
2025.12.26
BPR(ビーピーアール)はビジネスプロセス・リエンジニアリングの略で、既存の業務プロセスや組織構造を抜本的に見直す業務改革手法です。
現状のやり方にとらわれずゼロベースで見直し、大幅な効率化やコスト削減を目指す点が特徴で、業務改善やDXとも関連しています。
1990年代に一度脚光を浴びましたが、近年の労働力人口の減少やDX推進の流れを受け、業務効率化の切り札として改めて注目されています。
現在では企業だけでなく自治体でもBPRの導入が進み、幅広い分野で活用されてる状況です。
本記事ではBPRの意味や目的、進め方、手法、事例についてわかりやすく解説します。

BPRは、既存の業務や組織の在り方をゼロベースで見直し、業務フローを全社的に最適化する取り組みです。
部分的な効率化を図る「業務改善」とは異なり、全社規模での抜本的な改革を意味します。
ここではBPRの基本的な意味や目的を整理し、従来の業務改善やDXとの違いを解説します。
既存の業務・組織構造・制度を抜本的に見直す取り組み
BPRと業務改善の違い
BPRとDXの違い
企業では部署ごとに業務が細分化され、それぞれ効率化が図られてきましたが、全体を見るとプロセスの分断や非効率が生じやすいです。
BPRはビジネスプロセスや組織構造、情報システムなどを根本から再設計し、企業本来の目的に沿って業務フロー全体を最適化し直す取り組みです。
部門の壁を越えて業務を捉え直し、部分最適から全体最適への転換を図ることが目的となります。
たとえば複数部署で重複して行っていたチェック作業を統合・省略するなど、ゼロベースで見直す点に特徴があります。
抜本的改革により、無駄な時間やコストを削減し、品質やサービス水準を保ちながら生産性を飛躍的に高めることを狙えるのです。
BPRが全社規模で業務プロセスそのものを抜本的に変革するのに対し、業務改善は現行プロセス自体は維持したまま、一部の無駄を省いたり効率化を図る部分的な取り組みです。
現場で日々積み重ねられる小さな改善活動であり、リスクも低いですが、得られる効果も限定的です。
一方、BPRではゼロから理想のフローを再設計するため、実現すれば飛躍的な効率化が見込めますが、その分だけ難易度も高くなります。
たとえば、会議での進捗共有をエクセルに置き換えるのは業務改善ですが、進捗共有の在り方自体を見直して新たに構築するのがBPRです。
つまり、業務改善はBPRの一部と位置付けることもできます。
BPRが業務フローの効率化に焦点を当てているのに対し、DX(デジタルトランスフォーメーション)はデジタル技術を活用してビジネスモデルそのものを変革する取り組みです。
DXではAIやクラウドなどを駆使して新たなサービスや価値を創出することを目指し、その一環で組織やプロセスの改革も行います。
一方、BPRは必ずしも新技術の導入を前提とせず、既存業務の最適化を目的とします。
言い換えれば、DXは新しいビジネスの創造、BPRは現在の業務の最適化という違いがあります。
ただし実際には、BPRを進める上でDXの手段を活用するケースも多く、両者は密接に関連しています。
1990年代に一度ブームとなったBPRが、近年再び注目を集めています。その背景には、日本社会やビジネス環境の大きな変化があります。
労働力人口の減少・働き方改革
IT化・クラウド化の加速
顧客ニーズの高度化と市場変化
既存システムの老朽化・ブラックボックス化
BPRが再注目される主な4つの理由についてそれぞれ詳しく解説します。
日本では少子高齢化により生産年齢人口が年々減少し、人手不足がますます深刻化しています。
実際に多くの企業で必要な人材を確保できず、生産やサービス提供に支障をきたす懸念が高まっています。
また、「働き方改革」の推進によって長時間労働の是正や生産性向上が求められ、従来のやり方では持続的な成長が難しくなっているのが現状です。
人手不足への対応策として、単なる小手先の業務効率化では限界があり、業務フロー自体を抜本的に再構築して人員に頼らない仕組みを作ることが急務となっています。
そのため、抜本的な業務効率化策であるBPRに再び期待が高まっているのです。
近年は業務のIT化やクラウドサービスの活用が急速に進んでいます。
