
2025.08.27
自社のリソースが足りない際、スポット的に人材を確保するタスク型雇用や業務委託契約が一般的になってきました。
しかし「タスク型雇用と業務委託契約ってどこが違う?」「結局、どっちの契約形態がいいの?」と、従業員と業務委託者の働き方の違いに戸惑う担当者も少なくないはずです。
本記事では、働き方が多様化している現代において、雇用契約と業務委託契約の違い、法的ポイントについて詳しく解説します。
労働者を雇用し、雇用主である企業の労働に従事し、企業がその対価として報酬を労働者に支払う契約を「雇用契約」といいます。
雇用契約は民法623条に定義されており、契約を結ぶと労働者は労働基準法や労働契約法に守られます。
雇用契約を結ぶと、労働者には次のような権利が保障されます。
①不利益な雇用条件の変更禁止
②労災保険の適用
③有給休暇の取得
④雇用保険の加入
⑤社会保険の加入
雇用契約は、正社員だけでなくパート・アルバイトの非正規雇用の人も該当します。
①②は非正規を含む全ての従業員に適用され、③は勤続年数などの実績により付与・取得、④⑤については雇用条件により対象となるか決まります。
雇用契約を交わし、付与要件を満たしているにも関わらず有給休暇を与えなかったり、基本給や手当てを減らしたりするのは法律上禁止されています。
労働条件を変える場合は、労働者との合意が必要となるので、企業側が勝手に変更してはいけません。
DXやIT化による業務の複雑化や細分化、テレワークの普及、グローバル化やダイバーシティの必要性の高まりの他、以前より問題であった少子高齢化による労働人口の減少など様々な理由により、雇用形態は多様化しています。
以下は、企業が導入しているタスク型・メンバーシップ型・ジョブ型の概要をまとめました。
概要 | メリット | デメリット | |
|---|---|---|---|
タスク型 | ・タスクやプロジェクトごとの契約 | ・柔軟な人員補充が可能 | ・求めるスキルを明確にしないといけない |
ジョブ型 | ・職務主義・成果主義(欧米型) | ・専門性の高い人材、求める業務に合った人材の確保 | ・業務内容に柔軟性がない(職務記述書に記載のない業務への対応が困難) |
メンバーシップ型 | ・年功序列(日本型) | ・帰属意識が高い人材を育成できる | ・専門分野の人材不足 |
日本ではメンバーシップ型が主流でしたが、新型コロナウイルスの流行をきっかけに働き方が急速に変わり、ジョブ型雇用が増加傾向にあります。
理由の一つは、在宅勤務やリモートワークが増えて時間単位で評価が難しくなったことです。
2020年以降から富士通や資生堂、日立製作所などの大企業でもジョブ型雇用の導入や強化が行われるようになり、従業員を適切に評価し、活躍しやすい取り組み作りを進めています。
タスク型は雇用契約よりもフリーランスや個人事業主と業務委託契約をすることが多い傾向なのに対し、メンバーシップ型とジョブ型は、企業と労働者間で雇用契約を結びます。

こちらでは企業と従業員との間の雇用契約で必要な書類について解説します。
非正規雇用だから対応しなかった場合、30万円の罰金になる可能性も。
法的ポイントも解説するので、作成時の参考にしてください。
労働条件通知書は、労働に関する事項を記載した書類です。
労働基準法により定められており、必ず発行しなければいけません。
労働条件通知書の絶対明示事項
(1)労働契約の期間
(2)就業の場所・従事する業務の内容
(3)始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換(交替期日あるいは交替順序等)に関する事項
(4)賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切り・支払の時期に関する事項
(5)退職に関する事項(解雇の事由を含む)
(※企業ごとに必須としている項目、有期契約労働者は契約更新に関する事項など上記に追加が必要な項目があります)
正社員以外のパート・アルバイト・日雇い労働者に対しても交付の義務があり、交付しないと罰金30万円の可能性があるため注意しましょう。
【補足事項】 |
雇用契約書は、企業と労働者が労働条件に合意したことを示す書類で、双方の署名が必要です。
雇用契約書の発行は法律で決められていないため、作成していなくても違法にはなりません。雇用契約書がなくても、双方の合意があれば口約束でも成立します。
しかし、企業と労働者側でトラブルのリスク回避として書面でやりとりするのが一般的です。
雇用契約書を発行しなかった場合「提示された条件と異なる」「求人情報に載っていた待遇と異なる」といったトラブルが発生する可能性があるため、形に残しておくとよいでしょう。
業務委託契約とは、業務を外部へ委託する契約を指します。
こちらでは、業務委託契約の3つの種類について解説します。
請負契約
委任契約
準委託契約
違いや見分け方の基礎知識として覚えておきましょう。
企業が求める成果物や業務を完成させ、成果物を納めることを目的とした契約です。
受託者は、企業が定めた業務内容を遂行し、完成した成果物を提出する義務があるため、納品後に報酬が支払われます。
例えば、契約している企業に対し、フリーランスがウェブサイト制作や動画コンテンツを納品して報酬を請求するといった例が挙げられます。
しかし、企業が契約時に求めたクオリティが得られない場合、受託者は報酬を請求できません。
契約書に業務や成果物の詳細、納期、報酬がわかりやすく記載されているかチェックしましょう。
企業に依頼された業務の遂行や遂行による成果を目的とした契約を指し、主に法律行為に関する業務を、受託者へ委任するための契約です。
例えば、税理士へ税務申告の委託、不動産売買の交渉を業者へ委託といった例が挙げられます。
委任契約の場合、企業の意向にそぐわない結果だとしても報酬の請求は可能です。
専門的な手続きや法律行為といった重要事項を委任するため、信頼関係がある相手と契約することが求められます。
事務処理や任された作業を委託する契約を指し、委任契約とは異なり法律行為でない業務を委託します。
業務の遂行自体が契約目的なので原則、完成物がなく、企業は業務委託者に対して業務内容を具体的に指示できます。
準委任契約の具体例は、以下の通りです。
会計帳簿の作成、請求書の発行や支払い管理
ビジネスに関するアドバイス助言(コンサルティング)
システム開発業務
家事代行サービス
一般的な業務遂行を目的とする履行割合型の準委任契約の場合、完成物の納品が不要なため、企業と業務委託者の間では業務内容・報酬・期間などを明確にする必要があります。
2020年4月の民法改正により、準委任契約に成果物の納品を必要とする成果完成型が追加されましたが、請負契約のような成果の達成義務はありません。
委託する場合は、相手のスキルや経験をもとに信頼できる人を選任するとトラブルを回避できるでしょう。

