
2026.01.20
社内の複雑な業務フローを見える化し、自動化や効率化によって改善する手法としてBPMツールが注目されています。
BPMツールを活用すれば、入社・退職・異動などの煩雑な業務フローを簡素化し、バックオフィスを始めとする定型業務の負担軽減が期待できます。
本記事では、BPMツールとは何か、その特徴やワークフローシステム・RPAツールとの違い、基本機能、選定ポイント、さらにおすすめのツールと導入プロセスについて解説します。

BPMとは「Business Process Management(ビジネスプロセスマネジメント)」の略で、業務プロセスを継続的に改善するマネジメント手法です。
そして、BPMツールとは、こうした業務プロセスの設計・実行・監視・分析をシステム上で支援するためのソフトウェアを指します。
BPMツールは社内の複雑な業務フローを可視化し、効率的に管理・最適化することで生産性向上を図れるとされています。
たとえば、紙やExcelで行っていた進捗管理を電子化し、進捗をリアルタイムに把握するといったことが可能です。
ワークフローやRPAを部分的に導入済みの企業でも、BPMツールを「司令塔」として組み合わせることで、全体効率を最大化しながら個別ツールの効果を引き出せる点が大きなメリットです。
では、BPMツールと、既に導入が進んでいるワークフローシステムやRPAツールは、具体的にどのような点で違いがあるのでしょうか。
ワークフローシステムとBPMツールの比較
RPAツールとBPMツールの比較
比較項目 | ワークフローシステム | BPMツール |
主な目的 | 主に申請・承認など特定の業務フローを電子化・自動化すること | 個々のワークフロー管理に加え、業務プロセス全体の設計・実行・監視・最適化を包括的に支援すること |
対象範囲 | 特定の流れの効率化にフォーカス | 複数部署にまたがる業務プロセス全体を俯瞰 |
役割 | 特定の流れの効率化 | PDCAサイクルで継続的に改善するためのプラットフォーム |
機能 | 特定の業務フローの電子化・自動化 | 業務プロセス全体の設計、実行、監視、分析、最適化 |
ワークフローシステムは、主に申請・承認など特定の業務フローを電子化・自動化するためのツールです。
一方でBPMツールは、個々のワークフローの管理にとどまらず、業務プロセス全体の設計・実行・監視・最適化まで包括的に支援します。
簡単に言えば、ワークフローシステムが特定の流れの効率化にフォーカスするのに対し、BPMツールは複数部署にまたがる業務プロセスを俯瞰しPDCAで継続改善するためのプラットフォームです。
比較項目 | RPAツール | BPMツール |
主な目的 | 人が行っていた定型作業を自動化すること | 業務プロセスそのものを見直して最適化すること |
対象範囲 | データの転記や入力などの繰り返し作業 | 業務プロセス全体の効率化 |
役割 | 既存の業務フローの中で繰り返し作業を自動化する役割 | 業務プロセス全体の効率化を担い、プロセスの最適化を図るためのプラットフォーム |
業務改善 | 既存の業務フロー自体は改善しない | 業務プロセスを継続的に改善するマネジメント手法とそれを支援するツール |
RPAツール(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、人が行っていた定型作業をソフトウェアロボットで自動化するための仕組みです。
たとえば、データの転記や入力などの単純作業をソフトが代行してミスなく高速に実行します。ただし、RPAは既存の業務フロー自体を改善するものではありません。
一方、BPMツールは業務プロセスそのものを見直して最適化するためのツールです。
BPMツールが業務プロセス全体の効率化を担い、RPAはその中で繰り返し作業を自動化する役割といえます。
BPMツールの価値は「設計→検証→測定」の循環を一気通貫で回せる点にあります。
「設計→検証→測定」のループを高速で回すことで、担当部門は根拠ある意思決定を行い、経営層は全社KPIとの整合をリアルタイムでチェックできます。
ここではBPMツールの基本的な3つの機能について解説します。
モデリング機能
シミュレーション機能
モニタリング機能
BPMツールのモデリング機能は、業務プロセスを図式化して可視化するための基本機能です。
現在行われている業務の流れをフローチャートなどの形で表現することで、作業手順や担当者の役割が明確になります。
業務全体を俯瞰できるため、部門間の連携不足や重複作業にも気づきやすくなります。
また、誰がいつ何を行うのかが一目で分かるため、引き継ぎ時の混乱や作業の抜け漏れ防止にも効果的です。業務改善の出発点として重要な機能といえます。
シミュレーション機能は、設計した業務プロセスを仮想的に実行し、改善施策の効果を事前に検証できる機能です。
工程の追加や削減、担当者の変更などを行った場合に、処理時間や負荷がどのように変化するかを試算できます。
また、複数のパターンを比較することで、最も効率の良いプロセスを選択しやすくなります。
実際に導入する前に課題や影響を把握できるため、手戻りや失敗のリスクを抑えながら業務改善を進められる点が大きなメリットです。
モニタリング機能は、実行中の業務プロセスを継続的に監視し、状況を可視化するための機能です。
処理件数や所要時間、滞留状況などのデータを自動で収集・集計することで、業務のパフォーマンスをリアルタイムに把握できます。
数値として現状を確認できるため、感覚に頼らない客観的な評価が可能です。
ボトルネックとなっている工程の特定や、改善施策の効果測定にも役立ち、継続的な業務改善を支える重要な機能といえます。