各部門が個別にDXやシステム導入を進めた結果、類似の業務プロセスが部署ごとに異なっていたり、同じ業務を複数部署で重複して行っているケースも見られます。
そのため、全社横断でプロセスを見直し、ITを適切に活用して統一・効率化する必要性が高まっており、BPRへの関心が強まっているのです。
また、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAIなどのITツールの普及も、BPR推進を後押ししています。
たとえば、BPRによってバラバラだったシステムやデータを一元管理し、業務効率化と意思決定のスピードアップにつなげる動きも出ています。
消費者のニーズは年々高度化・多様化しており、迅速で高品質なサービスや個別対応が求められるようになっています。
たとえばEC(ネット通販)の普及で、注文から配送までのスピードやきめ細かなカスタマーサポートなど、企業には効率と高品質の両立が当たり前に期待されるようになりました。
また、技術革新やグローバルな競争環境の変化により市場の先行きも読みにくく、企業は柔軟かつスピーディに対応する必要があります。
旧来の非効率な業務フローのままではこうした要求に応えきれず、競争力の低下につながりかねません。
そこで、BPRによる抜本的な業務改革で変化に強い組織づくりを目指す企業が増加しているのです。
多くの企業で、長年使い続けている基幹システムが老朽化し、ブラックボックス化しています。
複雑にカスタマイズされた古いシステムは担当者しか仕組みを理解できず、新しい業務に対応した改修も容易ではありません。
レガシーシステムが足かせとなり、DX推進や業務改善の妨げになるケースも少なくないのです。
BPRでは、老朽化した仕組みを前提から見直し、最新のITを取り入れた効率的な業務プロセスへと再構築することが目指されます。
システムと業務の両面で改革を進めることで、ブラックボックス化によるリスクを解消し、柔軟な運用体制を確立可能です。
BPRを実施すると、企業には様々なメリットがもたらされます。
業務フローを可視化し企業全体の最適化へ
作業効率化と意思決定の高速化
コスト削減
顧客満足度・従業員満足度の向上
組織の意識改革
ここでは、BPRによって得られる主な5つのメリットを紹介します。
BPRに取り組む過程で、社内の業務フローを洗い出して図式化するため、複数部署にまたがるプロセス全体を可視化できます。
業務フローの可視化によって、部署ごとに重複している作業や無駄な手順など、非効率の原因を明確に把握することが可能です。
可視化した情報をもとに全社横断で業務を再設計することで、部分最適ではなく企業全体で効率化・最適化を図れます。
たとえば、支社ごとにばらついていた手順や書式を標準化し、共通システムでデータを一元管理するといった全体最適が実現できます。
全体最適の結果、業務の無駄が大幅に削減され、組織全体で統一されたスムーズな仕事の流れを実現可能です。
BPRの実施により、無駄な作業や待ち時間が削減されるため、日々の業務効率は大幅に向上します。
従来では手作業や紙で行っていた処理をデジタル化・自動化することで、人が対応する時間を短縮可能です。
たとえば、複数段階の承認フローを見直して簡素化すれば、意思決定にかかる時間も短縮されます。
また、重複業務の廃止や情報共有の円滑化によって、意思決定に必要なデータがすぐに揃う環境が整います。
さらに、現場から経営層までリアルタイムに情報が行き渡るため、判断が迅速になり、機会損失を防げられるのです。
業務が全体最適されることで、意思決定がスピードアップし、ビジネスチャンスへの対応も迅速になり、競争力強化につながります。
BPRの実行により、業務の無駄が省かれることでコスト削減が期待できます。
重複業務の統合や非効率なプロセスの廃止により、人件費や運用コストが軽減されるからです。
また、業務プロセスの見直しによって在庫や設備のムダも減り、間接費の圧縮にも寄与します。
たとえば、グループ企業の間接業務を集約して効率化し、大幅なコスト削減を実現した企業もあります(シェアードサービス)。
BPRによって生み出した時間を新たな事業に振り向けたり、効率化により残業代や外注費を削減できた事例も多いです。
最新システムへの刷新には初期投資が必要ですが、長期的に見れば不要な手間や作業工数が減るため、大きなコストメリットを享受できるのです。
