止できます。
たとえば、オペレーター、管理者(SV)、他部署(経理・物流など)の関与があるフローでも、スイムレーンで区分しておけば、どの工程で誰にエスカレーション(引き継ぎ)されるかが整理され、担当者が迷わず対応できます。
このように、スイムレーンによって役割分担が可視化されることで、業務フロー全体の流れがより理解しやすくなります。
スイムレーンを利用する際は、いくつか注意が必要です。まず、関係者の洗い出し漏れに気を付けましょう。
業務に関わる社内の担当者だけでなく、必要に応じて社外の発注先や顧客、官公庁など、すべての関係者を網羅的にリストアップしてレーンを設定します。
誰かをレーンから漏らしてしまうと、フロー図に抜けが生じて正確さを欠く原因になります。
また、レーンの数が増えすぎると図が煩雑になるため、必要以上に細かく分けすぎないよう注意してください。
関連する部署は一つにまとめる、複数の担当を一つの役割グループにするなど、フロー図の見やすさを保つ工夫も重要です。

最後に、業務フロー図をより分かりやすく作成するためのポイントを紹介します。
表記の統一やレイアウト、分岐条件の具体化など、誰が見ても理解しやすいフロー図にするための工夫を確認していきましょう。
表記ルールや記号を統一する
時系列を追いやすい配置にする
分岐条件を具体的に記載する
1枚に収め、複雑な場合は分割する
手順書・マニュアルと併用する
業務フロー図では、使用する記号や表記ルールを統一することが重要です。たとえば「楕円=開始・終了」「長方形=処理」「ひし形=判断」といったように、チーム内で図形の意味をあらかじめ取り決めて統一して使用します。
統一ルールがあると、誰が作成したフロー図でも共通の見方ができ、社内での共有がスムーズになります。
逆に、同じ意味のプロセスを異なる記号で描いてしまうと読み手が混乱する原因になるため避けましょう。
表記ゆれをなくし、一貫した記号遣いでフロー図を作成することが、分かりやすさにつながります。
業務フロー図の配置(レイアウト)は、時系列の流れが追いやすいよう工夫しましょう。
基本的にフローは上から下または左から右へ進む配置にし、処理の順番が自然に目で追えるようにします。
矢印が複雑に交差したり、図形の位置がずれて不揃いだったりすると情報が伝わりにくくなるため注意が必要です。
適度な余白を取り、処理の順序に沿って一直線に流れるレイアウトにすることで、見やすさが向上します。
また、関連するステップは近くにまとめ、遠く離れた場所に矢印を引っ張らなくても済むよう配置すると、フロー全体を理解しやすくなります。
業務フロー図では、条件分岐の箇所では判断基準や条件内容を具体的に記載しましょう。
分岐点に「Yesの場合」「Noの場合」などのラベルや説明を入れておけば、誰でも適切な進路を判断しやすくなります。
条件が曖昧に書かれていると、現場で対応に迷いが生じる原因となるため避けてください。
可能ならば、数値や具体的な状態を条件に記載し、読んだ人が即座に判断できる表現にしましょう。
分岐条件を明確にすることで、フロー図の実用性が高まります。
業務フロー図は可能な限り1枚(1画面)に収め、全体像を一目で把握できるようにしましょう。
複数ページにまたがると流れが追いにくくなり、業務フロー図の利点が薄れてしまいます。
目安として、A4一枚に収まる程度の範囲にまとめるとよいでしょう。
もしフローが長く複雑で1枚に収まらない場合は、途中で新たな開始・終了点を設けてフローを分割するか、詳細を省略して簡略化するなどの方法を検討します。
一つのフロー図で扱う範囲は適切な大きさにとどめ、全体像が見渡せる状態を保ちましょう。
業務フロー図は、詳細な手順書やマニュアルと併用することで効果が高まります。
フロー図はプロセス全体を俯瞰するのに優れていますが、各ステップの詳細なやり方や注意点まですべて記載するにはスペースが限られます。
そのため、フロー図では流れと概要を示しつつ、具体的な手順は別途マニュアルに委ねるとよいでしょう。
実際、業務フロー図をもとに詳細な操作マニュアルや標準作業手順書を体系的に整備することで、教育や業務標準化に役立てることができます。
フロー図とテキストの手順書を組み合わせて活用することで、全体像と詳細手順の双方をカバーした業務ドキュメントになります。
最後に、業務フロー図を作成する際によく陥りやすいな失敗例を紹介します。
代表的なミスとして、目的が曖昧なままフロー図を作成してしまう、各工程の粒度がバラバラで見づらい、作成後に更新されず古いまま放置されてしまう、といったケースが挙げられます。
あらかじめこうした失敗パターンを知っておくことで、同じ過ちを避け、効果的なフロー図作成に役立てましょう。
目的が曖昧なまま作成してしまう
粒度がバラバラで理解しづらい
更新されず古い情報のまま放置される
業務フロー図を作り始める前に目的が曖昧なままだと、完成した図も「何を伝えたいのか」不明瞭になりやすいです。
目的を決めずに闇雲に作成してしまうと、必要な情報が抜け落ちたり不必要な情報が紛れたりして、役に立たないフロー図になってしまいます。
たとえば、業務の問題点を洗い出す目的なのか、引き継ぎ用資料なのかによって盛り込むべき情報は異なります。
対策として、まずはフロー図を作成する目的をはっきり定め、「何のためにこの図を描くのか」をチーム内で共有してから着手するようにしましょう。
フロー内の各工程の粒度(詳細度)がバラバラになっていると、業務フロー図全体が分かりづらくなります。
ある工程だけ極端に細かいのに別の工程は大まか、といったように詳細さにばらつきがあると、フロー全体の重要度が誤って伝わり、読み手が混乱・誤解する恐れがあります。
たとえば、特定の工程だけ手順を10個に細分化しているのに、他の工程は2〜3個にしか分けていない、といった差がある状態です。
対策として、フロー図を作成する際には各工程の粒度を全体で揃えることを意識しましょう。
一つのフロー図で扱う作業の単位(細かさ)に一貫性を持たせることで、誰にとっても理解しやすい図になります。
業務フロー図を作成したものの、その後更新されずに古いまま放置されるケースもよくあります。
時間が経つと業務内容も変化しますが、フロー図を更新しないままでは内容が現状と乖離して陳腐化してしまう可能性が高いです。
担当者が図の更新を怠り口頭伝達に頼るようになると、フロー図は活用されず形骸化します。
対策として、業務フロー図は定期的に棚卸し・更新を行い、常に現状に即した内容にアップデートし続けることが重要です。
「作って終わり」ではなく「運用しながら育てる」意識で、常に最新情報を反映させましょう。

