
2025.10.28
フローチャート(flowchart、流れ図)は、複雑な業務や作業手順を整理し、全体像を把握するのに便利なツールです。
矢印や記号を使って流れを図式化することで、プロセスを直感的に理解でき、効率的な運用や課題発見に役立ちます。
本記事では、フローチャートの作り方を基本から徹底解説し、よく使う記号や3つの基本構造、種類、作成するメリットも詳しくご紹介します。
さらに、そのまま参考にできる作成例や成功させるポイント、よくある質問への回答も取り上げますので、ぜひ最後までご覧ください。


フローチャートとは、別名「流れ図」とも呼ばれ、業務プロセスやシステムの動作などを視覚的かつ論理的に表現した図です。
各ステップや決定点を長方形やひし形などの図形で示し、それらを矢印で繋ぐことで一連のプロセスを表現します。
書き方のルールと基本的な手順さえ押さえれば、誰でも分かりやすいフローチャートの作成が可能です。
複雑な手順も図式化することで簡潔に整理でき、チーム内で共有しやすくなるため、教育や業務改善など様々な場面で活用されています。
プログラムのアルゴリズムから日常業務の手順まで幅広い分野で用いられており、最も一般的な図解手法の一つとも言えるでしょう。
フローチャートを作成し業務を可視化することで、組織に様々なメリットをもたらします。
業務の全体を把握することができる
業務の属人化を防止できる
業務の効率化を図れる
工程の抜け漏れがないか確認できる
結果としてコミュニケーションの円滑化やリスク低減など業務品質の向上にもつながるでしょう。以下に、フローチャートを作成する主な利点を解説します。
フローチャートで業務プロセスを見える化すると、これまで分かりにくかった作業の内容や流れが明確になります。
一連の手順を図で示すことで問題点も浮かび上がり、社内外の関係者にプロセスを説明する際にも理解を得やすくなるでしょう。
業務の全体像を共有できるため、チーム内の認識を合わせる作業が進み、課題に対する効果的な改善策の立案にもつながります。
また、業務全体を俯瞰することで小さなミスから経営に影響する重大な問題まで把握しやすくなり、事前に対策を講じてリスクを回避することも可能です。
フローチャートに業務手順を落とし込んで共有することで、属人的になっていた「あの人にしか分からない仕事」を解消しやすくなります。
ブラックボックスしていた業務の進め方が明文化されるため、特定の担当者が不在でも他のメンバーが対応可能になり、業務停滞のリスクを減らすことが可能です。
また、フローチャート作成の過程で各担当者の仕事の進め方を洗い出すことで、効率的な方法や不適切な方法が可視化されます。
その結果、優れた手順を取り入れ誤った方法を是正でき、属人化の解消と同時に大きな業務改善につながる場合もあります。
フローチャートで業務手順を明確にしておくと、次に何をすべきかが把握しやすくなり、作業の段取りがスムーズに行えるでしょう。
各ステップの流れや必要な資材・情報がはっきりするため、準備に無駄がなくなり、生産性の向上につながります。
たとえば、出荷業務のフローチャートを整備すれば、ピッキングから梱包・発送までの流れが整理され、担当者は次工程の準備を前倒しで行うことが可能です。
全体として作業効率が高まることで、業務処理スピードの向上や人為的ミスの減少、コスト削減といった大きな効果も期待できます。
フローチャートでは各ステップや判断が明確に示されているため、関係者全員がプロセス全体を確認し、手順の抜け漏れがないかチェックできます。
これにより、ヒューマンエラーを最小限に抑え、確実で効率的な業務遂行が可能です。
また、図を用いて複数人で手順を見直すことで、個人では気付けなかった抜け漏れやミスをチームで発見しやすくなります。
たとえば、承認フローを図解しておけば、本来必要な決裁ステップの省略に事前に気づき、手順ミスを防止できるでしょう。
このように、事前に不備を洗い出すことで業務開始後のトラブルや手戻りを防ぎ、業務品質を担保できます。