BPRにより業務がスピーディかつ正確になることで、顧客へのサービス品質が向上します。
手続きの待ち時間短縮やミスの減少など、顧客にとってストレスの少ないスムーズな対応が可能になり、顧客満足度の一層の向上につながるからです。
また、社員にとっても無駄な業務負荷が軽減されるため、残業の削減や業務効率化によって働きやすい環境が整います。
単調な手作業から解放され、より創造的な業務に時間を充てられるようになることで、従業員満足度も向上します。
顧客と従業員の双方が満たされることで、企業全体の活力が大きく高まり、持続的な成長につながるのです。
BPRを推進する過程で、経営層から現場まで組織全体で改革の目標や方向性を共有する必要があります。
経営層から現場まで組織全体で改革の目標や方向性を共有することで、社員一人ひとりが自社の業務を見つめ直し、改善意識を高めるきっかけになります。
「なぜこの業務を行うのか」「より良いやり方はないか」を考える文化が生まれ、従業員の意識改革につながるのです。
また、トップダウンだけでなく現場の声を取り入れて改革を進めることで、社員のエンゲージメントや主体性も向上します。
BPRの成功体験を通じて、変化を恐れず前向きにチャレンジする組織風土が醸成されます。
このように、BPRは単なる業務効率化に留まらず、組織のマインドセットにも良い変化をもたらすのです。

BPRには大きな効果が期待できますが、一方で注意すべきデメリットやリスクも存在します。
導入に時間・費用・工数がかかる
従業員の反発・抵抗リスク
大幅な業務変更による混乱が生じやすい
ここでは、BPRに取り組む際に知っておくべき主な3つのデメリットを説明します。
BPRは全社規模の業務改革となるため、多大な時間・費用・工数が必要です。
現状調査から新プロセス設計、システム導入、社員教育まで、プロジェクトが長期化する傾向があるからです。
当然、その間のコスト負担も大きく、一時的に業務効率が低下することも避けられません。
改革を途中で断念すれば、投じたリソースが無駄になり、組織に混乱だけが残るリスクもあります。
長期的に見ればコスト削減効果が見込めますが、短期的にはコスト増となるため、事前に十分な投資対効果の検討が必要です。
BPRでは従来の業務のやり方や役割が大きく変わるため、従業員から反発や抵抗が起こるリスクがあります。
自分の業務がなくなるのではという不安や、新しいやり方への戸惑いから、現場が改革に消極的になるケースも多いです。
経営層がトップダウンで進めるだけでは、現場との間に摩擦が生じ、プロジェクトが進まなくなる恐れがあります。
BPRを成功させるには、事前に従業員に改革の理由や意義を浸透させ、現場の意見を取り入れて両者の間に摩擦が生じないようにするべきです。
BPRによって業務プロセスを大幅に変更すると、移行期に現場で混乱が生じやすくなります。
従業員が新しい手順やシステムに慣れるまでミスや手戻りが増え、サービス提供に一時的な支障が出る可能性もあるからです。
新システムの不具合や想定外のトラブルが発生するリスクもあり、現場の負荷は一時的に高まります。
BPR導入直後は生産性が一時的に落ち込む現象(学習曲線)も避けられません。
こうした混乱を最小限に抑えるため、段階的な導入や入念な事前テスト・教育が重要です。
BPRを実現するためには、様々な手法やアプローチがあります。
業務の整理・分析からITシステムの活用まで、アプローチの種類は多岐にわたります。
それぞれ得意分野が異なるため、企業の状況に応じて複数の手法を組み合わせることも一般的です。
これらの手法を理解しておくことで、自社の課題に合った改革プランを立てやすくなります。
ここでは、BPRでよく用いられる代表的な8つの手法をご紹介します。
業務仕分け
ERP導入
シックスシグマ
BPO
シェアードサービス
SCM
ABC分析
BSC
業務仕分けとは、社内で繰り返し行われている業務を洗い出し、その流れや部門間の連携を図式化して可視化する手法です。
元々は行政改革の「事業仕分け」で知られる手法ですが、企業のBPRでも最初のステップとして行われます。
まず全ての業務プロセスを整理し、重要度に応じて優先順位を付けていきます。
