
2026.08.28
BPMとは、企業内の業務プロセスを可視化・分析し、継続的に改善していくビジネスプロセス管理の手法です。
正式には「ビジネスプロセスマネジメント(Business Process Management)」といい、日本語ではビジネスプロセス管理とも訳されます。
属人化や非効率なフローを解消して組織全体の生産性を高める経営基盤として、DXの推進と人手不足が同時に進む今、改めて注目が集まっている手法です。
本記事では、BPMの3つの目的と4つのメリット、BPRやRPAとの違い、改善できる業務の例、進め方5ステップ、そして公的資料にもとづく導入事例まで、業務改善の観点から分かりやすく解説します。

BPMは、特定の業務を単発で効率化する取り組みではなく、業務全体を「プロセスの連なり」として捉え直す考え方です。
まずは言葉の定義と、近年あらためて注目されている背景、そしてBPMの中核にあるPDCAサイクルの3点から整理します。
BPMの定義
BPMが注目される背景
BPMで「回す」PDCAサイクル
BPMとは「Business Process Management」の略で、日本語ではビジネスプロセス管理とも訳されます。
企業活動を構成するひとつひとつの業務プロセスを可視化し、分析・改善・標準化を継続的に回していく経営手法を指します。
特定の業務をスポットで効率化するのではなく、業務全体を「プロセスの連なり」として捉え、組織横断で管理する点が大きな特徴です。
BPMという概念自体は2000年代初頭から存在していましたが、近年あらためて注目されているのには明確な理由があります。
中小企業庁の調査では、デジタル化の取組段階を4段階に分け、「業務フローの見直しを行っている」状態を段階3と位置づけています。
つまり、ツールの導入自体ではなく、業務プロセスを見直せているかどうかが、DXの進み具合を測る分岐点です。
参考:中小企業庁「2025年版 中小企業白書 第5節 デジタル化・DX」
BPMの本質は、業務プロセスに対してPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを継続的に回すところにあります。
業務を可視化して現状を把握し、課題を分析して改善策を計画し、実行して結果を測定し、さらに次の改善へとつなげていく一連の流れを、組織の文化として定着させることが重要です。
一度の見直しで終わらせず、継続的に改善を回していけるかどうかが、BPMの成否を分けるポイントになります。
BPMは業務効率化の手段として語られがちですが、本来の目的はもう少し広いところにあります。
何のためにプロセスを管理するのかを押さえておくと、導入後に「フロー図を描いて終わり」になる失敗を避けやすいはずです。
ここでは、BPMが果たすべき3つの目的を整理します。
業務の全体最適を実現する
改善を「仕組み」として継続させる
環境変化に迅速に対応できる組織をつくる
BPMの第一の目的は、部門ごとの部分最適を、組織全体の全体最適へと引き上げることにあります。
営業・経理・人事がそれぞれ効率化を進めても、部門間の受け渡しで待ち時間や差し戻しが起きていれば、会社全体のリードタイムは縮みません。
IPAの調査でも、日本企業のDXは「内向き・部分最適」から「外向き・全体最適」への転換が課題であると示されています。
第二の目的は、業務改善を一過性のプロジェクトで終わらせず、日常業務の一部として回し続けることです。
多くの企業では、改善活動が担当者の異動や繁忙期の到来とともに立ち消えになります。
BPMは可視化・分析・改善・モニタリングを定型のサイクルとして設計するため、担当者が替わっても途切れません。
改善を個人の熱量ではなく組織の型として残せる点が、他の手法との違いです。
第三の目的は、市場や制度の変化に合わせて業務を素早く組み替えられる状態をつくることです。
法改正や新サービスの立ち上げなど、業務プロセスの変更を迫られる場面は絶えず発生します。
プロセスが標準化されていれば、どこを変えればよいかが特定でき、変更の影響範囲もすぐに見通せる点が強みです。
属人化したままでは、変更のたびに担当者へのヒアリングから始めることになります。
BPMは、BPR・RPA・ワークフローシステム・ERPといった近接概念としばしば混同されます。
いずれも業務改善に関わる仕組みであり、扱う対象が「プロセス全体」なのか「作業単位」なのか「データ」なのかが分かれ目です。
