
2026.09.03
BPOの費用は、委託する業務の専門性と処理する量、そして料金体系の組み合わせで決まります。
同じ月10万円という金額でも、月額固定型と従量課金型とでは、業務量が増えたときの負担はまったくの別物です。
本記事では、BPOの3つの料金体系と業務別の費用相場を、事業者が公開している料金をもとに解説します。
あわせて、見積もりで確認すべき費用項目、内製コストとの比較方法、費用を抑える進め方までを整理しました。

BPOはアウトソーシングの一種で、業務の企画や設計から日々の運用までをプロセスごと外部の専門会社に任せる点が、作業単位で切り出す場合との違いです。
費用の水準は業務領域によって大きく異なり、定型的な事務処理なら月額数千円から始められる一方、専門性の高い領域では月額数十万円が前提になります。
まずは業務別のおおよそのレンジを押さえておくと、見積もりを受け取ったときに高いか安いかの判断がつきやすくなるはずです。
費用の目安 | 主な料金体系 | |
|---|---|---|
経理・記帳代行 | 月5,000円〜22万円台 | 仕訳件数による従量/月額固定 |
給与計算・労務 | 月3万円〜10万円台 | 月額基本料+人数従量 |
電話代行・一次受け | 月5,500円〜5万円台 | 月額固定+超過コール従量 |
営業事務・オンラインアシスタント | 月2.5万円〜13万円台 | 稼働時間パッケージ |
採用代行(RPO) | 月19万円〜50万円台 | 稼働時間パッケージ |
大規模コールセンター・データ入力 | 個別見積もりが基本 | 席課金・件数単価など |
上の金額は、各社が公表している料金表から整理した目安で、業務ごとの出典は後述の章に記載しています。
下限は一部の作業だけを切り出した場合、上限は中規模までの企業がプロセス全体を任せた場合と読み替えると、実態に近いイメージがつかめるでしょう。
なお、大規模なコールセンターやデータ入力のように、公開料金を持たず個別見積もりが前提となる領域もあります。
BPOの費用を比べるときに最初に見るべきなのは、金額そのものではなく料金体系です。
体系が違えば、業務量が増減したときにコストがどう動くかも変わってきます。
ここでは代表的な3つの料金体系を、それぞれの向き不向きとあわせて解説します。
月額固定型
従量課金型
成果報酬型・ハイブリッド型
月額固定型は、あらかじめ決めた業務範囲に対して毎月同じ金額を支払う体系です。
給与計算なら月額3万円から、電話代行なら月5,500円からという水準で、一定の処理件数が基本料金に含まれる形が一般的だといえます。
予算が読みやすく社内の稟議も通しやすい反面、実際の業務量が少ない月でも同じ金額が発生します。
業務量が安定している企業に向いた体系です。
従量課金型は、処理件数や稼働時間に応じて費用が決まる体系になります。
記帳代行では1仕訳あたり40円、給与計算では1名あたり550円といった単価が設定され、月額基本料と組み合わせる形も広く使われています。
業務量の少ない月は費用を抑えられますが、繁忙期には金額が跳ね上がる点に注意が必要です。
件数の変動が大きい業務や、小さく試したい場合に適した体系だといえます。
成果報酬型は、獲得件数や成果に応じて費用が決まる体系で、営業代行やマーケティングで使われています。
成果が出なければ費用を抑えられる一方、単価は他の体系より高めに設定されがちです。
実務で多いのは、月額基本料に一定量を含めておき、超過分を従量で加算するハイブリッド型になります。
電話代行の「月額に一定のコール数を含め、超えた分を1件単位で加算する」形が典型例です。
選ぶ基準は、業務量の変動幅と、今後の事業規模の見通しの2つです。
処理件数が毎月ほぼ一定なら月額固定型のほうが単価は下がり、繁閑差が大きいなら従量課金型のほうが年間の総額を抑えやすくなります。
判断に迷う場合は、直近12か月の処理件数を並べて、最大月と最小月の差を確認してください。
差が2倍を超えるようなら、従量課金型を軸に検討する価値があります。
費用の予測しやすさ | 業務量が増えたとき | 向いているケース | |
|---|---|---|---|
月額固定型 | 高い | 範囲内なら変わらない | 業務量が安定している |
従量課金型 | 低い | 比例して増える | 繁閑差が大きい・小さく始めたい |
成果報酬型・ハイブリッド型 | 中程度 | 成果や超過分に応じて増える | 成果指標が明確・変動を許容できる |
複数の業務をまとめて委託する場合は、業務ごとに体系を変えられるかも確認しておきたい点です。
件数の読める業務は月額固定型、変動の大きい業務は従量課金型と分けたほうが総額を抑えられます。
また、事業の拡大や縮小に合わせて途中で体系を変更できるかどうかも、契約前に確認しておきたい条件です。
業務量が読めない立ち上げ期は従量課金型で始め、件数が安定してから月額固定型へ切り替える進め方も選択肢になります。
BPOの費用は業務領域ごとに水準が異なるため、全体の平均額を知ってもあまり役に立ちません。
ここでは、事業者が自社サイトで公開している料金をもとに、業務別の相場を6つの領域に分けて解説します。