その過程で、複数部門で重複している作業や付加価値の低い業務が明らかになるため、優先度の低い業務は廃止や外部委託(アウトソーシング)を検討する流れです。
必要な業務と不要な業務を峻別することで、BPRで優先的に取り組むべき領域が明確になります。
ERP(Enterprise Resources Planning)は、企業の人・モノ・カネ・情報などの経営資源を一元管理し有効活用するための統合基幹システムです。
ERPを導入することで、部署ごとにバラバラだったシステムやデータを統合でき、情報の一元管理が可能になります。
情報の一元管理により重複入力が解消され、経営資源を有効活用できるほか、部門横断のデータをリアルタイムで参照できるため意思決定のスピードアップにつながります。
BPRでは、新しい業務フローに合わせてERPを導入するケースが多く、全社の業務標準化と効率化を実現する強力な手段です。
シックスシグマは、統計手法を使って業務プロセスのばらつきを分析し、不良やミスをほぼゼロに近づけることを目指す品質管理フレームワークです。
1980年代に米モトローラで開発され、GEなどで成果を上げたことで有名になりました。
製造現場の品質改善に効果を発揮しますが、営業・サービスなど間接業務にも応用できます。
現場データを活用して品質を定量的に評価・改善するこのアプローチは、属人的な勘に頼らない科学的なBPR推進を可能にします。
徹底した原因分析と改善策の実行を通じて、プロセス品質を飛躍的に向上させ、顧客満足度アップにつなげるのです。
BPO(Business Process Outsourcing)とは、業務プロセスの一部を外部の専門業者に委託(アウトソーシング)する手法です。
従来は経理・人事・総務など間接部門で利用されることが多かったですが、近年では研修やマーケティング、カスタマーサポートなど様々な業務でも活用されています。
自社で対応すると非効率な業務を外部に任せることで、人件費や運用コストを削減し、自社のリソースをコア業務に集中させることが可能です。
BPRでは、自社で抱える必要のない業務を大胆にBPO化し、組織のスリム化と効率化を図る戦略として活用されます。
シェアードサービスとは、グループ企業内や社内の複数部門に点在する経理・財務、人事・総務、情報システム、物流などの間接部門業務を一か所に集約し、効率化・標準化を図る手法です。
各部署で個別に行っていた事務作業を共有化することで、重複業務の削減と業務品質の均一化が実現できます。
専門スタッフを集約して配置できるため生産性が向上し、システムやデータも統合されることで管理コストを大幅に削減できます。
また、経営管理が一本化されることでコーポレートガバナンス(企業統治)の強化にもつながるのです。
SCM(Supply Chain Management)とは、調達・生産・物流・販売に至るサプライチェーン(供給連鎖)全体を一貫して管理し、最適化する手法です。
複数部門や取引先企業との情報共有により、需要予測に基づいた無駄のない生産・供給体制を構築し、在庫削減やリードタイム短縮を図ります。
最適化の結果、欠品や過剰在庫を防ぎ、顧客サービスレベルの向上と収益最大化につながります。
BPRでは、組織や企業の壁を越えてプロセスを再構築する手法としてSCMを導入し、サプライチェーン全体の効率化を目指すケースもあるのです。
ABC分析(Activity-Based Costing)は、各業務プロセスや活動ごとに発生するコストを細かく分析する手法です。
伝統的な部門別の原価計算では見えなかった「どの業務にどれだけコストがかかっているか」を正確に把握できます。
たとえば、受発注処理やクレーム対応といった活動ごとに人件費や経費を割り出すことで、費用対効果の低い業務を浮き彫りにします。
BPRでは、このABC分析によって無駄の多い業務や優先度の低い活動を特定し、改革すべきポイントを定量的に見極めることができるのです。
BSC(Balanced Scorecard)は、企業の業績を財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の4つの視点でバランスよく評価・管理するための経営手法です。
財務指標だけでなく、顧客満足度や内部プロセスの効率、社員のスキル向上などを含めて目標を設定し、達成度を測定します。