ここでは4つの概念との違いを、それぞれ比較表とあわせて整理します。
BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)との違い
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)との違い
ワークフローシステムとの違い
ERPとの違い
概念 | 扱う対象・概要 | 主な目的 | アプローチ・規模 | BPMとの関係性 |
|---|---|---|---|---|
BPM(ビジネスプロセスマネジメント) | 既存の業務プロセス(全体) | 継続的な改善による業務の全体最適 | 「回しながら改善し続ける」継続的な運用(中〜小規模) | - |
BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング) | 既存の業務プロセス(全体) | 抜本的な再設計による劇的な業務効率化 | 「ゼロベースで大きく壊して作り直す」一回性のプロジェクト(大規模) | BPRで業務プロセスを大規模に再設計したのち、BPMで継続運用に乗せる組み合わせが一般的。 |
BPRは、既存の業務プロセスをゼロベースで見直し、抜本的に再設計する取り組みで、1990年代に提唱されました。
大規模かつ一回性のプロジェクトとして実施されることが多い点が特徴です。
一方のBPMは、既存プロセスを起点に小さな改善を積み重ねる「運用」に軸足を置きます。
BPRで大規模に再設計したうえで、BPMで継続運用に乗せる組み合わせも一般的です。
概念 | 扱う対象・概要 | 主な目的 | アプローチ・規模 | BPMとの関係性 |
|---|---|---|---|---|
BPM(ビジネスプロセスマネジメント) | 業務プロセス全体(複数の作業の連なり) | 業務プロセスの可視化・全体最適 | 人とシステムを含めたプロセス全体の設計・改善 | - |
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション) | パソコン上の定型的な作業(入力・転記など) | 単純作業の自動化による作業時間の削減 | ソフトウェアロボットによる特定作業の代行・自動化 | BPMで業務プロセス全体を整理・最適化した後に、残った定型作業の部分にRPAを適用するのが理想的。 |
RPAは、パソコン上の定型的な作業をソフトウェアロボットが代行する自動化技術のことです。
データの入力や転記、集計といった単純作業を自動化することで、作業時間を削減できます。
RPAは「作業単位」の自動化ツールであり、BPMのような「プロセス単位」の管理手法ではありません。
ただし、BPMで業務プロセスを整理した後に、定型作業の部分をRPAで自動化するといった組み合わせは非常に相性が良く、BPM実践の中でRPAが手段として登場することも多くあります。
RPAだけを先行導入すると、非効率な業務プロセスがそのまま自動化されてしまい、「無駄な作業を高速でこなすロボット」ができあがるリスクがあります。
BPMで業務そのものを見直したうえでRPAを適用する、という順序が理想的です。
概念 | 扱う対象・概要 | 主な目的 | アプローチ・規模 | BPMとの関係性 |
|---|---|---|---|---|
BPM(ビジネスプロセスマネジメント) | 業務プロセス全体の可視化・設計・改善 | 継続的なPDCAによるプロセスの最適化 | 業務全体の流れをシステム化・改善する | - |
ワークフローシステム | 申請・承認・回覧といった特定の手続きの流れ | 稟議や経費精算など、承認フローの電子化・ペーパーレス化 | 主に「ハンコリレー」をデジタル化する | ワークフローはBPMを支える「一要素」。BPMの一部として承認フローが組み込まれる関係性。 |
ワークフローシステムは、申請・承認・回覧といった業務の流れをデジタル化し、電子的に処理できるようにする仕組みです。
稟議書の電子承認や経費精算のデジタル化などが代表例です。
ワークフローシステムは主に「承認フローの自動化」にフォーカスしているのに対し、BPMはより広く、業務プロセス全体の設計・可視化・改善までを含みます。
ワークフローはBPMを支える一要素という位置づけです。
概念 | 扱う対象・概要 | 主な目的 | アプローチ・規模 | BPMとの関係性 |
|---|---|---|---|---|