フローチャートには目的や内容に応じて様々な種類があります。
業務フローを整理するものから、意思決定の手順を示すもの、役割分担を明確にするスイムレーン図、業務プロセスを標準記法で描くBPMNなど多岐にわたります。
それぞれ特徴が異なるため、用途に適した形式を選ぶことが重要です。以下に代表的なフローチャートの種類をご紹介します。
ワークフローチャート
意思決定フローチャート
スイムレーン図
文書フローチャート
BPMN
ワークフローチャートは、各タスクの担当者や進捗状況を示し、チーム内での役割分担を明確にするフローチャートです。
プロジェクト管理や業務フローの可視化に活用され、誰がどの作業を担当しているかを一目で把握できるため、チームの連携強化に役立ちます。
複数部署にまたがる業務でも、タスクと担当を整理することで属人化を防ぎ、漏れのないワークフロー管理が可能になるでしょう。
たとえば、新入社員の入社手続きでは、人事・総務・ITなど各部署の作業をワークフローチャートで整理することで、部署間の引き継ぎがスムーズになります。
意思決定フローチャートは、判断が必要な場面の手順や選択肢の流れを示す図です。
条件に応じた分岐を枝分かれ状に描くため、Yes/Noなどの判断によって結論に至る過程が一目でわかります。
「決定木(Decision Tree)」とも呼ばれ、業務マニュアルや問い合わせ対応フローなどで活用されます。
判断基準を明確に共有できるため、組織内の意思決定プロセスを標準化し、誰もが一貫した対応を取ることが可能です。
たとえば、トラブルシューティングでは、質問に対するYes/Noの回答を辿って解決策に導く意思決定フローチャートが利用されます。
スイムレーン図は、プロセスを担当部門や役割ごとの「レーン」に区分し、各担当の責任範囲を明確にするフローチャート形式です。
部署やチームごとにレーンを設定し、並行して進む作業を横方向のフローで示します。
誰が何を行っているかが一目で分かるため、フロー内の課題発見や業務改善の検討にも役立つでしょう。
たとえば、営業・経理・ITの3部門が関わるプロセスでは、それぞれの部門に対応するスイムレーンを設けて業務フローを描画し、部門間のやり取りを可視化します。
複数の部門が関与する業務でも、スイムレーン図により滞りや無駄を発見しやすくなります。
文書フローチャートは、社内で文書や帳票がどの部署からどこへ流れるかを示すフローチャートです。
請求書や申請書などの書類が、起案から承認までどのように処理・回覧されるかを視覚化しましょう。
各ステップで誰が文書を受け渡すかが一目でわかるため、手続きの滞留箇所や非効率なルートを発見し、業務改善に役立ちます。
たとえば、経費精算書の文書フローチャートでは、提出された申請書が上長承認を経て経理に渡り、最終的に支払処理されるまでの流れを追跡できます。
文書管理や内部統制の面でも重要で、書類の紛失防止や処理漏れチェックにも有効です。
BPMN(Business Process Model and Notation)は、ビジネスプロセスを標準化された記号で表現するフローチャート手法です。
業務フローを国際標準の図記号(イベント、タスク、ゲートウェイなど)で詳細に描画でき、組織横断のプロセス改善やシステム設計に活用できます。
誰が見ても統一的に理解できる表記法のため、部門間や他社との業務フロー共有にも適しています。
たとえば、BPMNを用いて現行業務を可視化すれば、プロセスの無駄やボトルネックを洗い出しやすくなり、効率化の検討に役立つでしょう。
フローチャート作成や読解の際には、使用する基本的な記号の意味を理解しておくことが重要です。
それぞれの図形にはJISやISOで定められた役割があり、意味が一貫していないと読み手を混乱させてしまいます。
基本記号を正しく活用することで、フローを直感的に伝えることが可能です。以下に、よく使用される代表的な記号とその意味を紹介します。
開始・終了
プロセス
条件分岐
線・矢印