経理・記帳代行
給与計算・労務
電話代行・カスタマーサポート
営業事務・オンラインアシスタント
採用代行(RPO)
大規模コールセンター・データ入力
経理BPOは仕訳件数に応じた従量課金が主流で、月50件で5,000円、月500件で50,000円という料金表を公開している事業者があります。
別の事業者では、月額基本料700円に加えて記帳1仕訳40円、請求書発行1件900円という単価設定です。
プロセス全体を任せる包括型では、月30時間の稼働で月額22万5,000円という水準が公開されています。
参考:
・クラウド記帳代行サポート「料金プラン」
・トレジャラーズ株式会社「経理代行オンライン」
・CASTER BIZ accounting「料金プラン」
ある社会保険労務士法人は、社会保険手続の基本契約を10名未満で月額30,000円、100名未満で月額100,000円とし、給与計算代行は1件550円からという料金表です。
別の事業者は初期費用0円・月額30,000円からと公開しています。
社会保険の申請書類の作成と提出代行は社会保険労務士の独占業務のため、有資格者が関与する体制かを専門家へご確認ください。
参考:
・社会保険労務士法人サトー「料金表」
・MINAGINE給与計算アウトソーシング「料金」
電話代行の一次受けは、月額固定にコール数を含め、超過分を従量で加算する形が主流です。
公開料金では、全日9時から21時で月額5,500円・40件、平日9時から18時で9,350円・100コールの例がありました。
月額10,000円で50件までの例もあり、超過は1件160円から200円です。
24時間対応では、最安プランの10倍近い月額53,350円に上がります。
参考:
・セントラル・アイ株式会社「電話代行・秘書代行サービス 料金表」
・fondesk「料金プラン」
・BusinessCall「料金プラン」
営業事務や庶務を任せるオンラインアシスタントは、稼働時間のパッケージ型です。
公開料金では、月10時間で月額2.5万円から4万円、時間単価2,500円から4,000円と示されていました。
月30時間なら月額12万円から13.2万円という例もあり、割り戻すと時間単価は4,000円から4,400円です。
契約期間が長いほど時間単価が下がる点は各社に共通しています。
参考:
・株式会社Colors「タスカル」料金プラン
・CASTER BIZ「オンラインアシスタント 料金プラン」
採用業務を委託するRPOも、稼働時間に応じた月額パッケージが中心的な形です。
公開されている料金では、月30時間で195,000円、月50時間で320,000円、月90時間で504,000円という段階的な設定が示されていました。
候補者への連絡や日程調整といった事務作業を切り出す形が一般的で、採否の判断そのものは社内に残す前提で料金が設計されています。
参考:CASTER BIZ recruiting「料金プラン」
一方で、席単位で運用する大規模なコールセンターや、大量のデータ入力を扱う領域では、公開料金表を持つ事業者はほとんど見当たりません。
要件によって必要な席数や稼働時間、品質水準が大きく変わるため、個別見積もりが前提になっているからです。