BPM(ビジネスプロセスマネジメント) | 部門をまたぐ業務の「流れ(プロセス)」 | 業務プロセスの設計・標準化・継続的改善 | 業務の進行状況(誰が・何を・いつ)を管理 | - |
ERP(統合基幹業務システム) | 会計・人事・販売・在庫などの「基幹データ」 | 全社的な経営資源の一元管理と意思決定の迅速化 | 企業活動の結果(数値・実績)をデータベースに統合 | ERP(データ基盤)とBPM(プロセス管理)は連携して機能する。ERPで扱いきれない部門横断の業務フローをBPMで補完する。 |
ERPは、会計・販売・在庫・人事といった基幹業務のデータを一つのデータベースに統合する仕組みです。
一方のBPMは、部門をまたぐ業務の「流れ」そのものを設計し、管理の対象にします。
ERPが「データの統合」、BPMが「プロセスの統合」を担うと整理すると分かりやすくなります。
実務では、ERPで扱いきれない部門横断の申請や承認の流れをBPMで補う形が一般的です。

前章がBPMを「何のために行うか」だとすれば、ここで扱うのは「なぜ今それが必要とされているか」という外部環境の話です。
個別にツールを導入しても、業務プロセスの全体像が整っていなければ効果は出ません。
企業がBPMを経営基盤として求めるようになった背景を、4つの理由に整理します。
DX推進と業務プロセスの複雑化
人手不足と属人化の深刻化
ハイブリッドワークによる業務の見えにくさ
継続的な生産性向上への経営圧力
DX推進の号令のもと、多くの企業がSaaSやクラウドサービスを導入した結果、業務プロセスがかえって複雑化しているケースが少なくありません。
ツールごとに情報が分断し、部門間で同じデータを二重入力する状況も頻発しています。
こうした分断を整理し、業務全体をひとつの流れとして設計し直すために、BPMの考え方が必要とされています。
少子高齢化による人材不足は、多くの業界で深刻化しています。
限られた人員で回すために、特定の担当者に業務が集中し、属人化が進みやすい状況です。
その人が休んだり退職したりすると業務が止まる、というリスクを解消するためにも、業務プロセスを可視化し、誰でも回せる状態に整えていくBPMが求められています。
在宅勤務とオフィス勤務が混在するハイブリッドワークでは、同じフロアで隣の人の仕事を見て把握することができません。
「誰が、どの業務の、どの工程を、どこまで進めているのか」が見えにくくなり、遅延や抜け漏れが起きやすくなります。
業務プロセスをシステム上で可視化し、リアルタイムに進捗を把握するBPMのアプローチは、ハイブリッドワーク時代のスタンダードになりつつあります。
物理的に同じ空間にいなくても、業務の状況を同じ画面で共有できる状態を作ることが、チームの生産性を保つための前提条件になってきました。
人件費の上昇や原材料費の高騰が続く中、企業には継続的な生産性向上が求められています。
一回きりの業務改善ではなく、毎年・毎月の単位で改善を積み重ねていく仕組みが必要です。
BPMは、改善を「プロジェクト」ではなく「仕組み」として組織に埋め込む発想であるため、経営的な要請とも噛み合っています。
短期の成果だけでなく、中長期で効いてくる経営基盤への投資として、BPMに取り組む企業が増えています。
BPMはどんな業務にも適用できますが、効果が出やすいのは「複数の部門や担当者をまたぎ、決まった手順で繰り返し発生する業務」です。
逆に、都度判断が必要な業務は無理にプロセス化しても形骸化しやすくなります。
ここでは、BPMの効果が出やすい代表的な4つの業務領域を紹介します。
人事労務|入社・退職・異動手続き
経理|月次・四半期・年次決算
営業・受発注|見積から請求まで
情報システム・総務|アカウント発行と各種申請
入社・退職・異動といった人事労務の手続きは、BPMの効果が出やすい代表的な領域です。
一人の入社に対して、雇用契約・社会保険・備品手配・アカウント発行といったタスクが複数部門に同時発生します。
担当者の記憶とチェックリストに頼っていると、繁忙期には抜け漏れが避けられません。
発生条件と担当者、期日を定義しておけば、対象者が決まると必要なタスクが自動で並びます。
月次・四半期・年次の決算業務は、期日が固定され手順も毎回ほぼ同じため、プロセス化と相性が良い領域です。
ところが実務では担当者ごとに進め方が異なり、進捗を紙やExcelで管理している例が少なくありません。