選定時は「現場の使いやすさ」と「全社データ統合」の両立が重要です。
ノーコード対応であれば改善サイクルを現場主導で回せますが、既存システムと連携できなければデータが分断されます。
また豊富な分析機能がなければ改善の効果測定ができません。
自社のITアーキテクチャと人材スキルを踏まえ、これら三要素のバランスを取ることが失敗しないポイントです。
ノーコード・ローコードへの対応で選ぶ
既存システムやデータとの連携で選ぶ
データ収集や分析の機能で選ぶ
業務フローの変更や新しい処理を追加したいときに、プログラミングの知識がなくてもツールを操作して実装できるかは重要なポイントです。
ノーコード・ローコードに対応したBPMツールであれば、現場担当者でもドラッグ&ドロップ等でプロセスを素早く修正できます。
IT部門に依頼せずに業務部門主体で改善を回せるため、スピード感を持ってPDCAを回すことが可能です。
導入するBPMツールが社内の既存システム(基幹システム、データベース、他のSaaSなど)と連携できるかも重要です。
システム間でデータが自動連携すれば、二重入力や手作業によるミスを防止でき、業務全体の効率化につながります。
反対に連携できないツールを選ぶと、せっかく可視化したプロセスも一部で手作業が残り、効果が半減しかねません。
導入前に自社のシステム環境との親和性を確認しましょう。
BPMツールを使った業務改善では、データに基づく効果測定と分析が欠かせません。
ツールに蓄積される処理件数・時間などのデータを活用し、KPIの達成度やボトルネックを可視化できる機能があると便利です。
たとえば、各プロセスの所要日数をレポート出力できれば、改善前後でどれだけ効率化したかを定量的に比較できます。
分析機能が充実したBPMツールであれば、改善サイクルをより精度高く回していくことが可能です。
それぞれのツールは機能面・導入コスト・連携性に特色があり、業務規模やITリソースに応じた最適解が変わります。
「社内開発体制の強さ」「連携したいシステム数」「グローバル展開の有無」など自社条件を整理した上で比較検討しましょう。
ここでは、おすすめのBPMツールを10種類紹介します。
mfloow
intra-mart BPM
BP Director
pipefy
DataSpider BPM
kissflow
Process Street
Ranabase
Progress Corticon
Questetra

mfloow(エムフロー)は、AIを活用し、複雑な業務フローの可視化・標準化・自動化を一気通貫で実現できる業務改善プラットフォーム(BPMツール)です。
プログラミング不要で誰でも簡単にプロセス設計が可能で、部署横断の進捗や遅延をリアルタイムで把握し、ダッシュボードでボトルネックを特定できます。
さらに、外部SaaSやAI連携で繰り返し作業を自動化し、二重入力や抜け漏れをゼロにもできます。
業務フロー整理から改善サイクル(PDCA)をサポートし、業務効率化とコスト削減を最大化したい企業に最適なソリューションです。

intra-mart BPM(イントラマート)は、オープンかつ独立性の高いアーキテクチャで柔軟なカスタマイズが可能なBPMツールです。
プログラミング不要のドラッグ&ドロップ操作で業務プロセスを構築でき、複雑な日本企業の商習慣にも対応します。

BP Directorは、ガントチャート形式のタイムラインで複数部署にまたがる複雑な業務も一元管理できるBPMツールです。
シンプルな操作性で独自の業務ルールも柔軟に設定可能。
誰がいつどの作業を行ったかをリアルタイムに見える化でき、進捗管理や迅速な意思決定に役立ちます。

Pipefy(パイプファイ)は、調達から支払いまであらゆる業務フローを一元管理できるクラウド型BPMツールです。
必要な統合(連携設定)を行うだけで各部署のプロセスを効率化でき、常に最新データに基づいたリアルタイムな業務状況の可視化が可能です。
DataSpider BPM(データスパイダー)は、アイコンのドラッグ&ドロップ操作で素早く業務プロセスを設計できるBPMツールです。
可視化されたプロセスからボトルネックが一目瞭然となり、さらに一度入力したデータを必要な部署に自動共有できるため、紙の書類回覧や二重入力の手間を削減します。