ここまでの相場は小規模から中規模の公開料金が中心で、同じ業務でも従業員数が増えれば金額は上へ動きます。
公開されている料金表を見ると、1名あたりの負担と総額とで動く方向が逆になる点が特徴です。
給与計算代行の人数別プランでは、3名で月5,500円、30名で月44,000円と公開されており、公開料金から単純計算した1名あたりの負担は3名で約1,833円、30名で約1,467円と規模が大きいほど下がります。
一方で包括的に任せる経理BPOでは、従業員20名以下から50名までが月22.5万円、50名から100名では22.5万円から68万円と、上限が大きく跳ね上がる設計です。
ある社会保険労務士法人の料金表では、300名未満で月180,000円、1,000名未満で月440,000円という段階が公開されています。
1名あたりで見れば規模の大きい企業のほうが有利ですが、総額の上限は規模とともに切り上がると理解しておかないと、予算の見立てを外しかねません。
参考:
・株式会社Wiz「KANBEI」料金プラン
・CASTER BIZ accounting「料金プラン」
・社会保険労務士法人サトー「料金表」
見積書の合計金額だけを比べても、どちらが割安かは判断できません。
金額の内訳と、そこに含まれていない費用を確認して初めて、同じ土俵での比較が成立します。
ここで解説するのは、見積もりを受け取ったときに必ず確認したい5つの費用項目です。
初期費用と移行費用
月額基本料に含まれる範囲
従量単価と超過料金
スポット業務の追加費用
システム利用料などの実費
契約初月には、業務のヒアリング、手順書の作成、システム設定といった立ち上げのための費用が発生する場合があります。
初期費用0円と明記している事業者もあれば、導入コンサルティング費用を別途請求する事業者もあり、扱いは一律ではありません。
月額が安くても初期費用が高ければ、1年目の総額では逆転することもあるため、初年度の合計金額で比べるようにしてください。
同じ月額10万円という提示でも、そこに含まれる処理件数や工程が違えば、実質的な単価はまったく変わってきます。
見積書には「月額◯円」としか書かれていないことも多いため、何件まで含まれるのか、どの工程からが範囲外になるのかを文書で確認する必要があります。
範囲の境界があいまいなまま契約すると、運用が始まってから追加請求をめぐるやり取りが生じがちです。
基本料金に含まれる件数を超えたとき、1件あたりいくら加算されるのかを必ず押さえておいてください。
公開されている電話代行の料金を見ると、超過分が1コール165円のプランもあれば495円のプランもあり、同じ超過でもちょうど3倍の開きがありました。
想定件数を1.5倍に上振れさせた場合の月額をシミュレーションしておけば、繁忙期の予算を見誤らずに済みます。
年末調整、賞与計算、決算対応のように年に数回だけ発生する業務は、月額とは別建てになっているケースが少なくありません。
年末調整を1件1,000円、賞与計算の基本料を月10,000円として公開している例もあり、単価は事前に確認できます。
年間で発生する業務を洗い出したうえで、月額×12か月にスポット費用を足した総額で比較するのが正確な進め方です。
会計システムや勤怠システムのライセンス費用、郵送費、振込手数料といった実費が委託費とは別に請求される場合があります。
振込代行を1件500円、11件以上なら1件450円といった形で単価まで公開している事業者もあり、実費の扱いは契約前に確認できます。
見積書に「実費別途」と書かれていたら、具体的にどの費目がいくらかかるのかまで踏み込んでください。
BPOの費用が妥当かどうかは、金額の大小ではなく、社内で同じ処理を行った場合との比較で決まります。
内製コストを算出せずに見積もりだけを見るのは、判断の基準がないまま金額の大小を論じるのと同じです。
ここでは、費用対効果を判断するための3つのステップを解説します。
内製の総コストを算出する
委託費用と同じ前提で並べる
ROIで判断の基準を持つ
まず、対象業務を棚卸しして社内で費やしている時間を洗い出し、担当者の人件費に社会保険料や採用・教育費を加えた金額を掛け合わせます。
見落としやすいのが、承認者や管理職が確認に使っている時間と、その業務に使っているシステムのライセンス費用です。
担当者1人分の給与だけで計算してしまうと内製コストを低く見積もることになり、委託が実際より割高に見えてしまいます。
次に、算出した内製コストと委託費用を、同じ期間・同じ業務範囲で並べて比べます。
このとき、委託しても社内に残る工数を必ず加えてください。
データの受け渡しや内容確認、イレギュラー対応の判断は委託後も社内に残るため、その工数を無視すると委託後のコストを過小評価することになります。
下の表のように費目を揃えて並べると、抜けている費用に気づきやすくなります。
費目 | 内製 | BPO委託 |
|---|---|---|
直接人件費 | 担当者の給与・賞与・社会保険料 | 委託費(月額+従量) |
間接費 | 採用・教育費、承認者の確認時間 | 社内に残る確認・受け渡し工数 |
システム費 | ライセンス費、保守費 | 実費として別途請求される場合あり |
一時費用 | 採用時のコスト | 初期費用・移行費用 |
並べたコストをROI(投資収益率)に換算すると、判断の基準が明確です。
式は「(内製コスト − 委託費用 − 社内に残る工数)÷ 委託費用 × 100」で、削減額が委託費用の何割にあたるかを示します。
たとえば内製コストが月30万円、委託費用が月15万円、残る工数が4.5万円ならROIは70%です。
社内の基準値を先に決めておけば、複数社の見積もりを同じ物差しで比べられます。