決算のタスクを標準化し担当者と期日を割り当てれば、どの工程で遅れているかが即座に分かります。
決算早期化に取り組む企業が最初に着手する領域としても選ばれます。
見積から受注、発注、納品、請求へと続く受発注業務は、営業・購買・経理・物流が順に関わる部門横断プロセスです。
一工程が滞るだけで納期や請求サイクル全体に影響するため、どこで止まっているかの把握が欠かせません。
BPMで可視化すると、承認待ちや確認待ちで滞留している案件が一覧で見えます。
滞留の傾向が数値で分かれば、承認ステップを減らす構造的な改善にも踏み込めます。
アカウント発行と削除、備品の貸与と返却、各種申請の受付といった情報システム・総務の業務も、BPMの対象です。
一件あたりの作業は短いものの件数が多く、依頼の入口がメールやチャットに分散しがちです。
受付から完了までを一本のプロセスに揃えれば対応漏れが減り、依頼者も進捗を確認できます。
退職時のアカウント削除漏れなど、セキュリティ面のリスクも確実に押さえられます。
BPMのメリットは、単に作業時間が減ることではなく、「見えなかったものが見えるようになる」ところから連鎖的に生まれます。
可視化が課題の発見を生み、標準化が品質を安定させ、その積み重ねが改善の定着につながる流れです。
ここでは、その連鎖を4つのメリットとして順に解説します。
業務プロセスの可視化による課題の早期発見
属人化の解消と業務品質の標準化
ムダ・ムリ・ムラの削減による業務効率化
改善活動の継続とPDCAの定着
BPMの出発点は、業務プロセスを可視化することです。
業務フローを図や一覧で整理することで、誰がどの工程を担当し、どの順番で業務が進んでいるのかが一目でわかるようになります。
可視化されると、「この工程で待ち時間が長い」「この承認だけ形骸化している」「この業務は複数部門が同じことをやっている」といった課題が浮かび上がってきます。
問題が見えるようになるだけで、改善の第一歩が踏み出せます。
業務プロセスを可視化し、手順を標準化することで、特定の担当者しか知らない「職人技」だった業務も、誰でも回せる業務に変わっていきます。
マニュアルとしてナレッジを残せるため、新人教育や引き継ぎにかかる時間も短縮できます。
標準化によって品質のばらつきが減り、ミスやクレームの発生も抑えられます。
属人化の解消は、リスクマネジメントの観点からも重要な効果だといえます。
可視化された業務プロセスを分析すると、ムダな承認ステップ、ムリな工数配分、部署間のムラなどが見つかります。
業務プロセスを整理・再設計することで、業務のリードタイムを短縮し、工数を削減できます。
効率化されたプロセスで生まれた時間を、より付加価値の高い業務や新しい取り組みに振り向けられる点も、BPMの大きな利点です。
BPMは単発の改善で終わらず、PDCAを回し続けることを前提にした手法です。
改善した結果をモニタリングし、さらに次の課題を見つけて改善する、というサイクルが組織文化として根付いていきます。
「改善しましょう」という号令だけで終わらせず、日々の業務の中に改善活動を織り込める点が、他の業務改善手法との大きな違いです。
改善の仕組みが定着すると、現場から自発的に改善提案が上がってくるようになり、経営層が旗を振らなくても組織全体の生産性が底上げされていきます。
BPMは業務改善に大きな効果をもたらす手法ですが、導入プロセスや運用方法を誤るとその効果が半減し、プロジェクト自体が頓挫することもあります。
事前に弱点を把握しておくことは、社内の期待値調整にも有効です。
ここでは、BPMのデメリットと、始める前に押さえておくべき注意点を4つ解説します。
短期間では効果が見えにくい
現場の協力なしには失敗する
一度で完璧を目指さない
ツールだけ入れても定着しない
BPMは継続的な改善を前提とする手法のため、導入してすぐに大きな数字が動くわけではありません。
可視化と標準化に数か月、効果が数値に表れるまでにはさらに期間を要するのが一般的です。
短期間での費用対効果を求められる場面では、この時間軸が導入のハードルになります。
中小企業庁の調査でも、DX推進の問題点として費用負担と人材不足を挙げる企業が多いと報告されています。
参考:中小企業庁「2025年版 中小企業白書 第5節 デジタル化・DX」
BPMは「現場の業務プロセス」を対象とする取り組みのため、現場の協力なしには成立しません。
経営や情報システム部門だけで設計しても、現場の実態と乖離した業務フローが出来上がってしまい、結局使われなくなるケースがあります。