開始・終了は、フローの始まり(スタート)と終わり(エンド)を示す記号です。
通常、角のない楕円形で描かれ、フローチャートの最初と最後を表します。図形の中には「開始」や「End」などの文言を入れて明示することが多いです。
プロセスがどこから開始し、どこで完了するかを明示することで、フローの範囲が明確になります。
基本的にフローチャートには少なくとも1つの開始記号と終了記号が必要で、処理の入口と出口を示す重要な役割です。
たとえば、発注手続きのフローチャートなら「発注依頼開始」から始まり、「商品受領で終了」といった具合に開始・終了を設定します。

プロセス(処理)を表す記号で、長方形の図形です。
フローチャート内で実行される具体的な作業やタスクを示し、図形の中に簡潔に内容を記入します(例:「データ入力」「書類作成」など)。
処理記号はフローチャートで最も頻繁に使用される基本図形の一つで、アルゴリズムや業務手順の各段階を表すのに欠かせません。
連続する複数の処理記号を矢印で繋ぐことで、一連の作業フローを表現します。
たとえば、経費精算フローでは「申請内容確認」や「部長承認」など各作業が長方形で表され、それらが順番に繋がれてフロー全体を構成します。

条件分岐(判断)を表す記号で、ひし形(菱形)の図形です。
特定の条件によってプロセスが複数の経路に分かれる際に使用され、「はい/いいえ」や「○/×」など二択の判断を示すことが一般的です。
判断記号からは通常、条件を満たす場合と満たさない場合の2本の矢印が伸び、それぞれ異なる処理フローへ繋がります。
たとえば、申請承認フローでは「内容に不備はあるか?」という判断をひし形で示し、「不備なし」なら次の承認ステップへ、「不備あり」なら差戻し処理へと2方向に分岐させましょう。
このように、判断記号を使うことで条件次第で動作が分かれるフローの論理構造を明確に表現できます。

プロセスの流れを繋ぐ線・矢印は、フローチャートで各記号同士の関係や手順の進行を示す記号です。
矢印はフローの進行方向(順序)を表し、通常は上から下、または左から右へ向けて描かれます。
線の種類(実線・点線)や矢印の形状(一直線矢印・ページ連結子など)によって、プロセス間の特殊な関係(たとえば別ページへの移行や並行処理)を示すことがあるので、注意しましょう。
たとえば、同じ処理を繰り返すループでは、矢印を前の工程に戻す形で描いて繰り返し構造を示します。
適切に矢印を配置することで、処理の順序や分岐の向きが一目で理解でき、フローチャート全体の流れを直感的に把握しやすくなるでしょう。
どれほど複雑に見える業務フローも、分解すると「順次構造」「分岐構造」「反復構造」という3つの基本構造の組み合わせで成り立っています。
この3つの型を理解しておけば、初めてフローチャートを作る場合でも、論理的で破綻のない図を組み立てることが可能です。
それぞれの構造の特徴と使いどころを順に解説します。
順次構造
分岐構造
反復構造(ループ)

順次構造とは、処理が上から下(または左から右)へ、手順どおりに一直線に進んでいく最も基本的な構造です。
途中で分かれたり戻ったりすることなく、処理記号を矢印で順番に繋ぐだけで表現できます。
たとえば、「申請書を受け取る」→「内容を確認する」→「システムに入力する」という一連の作業は順次構造です。
フローチャート全体の骨格となる構造のため、まずは例外を考えずに標準的な流れを順次構造で一本通すことが、分かりやすい図を作る第一歩になります。

分岐構造とは、条件によって処理の流れが複数に分かれる構造です。
ひし形の判断記号を使い、「はい/いいえ」などの条件に応じて異なる処理へ進みます。
たとえば、経費精算で「金額が1万円以上か?」という条件を設け、「はい」なら部長承認へ、「いいえ」なら課長承認へ進む、といった表現が分岐構造です。
承認の要否やエラー発生時の対応など、条件次第で動きが変わる業務を漏れなく洗い出して分岐構造で表現することで、想定外の事態に強いフローチャートになります。