タスク型の契約には、企業と労働者に主従関係がある「タスク型雇用」と、主従関係のない「業務委託契約」があります。
こちらでは、2つの契約の違いについて解説するので、採用時の参考にしてください。
タスク型は、特定の業務やタスク・プロジェクトごとに専門的な知識・スキルをもっている人材を取り入れる方法です。
スポットのため、業務内容によって短時間や1日のみの採用も可能で、契約期間が短いことが特徴の一つです。
業務委託契約の場合は、長期のプロジェクトへの参画や継続的な業務を委託することもあり、業務委託契約の更新なども行われます。
有期雇用契約と異なり、契約期間や更新回数に上限がなく、無期転換ルールも対象外となります。
短期的な就労の代表的な例を挙げると、出前・配達サービスなどです。いつ、どのくらい働くかは働く側が決められるので、柔軟な働き方ができます。
雇用と業務委託それぞれに取り入れられる方法ですが、業務委託契約は、企業と従業員との関係のような主従関係がなく双方の関係性は対等です。
「取引先」という扱いになるため、企業には業務委託者に対する指揮命令権はありません。
タスク型雇用は専門的な人材を自社の従業員として雇うのに対し、業務委託契約は求める業務を社外の専門家へ委託し、対等な立場で内容や報酬を決める点が異なります。
タスク型雇用はスポット採用の場合であっても従業員として扱われるのに対して、業務委託契約の場合は、企業の従業員ではなく「取引先」または「独立した事業者」と扱われます。
そのため、業務委託者は労働基準法の保護を受けず、社会保険や雇用保険に加入できない・労災保険の適用を受けないほか福利厚生も利用できません。
「タスク型雇用」は、スポットの短期契約が多いものの、雇用関係を前提に労働者保護を受けられる形態であり、労災保険や最低賃金、労働時間規制といった法的保護が充実しています。
「業務委託」は独立性の高い働き方である一方、労働者保護法規が適用されず、報酬や作業時間、保険・福利厚生などは自己管理・自己責任となる点が労働条件面での違いです。
企業がタスク型雇用・業務委託契約をするメリットは以下の通りです。
特定のスキルをもった人材を短期で雇用できる
コスト削減
柔軟な人員配置が可能
コア業務への集中
多様な働き方をしたい人のニーズに応えられる
一方で、デメリットは以下の通りです。
短期間で人の入れ替わりがある
雇用が不安定になりやすい
非正規雇用を拡大しているといった印象を与える可能性がある
タスク型の採用を取り入れる場合、企業の求めるスキルや条件と働く人の要望がマッチすれば企業の成長が見込まれるでしょう。
タスク型雇用契約は、雇用契約の一形態であるため、企業が指示・命令を行い、労働者がそれに従って業務を遂行する「使用従属性」が存在します。
これに対し、業務委託契約は本来、独立した事業者間の契約であるため、原則として使用従属性は認められません。
しかし、実際の働き方が企業の管理下にあり、事実上の指揮命令関係が存在するなど、契約書上の形式とは異なる「雇用関係」に近い実態が確認された場合、たとえ「業務委託契約」と称していても法的には「労働者」とみなされ、労働基準法などの労働法規が適用されます。
このようなケースは、形式上は業務委託だが実態は雇用関係であることから、「偽装請負」や「雇用逃れ」と呼ばれ、違法性が指摘されます。
結果として、契約自体が無効と判断され、企業側は未払い残業代の支払い、社会保険料の負担、その他労働法上の義務を遡って果たす必要が生じることがあります。
使用従属性が認定されやすくなる主なケースは、以下の通りです。
勤務場所や時間の拘束がある
業務を遂行するうえで細かい指示がある(指揮命令を受けている)
会社負担で機材・器具が用意されている
就業規則の適用がある
福利厚生・退職金制度の対象となっている
雇用契約と業務委託契約の違いをしっかり理解し、契約内容と実態を一致させることが、違法行為の回避と適正な労働環境づくりの鍵となります。
タスク型は、メンバーシップ型やジョブ型雇用と違い、業務委託契約を結ぶケースが多い傾向にあります。専門的な知識やスキルをもっている人材をスポットで確保し、企業の即戦力となることを目的としているからです。
契約形態によって適用になる法律が異なるため、担当者はそれぞれに必要かつ適切な対応をし、業務を円滑に進めなければいけません。
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この記事を書いたライター

mfloowブログ編集部
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