導入プロジェクトには必ず現場の担当者を巻き込み、実際の業務感覚に即したプロセスを設計することが大切です。
BPMの特徴は「継続的改善」にあります。
にもかかわらず、最初から完璧な業務フローを設計しようとすると、準備段階で時間を使い果たし、運用に至らないまま頓挫してしまうことがあります。
まずは優先度の高い業務から小さくスタートし、運用しながら磨き込んでいく姿勢が成功の鍵です。
BPMツールを導入すれば自動的に業務が改善されるわけではありません。
ツールはあくまで手段であり、改善を進める組織体制やルール、運用ルーチンが伴って初めて効果を発揮します。
ツール導入と同時に、「誰が業務プロセスのオーナーか」「どれくらいの頻度で見直すか」といったガバナンス設計も進めることが重要です。
ツール・運用ルール・推進体制の3点セットを揃えてはじめて、BPMは組織の中で機能する仕組みとなります。

BPMは、いきなり全社の業務を対象にすると設計だけで力尽きてしまうため、範囲を絞って一周させることが成功の前提になります。
一周回すと改善のリズムが掴めるため、二周目以降は対象を広げやすいはずです。
ここでは、実務で取り組む際の基本となる5ステップを順に解説します。
対象業務の選定と現状把握
業務プロセスの可視化(As-Is)
課題分析と改善プロセス設計(To-Be)
改善策の実行とモニタリング
評価と継続的改善
まずは、どの業務からBPMを適用するかを決めます。
すべての業務を一度に対象にするのは現実的ではないため、「ミスや遅延が多い」「時間がかかっている」「関わる人数が多い」など、改善効果が大きそうな業務を優先的に選ぶのがポイントです。
対象が決まったら、現場へのヒアリングや関連資料の収集を通じて、現状の業務実態を把握します。
現状の業務プロセスを、業務フロー図や一覧表にまとめて可視化します。
誰が、どの順番で、どの情報を受け取り、どの成果物を次の担当者に渡しているのかを、「As-Is(現状の姿)」として整理します。
この段階で初めて、部署ごとに認識が食い違っていたり、公式のマニュアルには載っていない暗黙のやり方があったりすることに気付きます。
可視化された業務プロセスを分析し、ボトルネック・重複作業・無駄な承認・形骸化した業務などを洗い出します。
その上で、「To-Be(あるべき姿)」としての改善プロセスを設計します。
設計の際には、業務を単に減らすだけでなく、自動化できる部分はSaaSやRPAに任せる、情報連携を強化するといった視点も取り入れます。
To-Beの姿は完璧を目指しすぎず、「現状より明らかに良い」レベルで一度合意し、運用しながら精緻化していくほうが現場に定着しやすくなります。
設計した新しい業務プロセスを現場に展開し、実際に運用を始めます。
運用開始後は、リードタイム、担当者の負荷、ミスの発生件数などの指標をモニタリングし、計画通りに改善効果が出ているかを確認します。
ダッシュボードなどで進捗や負荷がリアルタイムに見える状態を作っておくと、改善効果の検証がスムーズに進みます。
現場担当者の感覚値だけに頼らず、数値で状況を把握できる状態を作ることが、継続的なPDCAの前提条件になります。
一定期間運用した後、指標をもとに改善の結果を評価します。
想定した効果が出ていない場合は原因を分析し、次の打ち手を設計します。
効果が出ていた場合でも、そこからさらに精度を高める改善が可能か検討します。
このステップを繰り返し、業務プロセスを継続的に磨き込んでいくのがBPMの本質です。
BPMは考え方と実践体系の総称であり、特定のソフトウェアを指す言葉ではありません。
その実践を支えるシステムがBPMS(Business Process Management System)で、一般にBPMツールと呼ばれます。
ここでは、BPMSに共通して備わる3つの基本機能を確認します。
モデリング機能
シミュレーション機能
モニタリング機能
モデリング機能は、業務プロセスを図として設計・記述するための機能です。
誰がどの順番で何を担当し、どこで分岐や承認が入るのかを、フロー図の形で表現します。
業務プロセスの記述にはBPMNという国際的な表記ルールが使われることもありますが、実務では現場が読める粒度で描くほうが定着しやすくなります。
この段階で描いた図が、以降の改善議論の共通言語になる点も重要です。
シミュレーション機能は、設計した業務プロセスを実行に移す前に、想定される処理時間や負荷を試算する機能です。