反復構造とは、特定の条件を満たすまで(または満たしている間)、同じ処理を繰り返す構造です。
「ループ」とも呼ばれ、ループ記号で囲むか、判断記号から前の工程へ矢印を戻すことで表現します。
たとえば、「書類に不備がなくなるまで修正と確認を繰り返す」「リストの顧客全員に案内を送り終えるまで送付作業を繰り返す」といった業務が反復構造にあたります。
注意点は、必ず終了条件を明確に記載することです。
終了条件が曖昧だと、図のうえで処理が終わらない「無限ループ」となり、読み手を混乱させてしまうため注意しましょう。
実際にフローチャートを作成する際には、明確な手順を踏むことで効率的かつ正確に図を描くことができます。
目的の確認から作図、内容のチェックまで順を追って進めれば、抜け漏れのない分かりやすいフローチャートを完成させられるでしょう。
適切な情報を盛り込むこともポイントです。
以下に、フローチャートを作成する基本的なステップを説明します。
フローチャートを作成する目的や課題を確認する
業務内容を全体で確認して把握する
作業内容や行うタスクの洗い出しを行う
業務フローチャートに書き起こす
フローチャートの内容を確認する
フローチャートを作成する前に、まず何のために作るのか目的と解決したい課題を明確にします。
プロセスの共有なのか、業務の課題可視化による改善なのか、目的によって図に盛り込む情報や詳細度が変わるため、最初にゴールを定めましょう。
たとえば、業務効率化が目的なら現状フローの問題点が分かるように記述し、新人教育が目的なら全手順を丁寧に示すなど、誰に向けたフローチャートかも意識して作ります。
目的がはっきりすれば、フローチャートの構成や範囲がぶれずにより的確なものに仕上げられます。
次に、フローチャート化する業務の全容を把握します。
関係者とともに現行の業務フローを始まりから終わりまで一通り確認し、手順の流れを大まかに捉えましょう。
この段階で関係する部署・担当者や使用する書類・システムも洗い出しておくと効果的です。
業務フロー全体の骨組みが明確になれば、次のタスクの洗い出しで漏れを防ぐことができ、関係者間で全体像の認識も揃います。
業務フローを構成する具体的な作業やタスクを漏れなく洗い出します。実際の業務手順を細分化し、必要な工程や要素をすべてリストアップしましょう。
担当者へのヒアリングや現行マニュアルの参照などを行い、現場で行われている作業を余すところなく書き出します。
タスクはできるだけ具体的かつ簡潔に表現し、曖昧な内容があれば関係者に確認して明確化してください。
なお、この段階では時系列を気にせず挙げておき、情報入力や書類作成など小さな作業も含めて洗い出すことが後工程での抜け漏れ防止につながります。
洗い出したタスクを実際の流れに沿って並べ替え、フローチャートとして書き起こします。
業務がどのような順序で進むのか、関連性や依存関係を考慮しながら、無駄のないスムーズな流れとなるよう整列させましょう。
各タスクに適切な記号(開始・終了、処理、判断など)を当てはめ、矢印で繋いでいきます。
並行して進む作業や複雑な分岐がある場合は、スイムレーン図を活用したり判断記号を配置したりして明確に表現します。
まず、紙やホワイトボード上で下書きを作成し、全体像を確認してからパソコンで清書すると効率的です。
最後に、完成したフローチャートの内容を確認します。タスクの順序や記載内容に誤り・漏れがないか、目的に沿った構成になっているかを入念にチェックしましょう。
可能であれば実務担当者やチームメンバーにレビューしてもらい、第三者の視点から「理解できるか」「誤解を生まないか」「抜け漏れがないか」を確認してください。
指摘を踏まえて図を適宜修正し、最終版を確定させます。
複数人で点検することで、作成者だけでは気づかなかった改善点が見つかり、より完成度の高いフローチャートになります。
フローチャートは特別な専用ソフトがなくても、身近なツールやテンプレートを活用して手軽に作成することが可能です。
たとえば、ExcelやPowerPointの図形機能を使って簡単に作成したり、無料で利用できるフローチャートのテンプレートやオンラインの作図ツールを活用する方法があります。
ここでは、フローチャートを手軽に作る主な方法を紹介します。
エクセルやパワーポイントで作成する
テンプレートを使用して作成する
フローチャート作成ツールを使用する
ExcelやPowerPointなどのオフィスソフトの図形描画機能を使えば、簡単なフローチャートを手軽に作成できます。
長方形やひし形など基本的なフローチャート用図形があらかじめ用意されており、テキストを入力して線や矢印で繋ぐだけでフロー図を描くことが可能です。
たとえば、Excelではシートを方眼紙状に整えて図形をきれいに配置でき、PowerPointではスライド上に図形とテキストをドラッグ&ドロップして直感的に作図できます。
特別なソフトをインストールする必要がなく、多くの人が使い慣れたツールであるため、社内で共有・編集しやすいのも利点です。
既存のフローチャート用テンプレートを利用すれば、一から作図しなくても手軽にフロー図を作成できます。
基本的な構造やデザインが整ったテンプレートが配布されており、入力項目を書き換えるだけで見やすいフローチャートの作成が可能です。
予め用意された雛形を使うことで、図のデザインやレイアウト調整の手間も省けます。
テンプレートはExcelやPowerPoint形式のものからPDF形式まで様々あり、業務内容に近いフォーマットを選んで活用すると効率的です。
無料でダウンロードできるテンプレート集も公開されているので、目的に合ったものを探してみましょう。
専用のフローチャート作成ツール(オンラインサービス含む)を利用すると、より効率的に美しいフローチャートを描くことができます。
近年は無料で使えるクラウド型の作図ツールも多く、直感的なインターフェースと豊富なテンプレートが利用者に利便性を提供します。
ブラウザ上で動作するサービスではドラッグ&ドロップで図形を配置でき、自動整列やレイアウト調整機能も備わっているため、初心者でも短時間で見やすいフロー図を作成できるでしょう。
また、チームで同時編集できる共同作業機能を持つツールもあり、オンライン上でフローチャートを共有しながら作成・更新することも可能です。