最後に、業務フロー図の作成に使える便利なツールを紹介します。
ExcelやPowerPointなどの汎用ソフトから、オンラインの作図ツール、テンプレートの活用まで、それぞれの特徴とメリットを見てみましょう。
ツールを上手に活用すればフロー図の作成効率が上がり、きれいな図面を手軽に作成できます。自社の環境に合わせて最適な方法を選びましょう。
Excel・PowerPointで作成する場合
オンライン作図ツールを使う場合
テンプレートを活用する場合
身近なOfficeソフトであるExcelやPowerPointでも、業務フロー図を作成できます。
四角形や矢印などの図形描画機能が備わっており、特別なソフトを導入しなくても簡易なフロー図を描けるのが利点です。
社内の誰でも扱いやすく、ファイル形式の互換性も高いため共有もしやすいでしょう。
ただし、図形の配置調整や線の引き回しは手動になるため、複雑なフロー図では作図に手間がかかったりレイアウトが崩れやすいという面もあります。
簡単なフローや少人数での利用にはExcel/PowerPointで十分対応可能ですが、大規模なプロセスや頻繁な修正が予想される場合は専用ツールの検討も必要です。
近年は、ブラウザ上で使えるオンラインの作図ツール(例:draw.ioやLucidchartなど)も充実しています。
これらはフローチャート用の豊富なテンプレートや記号を備え、ドラッグ&ドロップで簡単にフロー図を作成できます。
自動レイアウト機能や図形の整列補助もあり、手作業で形を揃える手間が省けて見た目も整った図を短時間で作ることが可能です。
またクラウドベースのため、複数メンバーでの同時編集・共有が可能で、チーム全員で最新のフロー図を共同作業できます。
高度な機能は有料だったりセキュリティ面の確認は必要ですが、総じてオンラインツールの活用はフロー図作成の効率と品質を大きく向上させます。
最後に、フローチャートのテンプレートを活用するメリットです。
インターネット上や各社の資料として、業務フロー図のひな型(テンプレート)が無料で提供されていることがあります。
テンプレートを利用すれば、一からレイアウトを考えずに済み、自社の業務に沿って必要な情報を当てはめていくだけでフロー図を構築できます。
テンプレートに沿って作成すれば情報の抜け漏れが減り、見やすい業務フロー図を効率よく作成できるでしょう。
特に初めて業務フロー図を作る場合や、時間をかけずに標準的なフロー図を用意したい場合にはテンプレートの活用が有効です。

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mfloowなら、直感的な操作と豊富なテンプレートで、誰でも簡単に正確な業務フロー図を作成・共有できます。
業務フロー図の作成を通じて、業務の属人化解消、ムダの発見、引継ぎの円滑化を促進し、全社の生産性向上を実現可能です。

A. まずは「現状の業務の洗い出し(可視化)」から始めてください。 いきなり綺麗な図面や理想のフローを描こうとするのは失敗のもとです。
まずは現在「誰が・いつ・何をしているか」を現場にヒアリングし、ありのままの手順を書き出しましょう。
現状を正確に把握することが、ボトルネックの特定や、後のスムーズな図解化につながります。
A. プロセスを「個人の頭の中」から「チーム全員が共有できる場所」へ移すことです。
いきなり分厚い詳細マニュアルを作るのではなく、まずは業務フロー図を用いて「仕事全体の流れ」を可視化しましょう。
誰でもアクセスできる場所にフロー図を公開し、担当者以外でも前後の流れを追える仕組みを作ることが、属人化解消への第一歩となります。
A. 「更新の手間」を極力減らし、常に最新の状態を保てる仕組みづくりが必要です。
フロー図が現場に定着しない最大の理由は、修正が面倒になり実態とズレて「形骸化」することです。
ExcelやPowerPointでの管理に限界を感じたら、簡単に修正や共有ができ、マニュアル作成まで一元管理できる「mfloow」のような専用ツールの導入を検討すると良いでしょう。

今回は、業務フロー図の基本から書き方、活用ポイントまで解説しました。
業務フロー図とは業務の流れを可視化する目的で作成する図で、業務フロー図があると関係者全員が業務内容を把握することができます。
また、業務における問題点が見つけやすくなるため、無駄な業務の見直しなど業務改善にもつながります。
わかりやすい業務フロー図を作成するには、簡素なデザインを意識しつつ、業務の開始と終了を明確に示して1枚にまとめるのがおすすめです。
業務フロー図を積極的に活用して、生産性向上に役立ててみてください。
この記事を書いたライター

mfloowブログ編集部
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