BPRでは、改革の目的をこれらの視点で明確にし、KPI(重要業績指標)を設定する際にBSCの考え方が役立ちます。
バランススコアカードを活用することで、業務改革が企業戦略全体と整合し、改革後の成果を多面的に評価できるようになるのです。

BPRを効果的に進めるには、計画から定着まで段階的なプロセスを踏むことが重要です。
一般的には以下の5つのステップに沿って進めると良いでしょう。
現状分析
目的・戦略の明確化
改革案の設計
施策の実施と現場連携
施策の実施と現場連携
自社の状況に合わせて、小規模な範囲から段階的に実施し、成功事例を全体に横展開する方法がおすすめです。
まず現状の業務プロセスを詳細に分析します。
具体的には、各部署や各業務でどのような手順が踏まれ、どれだけの時間・コストがかかっているかを洗い出します。
ヒアリングやフローチャート作成、ABC分析(活動基準原価計算)などを活用して、現状フローの問題点や非効率の原因を明確にしましょう。
属人的に行われている業務や、部署間で重複している作業、ボトルネックとなっている工程などを見極めることが重要です。
現状分析によって、BPRで解決すべき課題や優先順位を把握できます。
現状を可視化して数値で把握しておくことで、改革後の効果測定もしやすくなります。
次に、BPRの目的と全社的な改革方針を明確にします。
何のために業務改革を行うのか、具体的な目標値(KPI)を設定しましょう。
たとえば「処理時間を50%短縮」「ミス発生率をゼロにする」「年間○億円のコスト削減」など、測定可能な目標を定めます。
また、その改革目標が企業の経営戦略に沿ったものであることを確認し、改革のスコープ(対象範囲)も明確にします。
目的が曖昧なままでは現場の理解も得られず、効果測定もできなくなるため、経営層と現場の双方で共有できる明確なビジョンを打ち立てることが重要です。
続いて、理想とする新しい業務プロセスの姿を設計します。
現状分析で見つかった問題点を解決できるよう、思い切った発想で業務フローを再構築しましょう。
具体的には、不要な手順の削減や並行処理への変更、権限委譲による承認ステップの簡略化、ITツールの導入による自動化など、様々な改善策を検討します。
現場の意見も取り入れながら、実現可能性の高い改革案を描いていきます。
新しいプロセスをフローチャートや業務マニュアルの形で明文化し、誰がどのように動くかを明確に定義することが重要です。
改革案の設計段階でしっかりとフローチャートや業務マニュアルの形で明文化することで、後の実行段階での手戻りを防げます。
次に、策定した改革案を現場で実行に移します。
新しい業務フローやシステムを導入する際には、現場の従業員への丁寧な説明と研修を行い、スムーズな切り替えを図ります。
必要に応じてパイロットプロジェクト(試行導入)を実施し、小規模で効果と課題を検証してから全体展開することで、失敗リスクの低減が可能です。
また、改革推進チームと現場担当者が綿密に連携し、現場からのフィードバックを随時収集して改善に反映しましょう。
現場で混乱が起きた場合には、即座にサポートし問題解決に当たることが重要です。
経営層も進捗を適切にフォローし、必要な意思決定や支援をタイムリーに行うことも欠かせません。
最後に、改革後の業務について評価と定着化を行うフェーズです。
具体的には、設定したKPIに基づいて、BPRの効果を測定・検証します。
目標達成度を数値で確認し、想定した成果が出ていない場合は原因を分析して対策を講じましょう。
併せて、改革後の新しいプロセスが現場で定着するよう、業務マニュアルやルールを正式に更新し、社員に浸透させることが重要です。
必要に応じて追加の研修やフォローアップを行い、新しいやり方が習慣化されるよう支援することも欠かせません。
また、改善効果を社内で共有し、成功事例として展開することで、さらなる業務改革へのモチベーションを高めます。
評価と定着化まで実施することで、BPRの成果が一過性でなく持続的なものになるのです。
BPRを成功させるには、単にプロセスを変えるだけでなく、組織の協力体制や進め方にも工夫が必要です。
以下の5つのポイントを押さえておくことで、改革が円滑に進み、効果を最大化できます。
組織全体で目的と方向性を共有する
従業員を巻き込み、主体的に参加させる