効果的で分かりやすいフローチャートを作成するには、いくつかのポイントに注意することが重要です。
以下に、フローチャート作成を成功させるために押さえておきたい主な留意点を紹介します。
業務に関係する人間に細かくヒアリングを行う
情報を詰め込みすぎないようにする
見やすいように書き方を統一する
曖昧な表現を使用しないようにする
専門用語はできる限り使用しないようにする
フローチャート作成にあたっては、実際の業務に関わる担当者に丁寧にヒアリングを行い、現場の実態を正確に把握することが大切です。
事前に業務の流れを観察したり、現場担当者から細かい手順を聞き取ることで、曖昧な部分を推測で記入するリスクを防げます。
ヒアリングを怠って想像で図を描き始めてしまうと、一見もっともらしいが現場では使えないフローチャートになりかねません。
関係者への聞き取りを十分に行うことで、フローチャートの精度が上がり、実態に即した有用な図になります。
フローチャートには必要な情報を盛り込みつつも、詰め込みすぎないことが重要です。
一つの図にあまりに多くのプロセスや分岐を詰め込むと、かえって全体が見づらくなってしまいます。
ノード(記号)の数が増えすぎる場合はプロセスを分割したり、長大なフローはページ外結合子(連結用の記号)で別ページに分岐するなど、図を簡潔に保ちましょう。
複雑な業務はサブプロセスごとに複数のフローチャートに分けて表現するのも有効です。
情報量を絞ってシンプルにまとめることで、見る人が直感的に理解しやすいフローチャートになります。
フローチャート全体の書式や記号の使い方を統一し、見やすさを高めましょう。
たとえば、同じ種類のプロセスは同じサイズの長方形で描く、フォントや矢印の太さ・形状を揃えるといったルールを設けると良いでしょう。
また、開始・終了は楕円、判断は菱形、処理は長方形といった基本記号を正しく使用することで、全体に統一感が生まれます。
複数人でフローチャートを作成・更新する場合は、あらかじめ社内標準のテンプレートやスタイルガイドを共有しておくと、図の体裁が乱れず済みます。
フローチャート内の表記には曖昧な表現を使わないようにしましょう。
判断条件や作業内容は、誰が見ても同じ解釈になるよう具体的に記述してください。
たとえば、「十分に検討する」ではなく「承認者が○○をチェックする」のように、曖昧な動詞や形容詞は避けて明確な動作を示します。
判断の分岐条件も「売上 > 100万円?」のように具体的な数値や状態を用いて明記し、誰もが同じ判断を下せるようにします。
曖昧な指示や表現は見る人を迷わせ、誤解を招く原因となるため、フローチャートには適しませんので注意しましょう。
フローチャート内では、専門用語や社内固有の略語は可能な限り使用しないようにしましょう。
見る人によって理解できない用語があると、フローチャートの汎用性が下がってしまいます。
やむを得ず使用する場合は注釈や凡例を付けるなど補足を行います。
たとえば「PDCAサイクル」という専門用語は注釈で「計画・実行・検証・改善のサイクル」と説明するなど工夫しましょう。
専門的な言葉に頼らず、平易な日本語で説明できるかを意識して記載します。
特に社外や他部門と共有するフローチャートでは、誰もが理解できる表現を用いることが大切です。
ここでは、バックオフィス業務を題材に、そのまま参考にできるフローチャートの作成例を3つご紹介します。
いずれも本記事で解説した基本記号と3つの基本構造の組み合わせだけで表現できるものです。自社の業務に置き換えながら、作成の参考にしてください。
経費精算業務のフローチャート例
入社手続きのフローチャート例(スイムレーン図)
問い合わせ対応のフローチャート例(意思決定フロー)