処理件数や承認にかかる日数を仮置きすると、どの工程がボトルネックになりそうかを事前に見つけられます。
実際に運用を始めてから問題が判明すると、現場を巻き込んだやり直しが発生します。
事前に机上で検証しておけば、変更のコストを大きく下げられる点が利点です。
モニタリング機能は、運用中の業務プロセスの状況を継続的に計測し、可視化する機能です。
リードタイム、処理件数、遅延件数、担当者ごとの負荷といった指標を、ダッシュボードで一覧できます。
BPMはPDCAを回し続ける手法のため、結果を数値で確かめられるかが運用の質を左右します。
「なんとなく良くなった」ではなく数値で語れる状態が、次の投資判断を後押しする材料です。
BPMSを選ぶ際は、フローの可視化からマニュアル化、進捗管理、分析までを一つのツールで完結できるか、既存のSaaSと連携できるか、そして現場が使い続けられる操作性かの3点が判断軸になります。
BPMの効果は、実際に取り組んだ企業の変化を見ると具体的に掴めるはずです。
ここでは、公的資料で公表されている中小企業の事例2件と、mfloowの導入事例1件を取り上げます。
いずれも大規模なシステム刷新ではなく、ボトルネックの特定から着手している点が共通しています。
決算業務の進捗を可視化し決算早期化を実現|株式会社ベルク
他社と連携した生産管理システムで労働時間を15.9%削減|株式会社広島メタルワーク
「身の丈DX」でボトルネックから着手し生産性と職場環境を改善|株式会社倉岡紙工
首都圏でスーパーマーケットを展開する株式会社ベルクでは、財務経理部の14名が月次・四半期・年次の決算業務を担当する体制です。
紙やExcel、スプレッドシートでの進捗管理は限界に達し、抜け漏れと属人化が課題でした。
mfloowの導入では、CSVによるデータ移行で短期間にシステムを切り替え、決算業務のプロセスをそのまま可視化しました。
現在は決算の進捗をリアルタイムに把握でき、遅延への対応が早まった結果、決算の早期化につながっています。
ダッシュボードで担当者ごとの業務量が見えるため、繁忙期の人員配置の判断もしやすくなった点が導入の効果です。
広島県広島市の株式会社広島メタルワークは、産業用機械部品の精密板金加工を手掛ける従業員53名の企業です。
生産管理システムを一から構築するには費用も人材も足りず、市販ソフトも自社の運用には合いませんでした。
そこで同社は、同じ課題を持つ他社と連携し、共同で生産管理ソフト「TED」を開発する道を選びます。
2017年の本格導入から2021年までの比較では、社員一人あたりの売上高が8.6%増加し、労働時間は15.9%減という結果です。
さらに蓄積したデータを活用し、過去に不良が発生した工程をアラート表示することで、不良率は97%減少しています。
業務プロセスの課題を共有できる相手と組んだ点が要点です。
参考:中小企業庁「2025年版 中小企業白書 事例1-1-4」
熊本県嘉島町の株式会社倉岡紙工は、紙器の製造を手掛ける従業員30名の企業です。
同社は全社刷新を目指さず、「まずは従業員のペインを取り除く」という考えのもと、ボトルネックを特定して必要最小限の取組から着手しました。
約3,000点の木型をIoTで管理したことで、木型を探す時間はゼロになった点が大きな成果です。
機械化によってカス取り作業の時間は3分の1になり、従来3人で行っていた梱包作業は1人で回せるようになりました。
その結果、顧客社数は約20社から100社超へ、従業員数は13人から30人へと増えています。
できるところから小さく始める進め方は、BPMの現実的な第一歩だといえます。
参考:中小企業庁「2025年版 中小企業白書 事例1-1-3」

ここまで、BPMの目的とメリット、進め方5ステップ、そしてBPMSに求められる3つの機能を見てきました。
これらを一つの環境で回せるように設計されているのが、業務改善プラットフォーム「mfloow(エムフロー)」です。
mfloowは、業務フロー整理からマニュアル化、運用(進捗管理・タスク管理)、分析までを一気通貫で行えます。
本記事の進め方5ステップでいえば、「可視化(As-Is)」で描いたフローがそのまま「実行とモニタリング」の土台になるため、図と実際の運用が乖離しません。
業務フローを可視化して担当者と期限を割り当てられるため、進捗や遅延をリアルタイムに把握できます。