小規模な改善から段階的に広げる
現場の声を反映し、実行可能性を高める
DX・ITツールを組み合わせて推進しやすくする
BPRに着手する前に、経営陣から現場まで組織全体で改革の目的と目指す方向性を共有しましょう。
経営トップが「なぜBPRが必要なのか」「何を達成したいのか」を明確にメッセージとして示し、各部署に浸透させます。
組織全体で共通のビジョンや目標を持つことで、改革に対する一体感が生まれ、協力体制を築きやすくなります。
経営戦略とBPRの目的がリンクしていることを説明し、社員が納得感を持てるようにすることが大切です。
全社横断のプロジェクトチームを結成し、定期的に情報共有するなど、横の連携を強化する施策も有効です。
BPRは経営主導で進めるだけでなく、現場の従業員を積極的に巻き込むことが成功のポイントです。
具体的には、現場のメンバーをプロジェクトチームに参加させ、実務に詳しい人材から意見やアイデアを引き出しましょう。
自分たちが改革の当事者だという意識を持ってもらうことで、「やらされている」感覚が薄れ、主体的な協力が得られます。
従業員の声を反映した改善策は現場に受け入れられやすく、実行可能性も高まります。
ワークショップやブレーンストーミングを実施して社員から提案を募る、定期的に意見交換の場を設けるなど、現場参加型のアプローチを取りましょう。
BPRは一度に全社規模で実施するのではなく、小さな範囲から段階的に広げる方が賢明です。
まず一部署や特定のプロセスで改革を試み、そこで成功事例を作ります。パイロットプロジェクトとして小規模に実施すれば、リスクを抑えつつ効果と課題を検証可能です。
成功事例を社内に展開し、他部署へ横展開することで、徐々に改革の範囲を拡大していきます。
小さな改善の積み重ねで現場の理解と自信も深まり、BPRを受け入れる土壌が整います。
一気に大きな変革を目指すよりも、段階的に進めた方が失敗も少なく、持続的な改革が可能になるのです。
BPRのアイデアを検討する際は、現場の声をしっかり反映して実行可能性を高めましょう。
現場の従業員は日々の業務で何が問題か、どこに改善余地があるかを最もよく知っています。
彼らの意見や知恵を取り入れることで、机上の空論ではない実践的な改革案を作成可能です。
また、現場の声を反映した施策であれば、導入時の抵抗感も少なくなります。
たとえば、新システムの仕様を決める際に現場ユーザーからヒアリングを行い、使いやすい設計にするなど、当事者の視点を組み込むことが重要です。
現場との対話を重ね、フィードバックサイクルを回すことで、実効性の高いBPRを進められます。
BPRの推進には、DX(デジタルトランスフォーメーション)やITツールの活用も欠かせません。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による定型業務の自動化や、AIを使ったデータ分析、クラウドシステムによる情報共有など、最新技術を組み合わせることで改革の効果を高めることができます。
手作業で時間がかかっていた処理をツールで自動化すれば、一気に生産性が向上します。ただし、ツール導入が目的化しないよう注意が必要です。
ITツールはあくまで手段であり、業務プロセスを最適化する目的に沿って選定・活用することが大切です。

BPRはあらゆる業務に必要なわけではなく、特に非効率が顕著な領域や複数部署にまたがるプロセスで大きな効果を発揮します。
IT化が遅れて属人的に行われているバックオフィス業務や、部門間の調整に時間を要する業務などは、BPRにより劇的な改善が見込めます。
以下に、BPRに適した主な業務領域や業務のタイプを挙げます。
バックオフィス業務
顧客対応業務
企画・開発・調達・生産管理
複数部署が関わる業務プロセス全般
企業活動を下支えするバックオフィス業務は、BPRの対象として適しています。
経理・財務、人事・給与、総務・法務、調達・設備管理、情報システム管理など、全社共通で必要となる業務は多くの手続きや定型処理を含みます。
バックオフィス業務は、長年の慣習で非効率なフローが温存されていることも多く、BPRによって大幅な効率化やコスト削減が可能です。
たとえば、紙で行っていた入社書類を電子化する、複数部署に分散していた事務処理を集約するといった改革で効果が出やすい領域です。