BPOの費用は、値引き交渉よりも委託の設計で下げられる部分のほうが大きくなります。
前提を整えないまま単価だけを叩くと、品質が落ちて社内の確認工数が増えるという結果になりがちです。
ここでは、無理なく費用を抑えるための3つの方法を解説します。
委託する業務を絞る
委託前に業務を可視化・標準化する
契約期間と稼働量で単価を下げる
すべてを任せようとすると、非定型の判断業務まで範囲に含まれてしまい、単価が上がります。
手順が決まっていて件数が多く、判断を伴わない業務から切り出すのが、もっとも費用対効果の高い進め方です。
給与計算、記帳、一次受けの電話対応などは、この条件を満たす代表例だといえます。
逆に、例外処理が多く判断を伴う業務を無理に含めると、単価も社内の確認工数も一緒に増えます。
誰が・いつ・何を・どの基準で処理しているのかを説明できる状態にしてから相談することが、見積もりの精度を上げる近道です。
業務フローと判断基準が整っていれば、委託先が手順を組み立てる工数が減るため、初期費用と移行期間の両方を圧縮できます。
可視化されていないまま相談に進むと、概算の見積もりしか出てこず、契約後に追加費用が発生しやすくなるでしょう。
稼働時間パッケージ型のサービスでは、契約期間が長くなるほど時間単価が下がる料金設計が各社から公開されています。
公開料金の例では、3か月契約で設定された時間単価が、年間契約では約6割の水準まで下がるという設定です。
ただし長期契約は解約の自由度と引き換えになるため、まずは短期の契約で品質と相性を確かめたうえで切り替える進め方が安全だといえます。

BPOの費用は、業務の標準化の度合いと委託範囲の明確さで決まります。
内製コストを数字で示せなければ、見積もりの妥当性も判断できません。
mfloowは、業務を可視化・標準化・自動化する業務改善プラットフォームです。
業務をフロー・担当・工数で可視化し、業務ごとの工数とコストを集計できます。
内製コストの算出と委託範囲の切り分けを、感覚ではなく数字で進められます。
属人化した手順を標準化できるため、委託先に渡す手順が整い、見積もりの精度も上がるのです。
業務時間の58%を占める「仕事のための仕事」を減らせば、委託の要否そのものが変わります。
初期費用は基本無料、最短即日で利用開始できます。
ぜひご検討ください。
A.利用できます。
記帳代行は仕訳50件で月5,000円、電話代行は月5,500円からという公開料金があり、小さく始められるサービスが増えました。
担当者が1人しかいない企業ほど、退職時に業務が止まるリスクが大きいため、部分的な委託から検討する価値は大きいといえるでしょう。
A.業務量と期間によって変わります。
派遣は稼働時間に対して支払うため一時的な人手不足に向き、BPOは成果物や処理件数に対して支払うため定型業務の継続的な処理に向いています。
指示を出すのが自社か委託先かという違いも、社内に残る管理工数の差につながる要素です。
A.自動的に下がり続けるわけではありません。
処理件数が増えれば従量分も増え、対応範囲を広げれば月額そのものが上がることも珍しくありません。
年に一度は業務一覧を更新して、委託を追加すべき業務と社内に戻すべき業務を洗い直す運用を組み込んでください。

BPOの費用は、委託する業務の専門性と処理量、そして料金体系の組み合わせで決まります。
料金体系は月額固定型・従量課金型・成果報酬型やハイブリッド型に分かれ、処理件数が一定なら月額固定型、繁閑差が大きいなら従量課金型が有利です。
業務別に見ると、記帳代行は仕訳50件で月5,000円から、電話代行は月5,500円から、オンラインアシスタントや採用代行は月2.5万円から50万円台までと、領域ごとに水準が大きく異なりました。
従業員数が増えると1名あたりの負担は下がる一方、総額の上限は規模とともに切り上がる設計が公開されていました。
一方で、大規模なコールセンターやデータ入力のように公開料金を持たない領域もあるため、相場を目にしたときは出典が示されているかを確認する姿勢が欠かせません。
金額を比べる際は、初期費用、基本料の範囲、超過単価、スポット業務、実費の5項目を揃え、内製したときの総コストと同じ前提で並べてください。
そして費用を抑える近道は値引き交渉ではなく、委託する業務を絞り、業務を可視化・標準化してから相談することにあります。
その第一歩として、業務の可視化から始める進め方をまとめた資料をご用意していますので、検討の材料にお使いください。
この記事を書いたライター

mfloowブログ編集部
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