外部SaaSやAIと連携して業務を自動化すれば、部門間の二重入力や抜け漏れを減らせます。
繰り返し発生する業務は、時期が来ると自動で立ち上がり、担当者と期日を設定できる仕組みです。
そしてダッシュボードで負荷を可視化することで、ボトルネックを特定し、次の改善につなげられます。
人事労務・経理・総務・情報システムといったバックオフィス業務はもちろん、営業やカスタマーサクセスの業務プロセスにも活用されています。
A.BPMは「ビジネスプロセスマネジメント」という考え方そのものを指す言葉です。
一方BPMSは「Business Process Management System」の略で、BPMを実践するためのソフトウェア製品の総称にあたります。
BPMが概念、BPMSがそれを支える仕組みという関係です。
A.必要です。
むしろ、人員が限られる中小企業こそ、属人化や二重入力の影響が大きく、BPMで業務プロセスを整える効果が出やすいといえます。
最初から全社的に大きく導入する必要はなく、ひとつの業務から小さく始めることが可能です。
本記事の導入事例でも、従業員30〜53名規模の企業が成果を出しています。
A.業務プロセスの初期整理であればExcelでも可能ですが、継続的な運用やリアルタイムな進捗管理、他の担当者との同時編集、外部サービスとの連携などを考えると、専用のプラットフォームに移行したほうがスムーズです。
Excelでの管理は、一定規模を超えると属人化とバージョン管理の課題が表面化しやすくなります。
A.対象業務の範囲や企業規模によって大きく異なるため、一概には言えません。
期間は、対象を一つの業務に絞るか全社に広げるかで大きく変わります。
費用もツールの提供形態や支援内容によって幅があるため、検討の際は前提条件を揃えたうえで複数のサービスを比較することをおすすめします。
A.BPMNは業務プロセスを図で表現する国際的な表記ルールで、Business Process Model and Notationの略です。
BPMが業務を管理する考え方を指すのに対し、BPMNは業務を描く記法にあたります。
現場で共有するフローチャートなら、誰が見ても分かる粒度で描くほうが実用的です。
A.現在提供されているBPMSの多くはクラウド型で、サーバーを自社で用意せずに利用を始められます。
初期費用を抑えて一部門から試し、効果を確認してから対象範囲を広げる進め方が取りやすくなりました。
一方で業務データを外部に置くため、保管場所やアクセス権限の設計は導入前に確認してください。

BPMとは、企業内の業務プロセスを可視化・分析し、継続的に改善していくビジネスプロセス管理の手法です。
その目的は作業の効率化にとどまらず、部門ごとの部分最適を全体最適へ引き上げること、改善を仕組みとして組織に残すこと、そして環境変化に素早く対応できる状態をつくることにあります。
抜本的な再設計を一度で行うBPRや、作業単位を自動化するRPA、承認フローをデジタル化するワークフローシステム、データを統合するERPとは役割が異なり、BPMはそれらをつなぐプロセスの管理層に位置づけられます。
効果が出やすいのは、入社・退職手続きのような人事労務、月次決算のような経理、見積から請求まで続く受発注、そしてアカウント発行などの情報システム・総務といった、部門をまたいで繰り返し発生する業務です。
導入すれば、可視化による課題の早期発見、属人化の解消と標準化、ムダ・ムリ・ムラの削減、そしてPDCAの定着という4つのメリットが期待できます。
一方で、短期間では効果が見えにくい、現場を巻き込まずに設計すると使われないまま終わるといった弱点もあるため、「対象業務の選定→可視化→課題分析と設計→実行とモニタリング→評価と継続的改善」の5ステップで、小さく始めるのが基本です。
中小企業白書の事例が示すように、成果を出している企業ほど全社刷新から入らず、ボトルネックの特定から着手しています。
業務フローの可視化からマニュアル化、運用、分析までを一気通貫で支えるmfloowなら、この5ステップをひとつの環境で回せます。
より詳しい進め方は、資料もあわせてご覧ください。
この記事を書いたライター

mfloowブログ編集部
mfloowブログ編集部メンバーが不定期で更新します。業務効率化やバックオフィス業務をテーマに、読者の皆さまのお役に立てる情報を解説しています!
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