顧客と直接接するフロント業務も、BPRに適した領域です。
店舗販売・営業、コールセンター、カスタマーサポート、窓口業務など、顧客対応業務ではスピードと正確さが求められます。
従来、部署ごとにバラバラに対応していた顧客窓口を統合し、ワンストップサービス化することで、顧客の利便性を大きく向上させる余地があります。
また、問い合わせ対応の標準化やFAQデータベースの整備、CRMシステムの導入など、BPRによる抜本的な見直しで応対品質を向上させることが可能です。
顧客対応業務は企業の印象を左右するため、BPRにより他社との差別化につながるサービス改善が期待できます。
商品やサービスの企画・開発から調達・生産管理に至る一連のプロセスも、BPRが有効な領域です。
従来、部門間の情報共有が不十分なため、開発リードタイムが長期化したり、設計者が付帯作業に追われて本来の開発に集中できない、といった問題が起こりやすいです。
また、調達と生産管理の連携不足で在庫過多や納期遅延が発生するケースもあります。
BPRによって、開発・調達・生産の各工程を一体的に見直し、部門横断のチーム編成や業務フロー再構築を行うことで、開発期間の短縮やコスト最適化を実現できます。
コスト最適化を実現することで、商品開発のスピードアップと生産効率の向上が期待できます。
解説した上記3つにも関連しますが、複数の部署が関わって進める横断的な業務プロセス全般は、BPRの効果が大きい分野です。
部署間の引き継ぎやコミュニケーションでタイムラグや齟齬が生じているようなプロセスは、全体を見据えて再構築することで大幅に改善できます。
たとえば、受注から出荷・請求に至る一連の販売プロセスや、社員のオンボーディング(入社~配属)のプロセスなど、複数部署にまたがる業務には非効率が蓄積しやすいです。
こうしたエンドツーエンドのプロセスをBPRで抜本的に見直せば、組織間の壁を越えてスムーズな連携が図れ、業務全体の時間短縮・品質向上につながります。
BPRは民間企業や自治体で多数の成功事例が報告されています。
民間企業では業務効率化やグローバル対応、自治体では住民サービス向上など、それぞれの目的に沿って大きな成果を上げた例も珍しくありません。
少子高齢化への対応やDX推進の一環として実施された事例もあります。
ここでは、具体的にどのような改革を行い、どんな成果を得たのか、いくつかのケースを見てみましょう。
経理業務をシェアードサービス化|LIXILグループ
設計業務の負荷軽減のためBPO導入|ブリヂストン
業務フローの見える化で改革推進|船橋市
自治体BPR事例(千葉市・神戸市・青森県・岡山市など)
LIXILグループでは、海外子会社が増えたことで各社の経理管理が行き届かない課題がありました。
そこで2017年、本社直轄の経理組織を立ち上げ、海外9ヶ国27拠点の経理業務を中国・アジア・北中米の3つのシェアードサービスセンターに集約しました。
センターではAIやロボティクスを活用した自動化も推進し、大幅な業務効率化に成功。
全拠点で統一された経理プロセスが実現し、公正な運営とコーポレートガバナンスの強化につながりました。
今後は欧州地域への展開も予定されています。
ブリヂストンでは、BPRの一環として「開発業務プロセス改革」部を新設し、設計現場の抜本改革に着手しました。
従来、設計者は書類作成やデータ入力などの付帯作業に追われ、本来の設計に集中できない上に、各設計者のノウハウが属人化されて情報共有が進んでいない課題がありました。
そこで、一部の業務をBPO(外部委託)することで設計者の負荷を軽減し、設計開発業務を約15%効率化しました。
現場からは「本来の業務に費やす時間が増え、精度が上がった」「品質のばらつきが低減した」といった声が上がっています。
船橋市(人口約65万人)では、市役所本庁の窓口業務をワンストップ化することを目標にBPRを行いました。
以前は職員ごとに案内スキルにばらつきがあり、案内所が分かりにくいため市民が手続きをやり直すケースが多く非効率でした。
そこで、業務フロー図を作成して業務全体を俯瞰し、課題を可視化しました。
また、各業務の詳細や所要時間、担当者をリストアップし、発生しうるリスクも徹底的に洗い出しました。
その結果、顕在化した無駄を省くためのツール活用などによって、窓口業務の改革に成功しました。