経費精算は、申請から承認、支払いまでの流れが定型化しやすく、フローチャート化に適した業務です。
開始「従業員が経費を申請」→処理「上長が申請内容を確認」→判断「不備はあるか?」→「あり」なら処理「申請者へ差し戻し」から確認工程へ戻る(反復構造)、「なし」なら判断「金額は1万円以上か?」→「はい」なら処理「部長承認」、「いいえ」ならそのまま処理「経理部で支払処理」→終了「精算完了」という流れです。
差し戻しの反復構造と金額による分岐構造を組み合わせることで、例外パターンも漏れなく表現できている点がポイントです。

新入社員の入社手続きは、人事・総務・IT・配属部署など複数の部署が関わるため、スイムレーン図での表現が適しています。
人事レーン「雇用契約の締結」「労務手続き」→総務レーン「備品・座席の手配」→ITレーン「アカウント発行・PC設定」→配属部署レーン「受け入れ準備・OJT開始」のように、レーンをまたいで処理が進む様子を描きます。
レーンを越える矢印が部署間の引き継ぎポイントです。
引き継ぎ箇所こそ漏れや停滞が起こりやすいため、矢印の前後で「誰が・何を・いつまでに渡すか」を明確にしておきましょう。

社内ヘルプデスクやカスタマーサポートの問い合わせ対応は、Yes/Noの判断を辿る意思決定フローチャートで標準化できます。
開始「問い合わせ受付」→判断「FAQで解決できる内容か?」→「はい」なら処理「FAQを案内」→終了。
「いいえ」なら判断「担当部署での対応が必要か?」→「はい」なら処理「担当部署へエスカレーション」、「いいえ」なら処理「一次回答を作成・送付」→終了という流れです。
判断基準を具体的に書いておくことで、経験の浅い担当者でも熟練者と同じ品質の対応ができるようになり、対応のばらつき防止につながります。