Kissflow(キスフロー)は、直感的なUIでビジネスデータを可視化し活用できるBPMプラットフォームです。
毎週のように新機能が追加され、コードを書かずにすぐにワークフローを稼働できるのが特長です。
カンバン方式のタスク管理やワークフロー、ダッシュボードなど、あらゆる業務プロセスを1つのプラットフォーム上で構築できます。

Process Street(プロセスストリート)は、AIを活用したワークフローにより組織内の業務手順を標準化できるツールです。
人的リソースをあまり割かずに反復タスクを自動化でき、チームの進捗を即座に確認してKPI達成度を測定・レポート出力できる機能を備えています。

Ranabase(ラーナベース)は、業務改善コンサルティングのノウハウから生まれたBPMツールです。
業務フローを統一フォーマットでわかりやすく可視化でき、豊富なテンプレートを活用することで導入後すぐに効果を発揮できます。
直感的なUIにより初めての担当者でも扱いやすい点も魅力です。

Progress Corticon(コーティコン)は、AIを活用して企業の業務判断を自動化するビジネスルールエンジン型のツールです。
複雑なルールでも100%正確に自動実行でき、業務用語でルール設定ができるため現場担当者にも直感的に扱えます。

Questetra BPM Suite(クエステトラ)は、Webブラウザ上で業務フローをデザイン・実行できるクラウド型のBPMツールです。
ノーコードでワークフローシステムの開発・運用が完結し、稟議・見積・問い合わせ対応など様々な社内フローを効率化できます。
Google WorkspaceやMicrosoft 365との連携、生成AIによる自動処理などの高度な拡張機能も備えています。

BPMツール導入は、次の5ステップで進めましょう。
業務を整理して課題を明確にする
要件をまとめる
複数ツールを比較する
試験的に運用する
PDCAサイクルで改善する
「小さく始めて大きく育てる」が成功の王道パターンです。最初に全社展開を前提にしつつも、パイロット導入で成果と課題を可視化し、改善ノウハウを内部に蓄積してからスケールさせましょう。
BPM導入の第一歩は、自社の業務プロセスを整理し、現状を正しく把握することです。
部署や担当者ごとに行われている業務フローを洗い出し、どの工程に時間や手間がかかっているのか、どこで滞留や属人化が起きているのかを可視化しましょう。
業務全体を俯瞰することで、課題の優先順位も見えてきます。
特に、ビジネスへの影響が大きい業務や頻度の高いプロセスから着手することで、BPM導入の効果を実感しやすくなります。
課題が明確になったら、それを解決するために必要な要件を整理します。
まずは改善後の理想的な業務プロセスを描き、現状とのギャップを洗い出しましょう。
その上で、必要となる機能や条件を具体化します。
たとえば、承認フローの自動化、入力作業の削減、既存システムとのデータ連携などが挙げられます。
要件を曖昧なままにせず、優先度を付けて整理しておくことで、ツール選定時の判断がスムーズになるでしょう。
要件が整理できたら、それを満たすBPMツールを複数ピックアップして比較検討します。
各ツールの機能や操作性、価格体系、サポート体制などを確認し、自社の業務や体制に合っているかを見極めましょう。
導入実績や口コミ情報を参考にするのも有効です。
最初から一つに絞り込まず、複数の選択肢を比較することで、メリット・デメリットを客観的に把握でき、導入後のミスマッチを防ぐことにつながります。
有望なBPMツールが見つかったら、いきなり全社導入するのではなく、試験的な運用から始めることが重要です。
無料トライアルや一部部署でのパイロット導入を活用し、実際の業務で使い勝手や改善効果を確認しましょう。
事前に評価期間や指標を設定しておくことで、導入効果を客観的に判断できます。
本格導入前に課題や懸念点を洗い出しておくことで、スムーズな展開につながります。
BPMツールは導入して終わりではなく、運用を通じて改善を続けることが重要です。
導入後は業務プロセスを定期的にモニタリングし、目標との差異や新たな課題がないかを確認してください。
その結果をもとにプロセスを見直し、改善を重ねていくことで、効果を最大化できます。
PDCAサイクルを回す習慣を組織に定着させることで、環境や業務の変化にも柔軟に対応できる、持続的な業務改革が実現します。
BPMツールは、業務フローを可視化しながら継続的な改善を進められる点が大きな強みです。
業務全体の流れを把握することで、属人化や無駄な工程に気づきやすくなり、業務効率化や品質向上につながります。
ツール選定では、プロセス分析・最適化といった基本機能に加え、ノーコード対応や既存システムとの連携性を確認することが重要です。
まずは小規模に導入し、PDCAを回しながら効果を検証することで、自社に合った形で無理なく業務改善を進めていきましょう。

この記事を書いたライター

mfloowブログ編集部
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