千葉市ではBPRにより各手続きの時間を1件あたり約14分短縮し、市民の利便性が向上しました。
神戸市では、窓口を再編して市役所での滞在時間を約半分に削減しています。
青森県では庶務業務の集約により職員数を92名削減し、年間約4億円の人件費削減につなげました。
岡山市では業務改善によって年間8.8万時間の業務量を削減し、同時に職員満足度が93%に向上しています。
このように、自治体においてもBPRにより業務効率化とコスト削減、サービス向上などの成果が各地で報告されています。
最後に、BPRを進める際に陥りがちな失敗パターンにも注意しましょう。
以下の4つのポイントに気をつけ、事前に対策を講じておくことが重要です。
現場の負担や抵抗が大きい
改善より改革を優先しすぎる
ツール導入が目的化する
目的が曖昧で成果が測れない
BPRで現場の業務や担当範囲が大きく変わると、従業員に過度な負担がかかったり抵抗感が生じ、改革が頓挫する恐れがあります。
現場の理解と協力を得るためには、事前の十分な説明と合意形成が不可欠です。
従業員に改革の意義を伝え、計画段階から現場の意見を取り入れることで、反発を和らげることができます。
改革を急ぐあまり、地道な業務改善を軽視してしまうのも失敗につながります。
全てをゼロから作り直す必要がない部分まで無理に改革しようとすると、リソースを浪費したり混乱を招きかねません。
まずは既存業務の無駄を改善する取り組みも並行して行い、本当に抜本改革が必要な領域にリソースを集中しましょう。
「改革のための改革」にならないよう、目的に照らして必要性の高い施策から段階的に実施することが大切です。
ITツールを導入すること自体が目的になってしまうと、本末転倒です。
新しいシステムやRPAなどを入れても、肝心の業務プロセスが改善されていなければ効果は出ません。
ツール導入はあくまで手段であり、解決すべき課題や目的に合致した場合に選択すべきです。
「最新ツールを導入すればBPRが成功する」といった安易な発想に陥らず、まずプロセスのあるべき姿を検討した上で必要な技術を活用するようにしましょう。
改革の目的が曖昧なままでは、BPRの成果を評価できず、プロジェクトが迷走しやすいです。
具体的な数値目標や改善指標(KPI)を設定せずに進めると、何をもって成功とするか判断できなるからです。
数値目標や改善指標(KPI)が設定されていないと、社員もモチベーションを保てません。
BPR着手前に「何をどれだけ改善するのか」を明確に定め、全員で共有しておくことが不可欠です。
また、進行中も定期的に進捗や効果を測定し、目的との乖離がないか確認しましょう。

mfloowは、AIを活用して業務フローの可視化や標準化、自動化などを一気通貫でできる業務改善プラットフォームです。
可視化した業務フローを運用に落とし込むための進捗管理や工数管理機能があり、貯まったデータをもとに改善案まで提示してくれます。
部署横断のタスクをリアルタイムに共有できるため、紙やExcelでの管理より作業時間を削減できます。
また、業務フローやプロセスを誰でも可視化できるので、初めてBPRに取り組む企業でもスモールスタートで改革を進めやすい点が魅力です。
さらに、フローチャートから稟議書や業務マニュアルを自動生成できるため、文書作成の手間も軽減し、部門間の認識差を防止します。

DXが加速する今、人手不足が深刻化する中でBPRは業務改革の切り札として再注目されています。
業務フローを全社視点で可視化し、不要な工程を削減して最適化すれば、コスト削減やサービス品質向上など即効性の高いメリットが期待できます。
加えて、浮いたリソースを新規事業や戦略立案へ振り向けることで、中長期の競争力も強化できるでしょう。
RPAやクラウドなどITツールの活用と標準化が成功の秘訣です。
ただし成功には、明確な目的の設定と従業員を巻き込んだ段階的な推進、そして継続評価が欠かせません。
初期投資は大きくても、得られる生産性向上はその労力を上回ります。
この機会にスモールスタートでのBPRをご検討ください。
この記事を書いたライター

mfloowブログ編集部
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