フローチャートは作成して終わりではなく、業務の変化に合わせて更新し、日々の業務で実際に使われ続けてこそ価値を発揮します。
しかし、ExcelやPowerPointで作成したフローチャートは更新が後回しになりやすく、気づけば実態と乖離してしまうケースも少なくありません。
mfloowは、業務フローの整理からマニュアル化、タスク管理、分析までを一気通貫で行える、業務改善プラットフォームです。
フローチャートを作成してそのままタスク管理に展開できるため、「図を描いて満足して終わり」になりがちな業務可視化を、日々の運用に直結させることができます。
フローとマニュアル、進捗情報が一元化されることで、情報共有・蓄積がシームレスになり、業務のブラックボックス化や属人化の解消につながります。
また、AI機能を活用した業務棚卸により、フローチャート作成の最初のハードルである現場へのヒアリング工数を削減することも可能です。
本記事で紹介した経費精算や入社手続きのような部署横断の業務こそ、mfloowでの可視化・運用が効果を発揮します。

最後に、フローチャートの作り方に関してよくある質問とその回答を紹介します。
フローチャート作成前に決めておくべき事項、分かりやすい図にするためのコツ、初心者におすすめのツールやテンプレートなど、疑問に思いがちなポイントをQ&A形式でまとめました。
これからフローチャートを作成する方の参考になれば幸いです。
A.フローチャートを作り始める前に、以下の項目を明確にしておくと良いでしょう。
目的と利用シーン
範囲
対象読者
記法や形式
これらを事前に決めておけば、作成中の方向性がぶれず、分かりやすいフローチャートを作る助けになります。
A.次のポイントに注意すると、誰が見ても分かりやすいフローチャートになります。
情報を詰め込みすぎない
記号や書式の統一
曖昧な表現を避ける
専門用語はできるだけ使わない
レビューを行う
これらの工夫によって、直感的に理解できるフローチャートになるでしょう。
A.初心者には次のような方法がおすすめです。
Officeソフト
オンライン作図ツール
テンプレートの活用
これらを活用することで、初心者でも効率よくフローチャートを作成できるでしょう。
フローチャートの基本構造は以下の3つです。
順次構造:処理が手順どおりに一直線に進む
分岐構造:条件によって処理の流れが分かれる
反復構造:条件を満たすまで同じ処理を繰り返す
どれほど複雑な業務フローも、この3つの組み合わせで表現できます。
フローチャートは作成後の運用が重要です。以下の点を押さえましょう。
作成日・更新者・版数を明記する
業務変更のタイミングで必ず見直す
定期的なレビューのルールを決めておく
実態と乖離した古いフローチャートは誤った手順を広めてしまいます。
フローの可視化からタスク管理まで一元化できるツールを活用すると、更新の手間を抑えながら運用できます。
フローチャートは、複雑な業務も誰にでも理解できるように視覚化するための強力なツールです。
基本的な記号の意味と順次・分岐・反復の3つの基本構造、作成手順さえ押さえれば、複雑なプロセスも簡潔に整理して表現できます。
フローチャートを活用して業務全体を俯瞰すれば、属人化の解消や業務効率化、ミス防止など多くのメリットが得られるでしょう。
大切なのは、作成したフローチャートを業務の変化に合わせて更新し、日々の業務で使い続けることです。
本記事で紹介した作成例やポイントを参考に、ぜひ自社業務のフローチャート作成に挑戦し、業務プロセスの見える化と継続的な改善を進めてみてください。
組織全体の生産性向上にもつながっていくはずです。

この記事を書いたライター

mfloowブログ編集部
mfloowブログ編集部メンバーが不定期で更新します。業務効率化やバックオフィス業務をテーマに、読者の皆さまのお役に立てる情報を解説しています!
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